一平二平が空き地で野良犬にいたずらをしていると、ビックリ動物ショーがやってきた。移動サーカス団公演である。そこには、犬、猿、小熊のリンダと動物が三匹しかいない。主催者は年老いた団長だ。見物客も、チャッピー、ジュン、一平二平とドンちゃんだけである。犬と猿はまったくやる気がなく、ひとり、頑張るリンダに一平らが爆竹を投げた。ドンちゃんが、あの子をいじめるなと怒った。ドンちゃんはリンダがとても気になった。

団長は解散を考えていた。「昔はもっと子供たちも喜んでくれたのだが。」と、優しい団長。リンダは仲間を信じていたが、犬と猿は相変わらずである。それどころか、サーカス団には動物たちに与えるエサすらない。それほど困窮していたのだ

ドンちゃんが、うちにおいでよと三匹をハンスト家に呼ぶ。夕飯の時間、ドンちゃんはご飯を食べないで、屋根裏に隠した動物たちに食事を与えた。リンダはドンちゃんに感謝して、屋根裏で稽古を始める。その様子にチャッピーたちも気づいた。チャッピーは、リンダたち動物を応援する。ジュンと一平、二平は町でビックリ動物ショーの宣伝を開始。その頃、ドンちゃんは町の野良犬や野良猫を集めてサーカスを手伝ってと頼んだ。

見物は満席になり、リンダたち動物もはりきってショーに励む。ところがドンちゃんが、良かれと思って呼び込んだ野良犬や野良猫がなだれ込んできた。大パニックになる会場。サーカス劇は失敗に終わった。自分がしたことが原因で、落ち込むドンちゃん。チャッピーの前でついに、団長が解散を宣言。チャッピーはパパに、なんとかサーカス団を助けてほしいと頼むが、パパは冷たくあしらった。

テントでは、動物たちがすっかりやる気を無くしていた。

そこにチャッピーが来る。チャッピーはみんなに「いくじなし」だという。「やる気がなくていい加減な事をしているから、潰れるんだ」と。

動物たちに叱咤激励をかけていたのだ。だが、「芸もできないのにお前に俺たちの気持ちがわかるか」と逆に反発される。チャッピーは自ら玉乗りをするが、転ぶ。転んでも転んでも立ち上がる。団長は、チャッピーに「もういいのじゃ。お嬢さん、動物ショーはこれで終わりなんだ。」という。チャッピーは泣きながら団長にやめないでと訴えた。

団長がチャッピーのために、精一杯の最後のショーをする。明日、見においでと呼んでくれた。喜ぶチャッピー。

そんな、チャッピーを影から見ていたのはパパだった。

翌日、やはり見物客はチャッピー、一平二平、ジュン、ドンちゃんだけだ。ひとり、知らないおじさんが来た。

リンダたち一世一代の、ショーが始まった。綱渡り、玉乗り、ジャグリングと軽々こなす犬と猿そしてリンダ。動物たちは三位一体だ。そして最後の難関、火の輪くぐり抜けをついに成功させ、ショーは大成功を修めた。拍手喝采を浴びる動物たち。

そんな動物たちを真剣に見据えていたのは、知らないおじさん。彼は、大阪から来た児童劇団の主催者だった。ある男性が夢で呼ぶので、ここに来たという。行く宛がないなら、ぜひともうちに来てほしい。子供たちのためにぜひと。団長と動物たちの新しい未来が決まったのだ。

主催者を夢で呼んだのはパパ。「くだらん。まったく、くだらん。」とデレるパパにチャッピーは感謝する。

出発するリンダたち。ドンちゃんは、魔法の虹をかけ、みんなを見送った。




ドンちゃんの初恋

とも、取れる内容。今回は魔法に極力頼らないでチャッピーたちみんなが、動物を助けるために奮闘する姿が描かれる。ドンちゃんはリンダに恋をする。初恋と別れを経験したドンちゃん。魔法でかけた最後の虹は、成長した証なのかもしれない。

原画に関して、この回どこかで森やすじ氏が担当されたと聞いたのだがクレジットにいない。犬と猿、リンダが森さんの描く動物そっくりなのだが。作画は平野純となっている。この担当者は複数の作画監督のペンネームと推測される。(32話の頂で改めて考証します)

魔法使いチャッピーは当初、2クールの26話で最終回する予定だったという。製作順では、次の26話が「チャッピーどこへゆく」である。本来最終話する予定で製作されたものだ。ところが1クール放映が延長されたので、放送の25話以降~は最終回を作った後で製作された延長分だそうだ。このように、ややこしい順序を辿っている。

1972年9月18日放送

脚本 吉野治郎(飯島敬)
作画監督 平野純
演出 田中清