ジュンと一平、二平がドラム缶で作ったみこしを担いでいる。町ではもうすぐお祭りが始まるので、みんなが楽しみにしているのである。チャッピーは祭りを知らない。みち子はチャッピーに祭りの楽しさを教える。チャッピーは祭りをロック音楽と勘違いし、ベースを作りシンバルを叩く。チャッピーたちがばか騒ぎしているのを、残念そうに見つめる洗吉。実は、祭りが急遽、中止になったという。事故が増えるので警察から要請が入ったのだ。

とても、残念がるチャッピーたち。どこかお祭りができる安全な場所がないだろうか。そんなとき新聞に過疎化の記事を偶然見つけたチャッピー。奥多摩にある、千代田村はかつて祭りが盛んな場所だったが、今は老人ばかりである。チャッピーはオババから魔法のほうきを奪って、千代田村に行く。そこは人けのない場所だった。老いた犬や猫、鶏がふらふらと歩いている。どうも人間ばかりが老いているのではないらしい。神社から何やら掛け声が聞こえた。老人たちがみこしを担いでいた。しかし、力の弱い老人ばかりでは荷が重くチャッピーも手伝うが、根をあげる。老人がいわく、賑やかだったこの場所も若者が都会に出ていってしまい、人口が激減。たちまち過疎化が進んだと話す。伝統を絶やさぬため、みこしの練習はしているものの、老人ばかりで若者のいない千代田村では深刻だった。

東京に戻ったチャッピー。「私たちはみこしを担ぐ場所がない。おじいさんたちは担ぎ手がいない。何かいい方法はないかしら」と。チャッピーは魔法でヘリコプターを出してみんなを千代田村に運んだらどうかと様々なアイデアを考える。しかし、魔法はあまりにも目立ちすぎる。そこで、チャッピーはみんなに夢の中の祭りに参加させる作戦に出た。

真夜中、魔法のバトンをバクに変化させ、みち子、一平二平に夢を見させる。みち子、一平二平は夢のなかで、はっぴに着替えていた。みこしを元気に担ぐみち子たち。続いて老人たちにも夢を見させる。みんなはいつの間にか村に集まり、賑やかな祭りを楽しんでいた。一晩中駆け回ったチャッピー。翌日、みんなが祭りの夢を見たことで不思議がっていた。洗吉の家に千代田村の老人から電話がきた。夢で見た住所に電話をかけたのである。場所がないなら、ぜひ、村にきてみこしを担いでくれないかと。みんなは千代田村に行くことになった。チャッピーも風邪をひいてしまったが、もう大丈夫とはりきる。

祭り囃子が聞こえる千代田村。チャッピーたちは元気にみこしを担いで祭りを心行くまで楽しむ。

過疎化の村という現実問題

今回はまた、人口減少の村をチャッピーが救うというもの。都会の子供たちは昔の伝統や仕来たりを学べず、田舎の若者離れに困る老人たち。そこにスポットを当てた、同じみ脚本、辻先生。チャッピーの活躍と魔法があり、共存という明るい未来が見えて面白い。

1972年9月4日放送

脚本 辻真先
作画監督 木暮輝夫
演出 大谷垣清