チャッピーとジュンは空き地で野球をしている。チャッピーは魔法でボールを操る。ジュンがずるいというと、チャッピーは本気でボールを投げた。ぶっ飛ばされるジュン。そこにみち子が来た。「すさまじいのがもう一人きた」とおののくジュン。もうすぐ開かれる校内野球試合のため、盛り上がっていた。チャッピーは3年5組のエース投手に選ばれたのだ。一平二平が、公園で変なやつが、ぶらんこを譲ってくれないという。みち子は抗議に行く。ぶらんこにいたのは、クラスメイトの高木正だった。交通事故から長期欠席をしていたが、いつの間にか退院して戻ってきたのである。正は松葉づえをつき公園を後にする。彼の後ろ姿に何かを感じるチャッピー。

正が3年5組に帰ってきたことで、クラスの空気が一変。正をコケにしたクラスメイトにパンチが飛び、クラスメイトが退院祝いに差し出したプレゼントまで壊してしまう。昨年まで男子野球チームの四番打者だった正には、プライドがあった。正の足は完治しておらず、まだ松葉づえを放せない。プライドと病み上がりの体に、正はイラついていた。

チャッピーが正の家を訪ねると、親子喧嘩の声が聞こえた。正の心の闇は家族にも暗い影を落としていた。正の父と母も、喧嘩が絶えなかった。親子3人それぞれに心の傷を負っているんだわとチャッピー。

その後も、練習サボりがちな正とクラスメイトの隙間はますます離れていった。


チャッピーは魔法で怪我を治せばいいという。パパは「体の傷は癒せても、心の傷は癒すことができない。魔法は万能ではない。」という。「哀れみの魔法で友達を救うなど、思い上がりも甚だしい」と叱られる。チャッピーが萎れていると、おじいちゃんが「心の傷を治せるのは魔法ではなく、本当の友達だけ。チャッピーはあの子の本当の友達じゃろう」とアドバイスをくれた。


校内野球大会の日。

チャッピーが正の家に迎えに行くと、怒声が聞こえた。正が父からいつまで甘えてるのだと、怒られていた。試合には行かないと、たまらず飛びだした正。チャッピーは迎えにきたというが、「やめてくれ。同情はまっぴらさ」と返される。「あなたは誇りが高すぎる。それは本当のあなたではない。あなたは同情を嫌っているだけで本当は心の優しい人だ。」とチャッピーは訴えた。聞かぬ正に、ついに「あたしの球はあなたには打てない。恥をかきたくなかったら見物していた方が利口」と挑発するチャッピー。その言葉に乗った正。

大会の場にもはや現れないと思われた正が、なんとやって来た。四番強打者の高木正を見せてやると意気込む。チャッピーも本気で豪速球を投げる。何度も空振りし、それでも諦めず起き上がる正。正に生徒たちの同情の目が集まる。しかし、人一倍同情を嫌う正だ。そんな彼の心を汲み取っていたチャッピー。

甘えてはいけない。自分の力で立ち上がってと、心を鬼にするチャッピー。九回裏。ツーアウト満塁。勝負はこれが最後。ついに正はチャッピーの豪速球を打ち返した。逆転の場外ホームランだ。正は自らの力で心の傷を吹き飛ばした。チャッピーたちはエールを贈る。正の父母もその姿を見ていた。力強く歩んで行く正。その表情には笑顔が戻っていたのだ。



東映魔女版巨人の星かも

今回は魔女っ子アニメと忘れるほどの熱いスポ根ストーリー。高木正はモロに星飛●馬だが、チャッピーが完全にライバルキャラクターになってしまっている。魔法ではなく、友達として必死に訴えかけるチャッピーは良い。あと、やたらモノローグ(心の声)描写が多いと思ってたら、安定の芹川演出回。

1972年8月21日放送

脚本 辻真先
作画監督 端名貴勇
演出 芹川有吾