人間の世界では近ごろ、ディスカバージャパンという言葉が流行っている。休日を利用してなるべく日本各地のあちこちへ出掛けようというもの。しず子は富士登山へ行くそうだ。チャッピーとジュンもどこかへ行きたい。パパにお願いするが出不精なパパは動いてくれない。ママの一喝で、やっと動くパパ。チャッピーとジュンはみち子、一平二平たちもいっしょに行こうと誘う。行き先は日本アルプス。

道中、道路は大渋滞だった。みんなはくたびれて寝ているのにパパは面白くない。苛立ちに紛れクラクションを鳴らすパパ。美しい湖に囲まれたコテージ。チャッピーたちは大はしゃぎだ。ドンちゃんがどこからかやって来た小熊と睨みあっている。小熊はボロボロの服を着た少女の足元に逃げ込んだ。彼女の名はユリ。小熊はコロ。ユリは、山を荒らす人間がいると夜叉姫が出る。夜叉姫と会ったものは気が狂って死んでしまうというのだ。暗くなる前に早く帰れと忠告するユリ。恐くなったチャッピーたちはコテージに戻ることに。樹海の中でチャッピーたちは迷子になる。

ドンちゃんが捕まった。この付近をうろついているハンターだ。草木が突然不気味に揺れ動き、火の玉が舞う。ハンターとチャッピーたちは身動きがとれない。大木が割れ、夜叉姫と思わしき女が現れた。チャッピーが魔法で正体を見破ると、そこにはあの少女ユリと、ユリの祖父がいた。夜叉姫や火の玉はハンターを追い払うため、二人が必死で組んだトリックだった。

ユリの祖父はチャッピーたちに語る。

この一体は静かで自然豊かな場所だったが、レジャーブームとやらで人間が頻繁に訪れるようになった。それどころか趣味で動物を撃ち殺すようなハンターも増えてしまった。ユリの母はハンターの流れ弾に当たり死んでしまったという。小熊のコロの親熊もハンターに殺されたという。

ユリは「トリックがバレたからもうおしまいだ。ハンターたちが明日にも押し寄せてくる。」と、嘆く。ハンターたちへの怒りはあっても、力のない祖父とユリ。

チャッピーはパパとママに協力を求める。こうなったら一暴れしてやろうとパパとママ。みち子たちもみんなでハンターを追い払う作戦を立てる。

翌朝、ユリの予想通り、大勢のハンターがやってくる。恐ろしい猟犬が野に放たれた。魔法でこてんぱんにされる猟犬たち。雷鳴轟き、大木から夜叉姫が現れた。今度はトリックではない。夜叉姫は、森はみんなのものだ。花を荒らしたりかわいい動物を殺すものには罰を与えるぞと、突風を起こす。恐れおののき、ついにハンターたちは退散。ユリと祖父は夜叉姫が守ってくれたと喜ぶ。みち子は不思議でたまらない。もちろん、夜叉姫の正体はチャッピーだ。

もう二度と、ハンターたちが来ることはないだろう。

愚かな人間と大自然の警告

チャッピーには魔法で人間の願いを叶えるストーリーと、愚かな人間に対して罰を与える戒めの話が多い。もっとも後半は社会問題に真正面から立ち向かうチャッピーたちの姿が多く見られてそんな傾向も薄れるのだが。

冒頭、突如実写挿入されるサイケデリックな映像は、当時国鉄が行った、ディスカバージャパンというキャンペーン。今回のストーリー発端はこれが元ネタとなっている。



1972年7月17日放送

脚本 夏目幸治
作画監督 木暮輝夫
演出 葛西治