あなたの目に最後に写ったであろう
人の形をした化け物を私に示してよ。
あなたが味わったであろう恐怖を
自身の痛みに感じて怒りに震えますよ。
許すもんか!






あなたを
そんなめに
合わせたのは



どんな外道?




教えて!
















私ね。
知らない人に
掴まれたような気がしたの。
なんかすごく怖かった。
キャって目をつむったの。
そしたらね。
ポーンと飛んだのかしら?
目をあけたらお花が
いっぱいの野原にいたの。
なんでかしら?
















いつものところで
ご飯を待っていたのよ。
いつもおかあさんが
持ってきてくれるから
まだかなぁって
待っていたの。
そしたら見たことない人が
来たんだけど……怖い、、
あれ?怖い人だっけ?













う~ん。
ぼんやりしてきた~
えーと
ここはあたたかいわ。
なんか体がかるくなったし
ぴょんぴょん出来るわ。
ああわかった!
ここは天国ってとこかしら?
子供の頃にばぁちゃん猫に
教えてもらったの。
ちゃんと生きれば
天国に行けるよって。
私ちゃんと生きたかしら?















天国っていうとこは
ご飯がいっぱいあって
おいしいお水がどこにでも
いくらでもあるって
あたたかくて涼しくて
地面もやわらかいんだって
やっぱりここは天国かしら?














もう
ご飯を探したり
寝るところを探したり
歩き回らなくて
いいのかしら?
このごろちょっと
大変だったの。
何度も寒い時や暑い時を
生きてきて疲れたのかしら?
















生まれてからずっと
止まらず歩き回っていたの。
ここでは座ってても
キョロキョロしなくても
大丈夫かしら?
ゆっくり寝てもいいの?













私は死んじゃったのかしら?
おかあさんに
サヨナラ言ってないわ。
待っていたのにおかあさん。
あれ?
それでどうしたんだっけ?
まだかなぁおかあさんって
おかあさんが来る道見て
誰か来たんだっけ?











ううん。
おかあさんが来たんだわ。
おかあさん来たから
嬉しくてワクワクして
嬉しすぎて
死んじゃったのかしら?
おかあさんごめんね。
でも私ちょっと疲れたの。
ゆっくり寝たいわ。












天国って
あたたかいし涼しいし
歩き回らなくてもよくて
ビクビクしないで
寝られるの?
私初めてだから
いっぱい寝ちゃいそうだわ。













大変なことも多かったけど
楽しいこともあったわ。
うん。
幸せだったと思うわ。
おかあさん
声をかけてくれたみなさん
どうも
ありがとうございました。
私ちゃんと生きられました。
休ませてもらいますね。
ありがとうございました。













「千祓の祈願 六百七十九回」

とほかみ えみため

はらいたまえ きよめたまえ

私はこのたぬちゃんの事件は前から知っていて
煮えくり返る怒りを待ってましたが
どういうわけか昨日の夜中?今日の明け方?
たぬちゃんに取っ捕まりまして
その時から号泣っぱなしで鼻かみすぎで痛いは
目は腫れてショボショボするは頭痛いはで
どうにもなりません。で伝えさせていただきました。
たぬちゃんは一撃をくらう前に
神さまに天国に引っ張られて逝きました。
たぬちゃんの身は救えませんでしたが
たぬちゃんの心は守っていただいたと信じます。
最期の怖いことは全部忘れてたぬちゃん。
たぬちゃんが最期に会ったのはおかあさんだよ。
私はあなたが大好きです。
あなたを大好きな人はいっぱいいますよ。