こんにちは!
昨日の続きです。
アベッチの家は商売屋だったので
噂が広まるのも早く尾ひれがついて
どこまでが本当のことなのか
全くわからない状況でした。
その川沿いの道は
私も通ることがあったのですが
「まさかねぇ」とは思いながらも
夜は特に怖かったです。
アベッチのお祖母さんが
嫁さんに追い出されたことは
周囲はみんな知っていました。
そこで入水自殺したとなったら
「黙っていろ」という方が無理です。
その上お祖母さんと暮らしていた
孫娘が「お祖母さんが来る」と怯える。
正直言ってこんな面白い話はないという
感じであちこちで話されていました。
お祖母さんが入水自殺した
この川には暗い歴史がありました。
私の母親の話なので
どこまで信用できるかわかりません。
戦時中の空襲の際に火が出て
火に追いかけられた人々が
逃げ場が無くなり
みんな川へ飛び込みました。
ところが川も熱くなり(火が入り?)
川に飛び込んだ人が
大勢苦しみもがいて亡くなったそうです。
古い石垣にはその時に
石垣を上ろうとした人々の
削れた爪や指が残っているのだとか。
私の母親は戦争体験者ですので
たまに思い出した時は
戦時中の話をすることがありました。
でも子供の頃の体験なので
大袈裟になったり
記憶違いもいっぱいあると思います。
ただこのお祖母さんの入水自殺で
川の持つ暗い歴史も引き出され
アベッチの豹変ぶりも
毎日のように目にしている近所の人は
急速に口をつぐみました。
躁鬱病ということで病院に入院して
退院して来ても
元に戻っているわけではありません。
以前のアベッチは近所の人に
挨拶などしませんでした。
にっこり笑って会釈なんてことも
したことないと思います。
周囲になど目もくれずに
颯爽とかっこよく歩いていました。
そんなアベッチが
幼児のようにニコニコ笑って
「こんにちは!」だの
「お元気ですか?」だの
人々に声をかけている状況が
ことの重大さを知らしめていました。
私のブログにたまに出てくる
長い友人のヒーブーは
アベッチの家のすぐ近所でしたが
アベッチに「ブーちゃぁん!元気?」と
言われてとんでもないことが起きたと
真っ青になりました。
中高の6年間でさえ道で会っても
ただの一度も声をかけられたことが
なかったそうですからね。
コソコソとアベッチのお祖母さんの
噂話をしていた人たちが
アベッチに無邪気な笑顔を向けられて
どうにもやるせなくなって
黙るようになりました。
お祖母さんと嫁さんの争いで
「こんなになってしまった子」が
目の前にいるのです。
川から這い上がって来るお祖母さん。
私は実際に見たわけではないし
実際に見た人から
話を聞いたわけでもありません。
噂だけなのか本当なのかも
わかりませんが
アベッチに見えたお祖母さんは
アベッチを恐怖で包み込み
どこかに連れ去ってしまった
ような気がします。
バイバイ……アベッチ!
「千祓の祈願 二百十五回」
とほかみ えみため
はらいたまえ きよめたまえ
光を灯りを持っていて下さいね。




