こんにちは!





官公庁アルバイト時代の話です。
この頃に「検事になれば?」と言われ
「占い師に見える」と言われていました。
一見真逆なような職業ですけど
私が思うには……同じです!





この頃
私がいた部署には
現役東大卒の
ビビるくらい可愛いお嬢様が
勤務しておりました。
入社3年目で25~6才でした。
可愛い顔に似合わず
爪を長く伸ばしていました。
すげぇアンバランス
と私は思っていましたが
けっこうおしゃれな人でした。













その上お父様は政治家で
天は二物を与えずと言うけど
大嘘やんと思いましたね。
二物どころか三物も四物も
与えとるやんけーー!






まぁ多少
わがままなところもありましたが
私にとっては「許容範囲」で
けっこう好きな部類の人でした。
仕事上はかなりなわがまま
だったようですが
この人のわがままを
嗜めることができるのは
隣の部署のお嬢の同期で
一橋大学出の男の子だけでした。
ボンボンと呼びます。





ボンボンはいかにもな
育ちの良さが全身に溢れていました。
身長も170弱で顔もまぁまぁ程度
でしたが私達バイトにも親切で
メチャ感じのいい人でした。
この人も好きな部類の人でした。
前途洋々のふたりで
気持ち良く見ていました。





お嬢とやりあえるのは
ボンボンだけでしたので
ランチもほとんどふたりで
過ごしていました。
恋人というのではなく
親友という感じでした。













ところが春の人事異動で
ボンボンが移動した部署には
ボンボンの天敵がいたのです。
前回の人事異動の時にその天敵と
同じ部署になってしまったボンボンは
さすがボンボンで人事部に苦情を入れて
なんと特別に再移動させて
もらったそうです。
そんな経緯があるにも関わらず
再び同じ部署に移動させる人事部の
無神経さにカッカきました。
今回はさすがに再移動は出来ません。











「ボンボンが
行方不明になった!」







と聞いたのは移動してから
半年くらい経った頃でしょうか?
お嬢は落ち込んでいるようでした。
多分お嬢はボンボンから
いっぱい話を聞いたでしょう。
いっぱい励ましたでしょう。
いっぱい慰めたでしょう。
ボンボンのために悩んだでしょう。







だけどだめなんですよ。
だから天敵というんです。
天敵は自分を食らう敵のことを言います。
戦う相手のことでも
苦手な相手のことでもありません。
天敵とは間違いなく自分を潰す
負けると決まっている敵です。
戦ってはいけません。
戦おうとしてもいけません。
絶対にいけないのです。
逃げるしかないのです!













ボンボンは2週間後に
かなり離れた駅前で保護されました。
ボンボンがそれまでの日々
どうやって過ごしていたのかは
きっと永遠にわかりません。
ボンボンはほとんどのことを
覚えていませんでした。
自分のことも世間のことも
何もかも忘れていたそうです。
2週間の間に人生の記憶を
次々と捨てていたのでしょうか?
もちろん職場には戻って来ませんでした。











それから1年後に
高島屋の1階から2階へ昇る
エスカレーターの中腹で
1階フロアーにいる
ボンボンを見掛けました。
中年の女性に繋いだ手を引かれ
バタンバタンと歩いていました。
抜け殻だと思いました。







何も見ていない
何も考えていない
何も感じていない
死んでも生きてもいない
エスカレーターが2階に着き
前を向いたとき目が霞んでました。
1歩2歩
歩いていくうちに気付くと
声をあげて泣いていました。






ボンボンの
抜け殻を
見掛けました。




「千祓の祈願 二百十回」

とほかみ えみため
はらいたまえ きよめたまえ

天敵に関しては「逃げるが勝ち」です。
傷付いた体や心は治ります。
でも壊れてしまった体や心は治りません。
ムリをせずに大切に大切にして下さい。