こんにちは!
10年くらい前のことです。
私は自宅で占い師をしていて
その日もお客さんが来ていました。
棚に囲まれた部屋に
テーブルの周りにイスを3脚並べて
ワンセットにして2セット置いてありました。
相談が終ってのカフェタイムに
コーヒードリップで淹れたコーヒーを
飲んで世間話をしていました。
コーヒーの香りで
いっぱいの部屋の中に
サーとトニックの
匂いが漂います。
うちは私ひとりの
女所帯でしたので
トニックなどありません。
お客さんも気付いて
キョロキョロしています。
客「これ………?」
私「うん。トニックだよね。」
ああ……と思い当たりました。
「う~ん、はじめさんかな。」
その頃
知人のはじめさんが
救急搬送されて入院していました。
ご縁に恵まれず独身のままでしたが
会社勤めをしながら
両親の残した農業も継いで
長男として懸命に働いてきました。
もうすぐ定年退職を迎え
あとはノンビリと暮らす予定でした。
それがいきなり
なんの前兆もなく倒れ
意識はあるものの
容態はすごく良くなくて
何度か危篤状態に陥り
危ない状態が続いていました。
ただそんな危険状態にあることを
はじめさん本人だけは
知りませんでした。
突然現れたトニックの匂い。
仕方なく居合わせたお客さんに
そのことを話しました。
亡くなったのかもしれないと
言わざるを得ませんでした。
トニックの匂いは薄くなることもなく
お客さんにはじめさんの話を
している間も強く漂っていました。
お客さんは真っ青で震えています。
見えはしないのですが
近くにいることははっきりわかります。
「···はじめさん···
なに?なんなの?」
漂うトニックの匂いに向かって
声をかけてみましたが
当然ながら返事はありませんでした。
でも本当に亡くなったんだと
確信しました。
どうして私のところに
来たのかはわかりません。
親しくしていたわけでもないし
何か言い残したいことでもあって
他の人が聞けない話を
もしかしたら聞けるかもしれない
私のところに来たとも思えるのですが
そんな感じではありませんでした。
ただ自分の状況にパニクっていました。
まだ60才で急死です。
入院したことはわかっていても
すぐに退院できるのだろうと
退職後の生活を多少希望を持って
思い描いていたりしていました。
死んでしまうなど
欠片も思っていませんでした。
意識不明で病院に運び込まれたことが
ある方はわかると思いますが
「人生を大事にしよう!」
と身にしみて思うものです。
はじめさんも決意していました。
「退院したら頑張ろう!」と。
お生まれ変わったつもりで生きようと。
楽しく生きられるかもしれないなと。
ところが気が付けば
身体の存在も
明日の存在もないのですから
戸惑うのは当たり前です。
もうやり直せないのです。
頑張りたくても
頑張ることが許されないのです。
そりゃあ
人生最大のパニックですよ。
この時はお客さんも一緒に
体験しているのでめずらしい例です。
他人が一緒に「不思議」を
経験してくれると助かります。
一応最低でも勘違いや幻覚ではないと
いうことの証明になります。
このお客さんには
最近亡くなった旦那さんの母親に
小さくても良いから仏壇を用意して
あげると供養になりますよと
勧めていました。
「2~3ヶ月して考えます。」
と言っていたのに
週末に急いで旦那さんを引っ張って
仏壇を買いに走りました。(分霊)
大変立派な仏壇を買ったみたいです。
百の言葉よりも一度の体験ですね。
亡くなっても魂は存在しますよ。
はじめさんは
死んだことわかってませんでした。
視えたわけじゃないんですが
キョロキョロして戸惑っているように
空気?(気?)が動く?のです。
そして
何かを思い出したように
パッと消えました。
客「あっ!消えた!」(トニックの匂いが)
私「うん。消えたね。」(はじめさんの気配が)
はじめさんは一番辛い心残りの
お母さんのところに行ったのです。
はじめさんはお母さんより
早く旅だつことになってしまいました。
ずっとひとりぼっちで
ひとりぼっちのままで逝きました。
母親を遺して逝くなんて
子供の頃から考えたことも
ありませんでした。
大仕事は成し遂げられなかったけど
真面目に実直に生きてきました。
悪いことはしません。
困っている人には手を貸し
贅沢もせず旅行もせず
懸命に生きてきました。
最後の最後にこれはないでしょ?
神さま。
だから自分が
死んだことを認めることができず
半年近くお気に入りのパジャマを来て
リビングのソファーで待っていました。
脳卒中で入院中のお母さんが
帰って来るのを待っていました。
お母さんは退院することが出来ません。
ひとりぼっちの真っ暗なリビングで
だんだん薄くなっていきました。
お母さんの姿をキョロキョロと
探しながら消えていきました。
あきらめる。
そんな成仏の仕方もあります。
苦しまないで済んだのが
せめてもの「神さまの贈り物」
はじめさんの来世は
自分の家族に囲まれた
幸福な人生でありますようにと
祈ってやみません。
「千祓の祈願 百八十一回」
とほかみ えみため
はらいたまえ きよめたまえ
神さまは必ず見守っていて下さいますよ。




