こんにちは!
22~3才の頃ですかね?
多分立山黒部アルペンルートが
人気があった頃だと思います。
その頃は高校時代の同級生4人で
旅行することが多かったのですが
流行りにすぐ乗る京子がメンバーに
いたので立山に決まりました。
前日には美ヶ原で雲海を見たり
コジャレたお店で食事したり
夏の旅行をめいっぱい
楽しんでいました。
楽しかったですよ…これまでは。
そして旅行の目的のひとつ
立山でご来光というイベントの
順番になりました。
旅行のプランは分刻みで
京子がたてていました。
たしかトロリーバスとかで
立山登山口に向かったと
思うのですが。
「なんか……寒くない?」
「うん…かなり寒い(T^T)」
「·········」
「っていうか、すごく寒い~!」
そんな感じで
立山登山口に到着した私達は
スニーカーにタンクトップという
バカ丸出しの登山者となりました。
山小屋から迎えに来てくれた
案内のお兄さんに
すごい顔で呆れられました。
さすがにガミガミ怒られ
持っている服を重ね着しましたが
タンクトップなんて
5枚も着たって寒さは変わりません。
たった1枚持っていたトレーナーを
その上に着て
雨が降った時のために持っていた
ウインドウブレイカーを
羽織って登り始めました。
一歩歩く毎に「バカバカバカ」と思います。
これは本当の登山です。
軽いハイキング気分で来た
私達は失敗でした。
とんでもないドアホのチャラ女でした。
石がゴロゴロしている坂道を
必死で登って行きます。
もちろん無言です。
必死です。
何かの苦行か訓練のようです。
中腹くらいのところでしょうか?
案内のお兄さんが足を止めました。
「昨日
横浜から来た人が
ここから滑り落ちて
亡くなったんだよね。」
と言いました。
登って行く山道の途中に
小さなお社があって
お兄さんに言われたのか
みんなで手を合わせました。
もっと無言になりました。
山小屋に着くと
私達のバカさ加減も
ピークに達しました。
山小屋に入るとストーブがあって
その回りにいる方達は
登山靴で
厚手のセーターを着て
ダウンジャケットを
乾かしていました。
私達は宇宙人のようでした。
(若いから寒いのは平気)
穴を掘って入りたいです(ノд`;)
やっと一息ついて口も動きだし
恥ずかしい気持ちをごまかすために
今まで黙っていた分もしゃべってました。
案内された部屋に荷物をおろし
山小屋らしい食事をすませ
キャキャはしゃぎながら
トイレで歯磨きしていました。
すると突然真っ暗闇に。
友達はすごい悲鳴をあげて
ヽ(ヽ゚ロ゚)ヒイィィィ!座り込み
私は出入り口に走りました。
信じられないほどの闇です。
何一つ見えません。
怖くて大パニックでした。
「ヽ(;゚;Д;゚;; )ギャァァァ
助けてーー!!」
·········消灯時間··········でした。
聞いていましたが
こんなに「闇」になるとは
想像もしませんでした。
大騒ぎしたバカグループは
たっぷり起こられて
部屋に戻りました。
9時消灯で
疲れてはいるものの
眠れるわけがありません。
ガラス窓の向こうを白いモノが
スッスッと横切ります。
登山者のライトだろうと
いうことにしました。
たった1本貸してもらった
懐中電灯の灯りをたよりに
みんなでひそひそ話してました。
ひそひそ話っていうのは
なんであんなにおもしろいんでしょうね?
普通の話でも何故か可笑しい。
声を潜めてヒィヒィ笑ったりしているうちに
やっと眠りにつきました。
どのくらい経ったのか
息苦しくて目覚めると目の前が天井です。
20センチも離れていません。
夢?
だけど天井の臭いがするのです。
夢って臭いする?
私は寝る時にあまりの心細さに
当時大ファンだった
郷ひろみのマスコット人形を
握りしめていました。
その手に力が入ります。
これも夢?
そんなに天井に近いのにまだ近くなります。
少しずつ近付いて来る天井板
木目もはっきり見えます。
天井に取り込まれていくような恐怖
私が消えて行方不明ということで
済まされてしまうのではないか
私はどこへ連れて行かれるのか
と思った頃
今度はスーっと横に動きだしました。
ナニ?イヤ!イヤー!
暴れて止めたいのに
ピクリとも動けません。
けっこう速いのです。
窓に向かって行きます。
イヤー!
どこへ行くの?
イヤァー!!
窓に近付くと窓の臭いがします。
埃とあぶら?
これって夢じゃないんじゃないか
と思い始めました。
もちろん声など出ません。
下で友達が寝ているのも感じます。
窓はサッシではなくて
カタカタ揺れるようなガラス戸で
近くなってくると
汚れだと思っていたくもったところが
外側から張り付いている
手のひらだと気付きました。
覗き込むようにペッタリと
両手だけが張り付いています。
あの手に掴まれたら
連れて行かれる!
何故かそう思いました。
助けてーーーー!
手に力が入りぎゅうっと握りしめます。
何か握っています。
あ…ひろみさんだ
マスコット人形をありったけの力で
握りしめて助けを求めました。
もうすぐ掴まれるという恐怖
何かわからないモノに
つかまるという恐怖
助けて
助けて
助けてぇー!
後の記憶はありません。
あんなことがあったからか
遅くに起きました。
うだうだしていて「あっ!」
サーとあのことを
思い出してハッと手を見ます。
マスコット人形がない!
私が人形を大事にして
どこにでも持って行っているのは
みんな知っています。
総出で探しました。
どこにも
ありませんでした。
本当に
どこにも…………。
その場で話を聞いていた
山小屋のスタッフ達は
「身代りになってくれたんだよ。」
と口々に言いました。
「山ではね…不思議なことがあるんだ。」
実際に上へ上へと引き上げられ
すーっと窓から連れて行かれるという
話があるそうです。
足元からゾワゾワが上がって来ます。
登山家でもあるスタッフが
前日に滑落して亡くなった
同じ町の人が道連れに連れて行こうと
引っ張ったんだろう
それで人形が代わりに行ってくれたんだと
だから私は助かったんだと
言っていました。
「えーそんなことある?」
あまりにも怖いので認めたくありません。
とっくに総毛立っています。
イスに腰掛けているのに
膝がガクガク震えています。
盗まれたとかどこかへ紛れたとか
と思いたかったのです。
念のために山小屋のスタッフに
「すごく大切な人形なので」
あったら連絡して下さいと依頼しました。
まぁ連絡はありませんでした。
今
冷静に考えられます。
立山は霊山です。
まして旧盆でした。
身代りになって
くれたのだと思います。
「千祓の祈願 百三十二回」
とほかみ えみため
はらいたまえ きよめたまえ
ありませんように
少しずつでも着実に良くなって
いきますように祈願しております。





