こんにちは!





30年以上前に高層ビルの
11階でアルバイトをしていました。
官公庁関係でしたから
わりと楽しく働いてました。
30人ほどの課で女性は
5人でしたから大切に扱われていました。
(良き時代でした)













そこの課長は佐藤という
真面目一辺倒の
50才くらいの人でした。
結婚が遅かったのか
子供さんが出来るのが遅かったのか
娘さんがまだ中学生でした。
真面目一辺倒な冗談を
良く言ってくれましたが
もちろん全然面白くありません。

















それでも私達女性に
気を使って大切に扱ってくれるので
評判良かったのです。





3時休憩の時間には
ひとりで放送に合わせて
ラジオ体操をキッチリしていました。
だからけっこう
印象深く覚えていたのです。
私はこの官公庁関係のアルバイトを
部署は移っても長くやっていました。
だけど放送に合わせて
体操をしていたのは佐藤課長ひとりです。















期限つきのアルバイトでしたので
終ってからは他の課に移動しました。
広い官公庁舎でしたし
職員の数も半端なかったので
その後佐藤課長に会うことは
ありませんでした。






その頃は私生活全体の
バックミュージックと言っても
過言ではないほど流す音楽は
すべてサザンオールスターズでした。
目覚ましにタイマーでサザンで起きて
通勤時はウォークマンでサザンと
と共に出勤しました。
帰って部屋に入ると同時に
サザンを流し寝るまで……
いえ寝ている間も流していました。
1日中、サザン、サザン、でした。
















私達の頃は
サザンとユーミンが席巻してました。
私は「サザン教の信者」ですね。
なんてったってサザンです。






すいません😣💦⤵
またもや話が逸れました。





だからその土曜日も
休日なので出掛ける支度中も
サザンをガンガン流してました。
何の曲だったかは覚えていないのですが






「うわぁー!!!」





と曲にかぶって聞こえました。
もちろん
そんな曲はあるわけないので
ん?と動きが止まります。
気のせいかとにいこ(猫)を見ると
サザンは聞き慣れているから
反応ないはずが耳をピンと立てて
デッキの方を見ています。






真っ昼間だし
すごいいい天気なのに
ふつふつとあわだって来て
何故か怖くて仕方ないので
急いで出掛けました。
その日に会った友人にも
会った瞬間に話ました。
友人達も体を縮めて腕を擦りました。

友「なんかゾクゾクする~~。
なんだろうね?」

友「誰か死んだんじゃない?」

私「えー!
知ってる人ってこと?
やめてよ~!怖いじゃん!」










知っている人でした。








月曜日に出勤すると正面入り口脇に
ブルーシートが下げてありました。
首をかしげながら建物に入ると
ザワザワとしています。
エレベーターの中もザワザワして
建物の中の空気が
すべてザワザワしているようでした。






佐藤課長が土曜日の昼
屋上から
飛び降りたのだそうです。






入り口近くの壁に
飛び散った脳味噌がこびりついて
落ちないのでシートが
下げてあったのだと話が
広まっていました。






なんで?




職場の人間関係が
うまくいってなかったらしい
とのことです。





信じられません。
あの真面目一辺倒の人。
ラジオ体操をキッチリやっていた人。
遅く持った娘さんを大事にしてた人。






なんでよ?
佐藤課長?
なかったことには
出来ないんだよ?
元に戻んないんだよ?




直接知っている人の
「自殺」は初めてでした。
悲しいというより
やりきれない気持ちになりました。
決して親しかったわけではありません。









佐藤課長
どうして死間際の叫びを
聞かせたんですか?







今この瞬間も
怖いんですけど……。







うわぁー!










「千祓の祈願 二百八回」

とほかみ えみため
はらいたまえ きよめたまえ

自殺した魂は逝くべき所に逝けるのでしょうか?
佐藤課長は真面目過ぎました。
一生懸命過ぎました。
抜かなくちゃだめです。
こわばりを取らなくちゃだめです!
佐藤課長が迎えられていることを祈ります。