AirJapan、初号機はJA803Aに 全6機がANA機改修

 

ANAホールディングス(ANAHD、9202)は3月9日、傘下のエアージャパン(AJX/NQ)が新ブランド「AirJapan」で運航する最初の機体として、全日本空輸(ANA/NH)が運航しているボーイング787-8型機のうち、2012年8月に引き渡された機体(登録記号JA803A)を予定していることを明らかにした。

AirJapanの787-8のモデルプレーン

23年3月9日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 

 

—記事の概要—
広めのエコノミークラス
LN7の量産機

 

広めのエコノミークラス

AirJapan仕様の座席数は、エコノミークラスのみの1クラス324席。シートはサフラン・シート・USA製で、シートピッチを海外のFSC(フルサービス航空会社)並みの32インチ(約81センチ)とし、深めのリクライニングとした。充電用USB端子はType-Aに加え、最新のType-Cにも対応し、個人用モニターを設置しない分、タブレットホルダーを設け、乗客が自分のスマートフォンやタブレットを置き、映画などを鑑賞できるようにした。

AirJapanのシートを発表する客室乗務員

23年3月9日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 

 

タブレットホルダーを設けたAirJapanのシート

23年3月9日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 

 

ANAの国際線用787は34インチ、国内線用は31インチで、LCC(低コスト航空会社)では28-29インチが主流となっている。AirJapanはインバウンド(訪日客)をメインターゲットとし、2024年2月に東南アジアへ就航する計画で、成田空港と関西空港からアジアを中心とした路線を拡大していく。

 

AirJapan仕様の787-8は、2025年度までに6機体制とする計画で、すべてANAが運航していた機体の客室を改修する。2022年3月8日に発表した新デザインのモデルプレーンやイメージイラストには、ANAの787初号機の登録記号「JA801A」が描かれていた。国土交通省が管理する登録記号は自動車のナンバープレートにあたるもので、1機ごとに異なる。

 

ANAHDによると、AirJapan仕様の初号機はJA803Aになる見通しだという。JA803Aは、ANAへの納入順では12番目の機体で、2012年8月に納入された。中近距離国際線仕様で、座席数は2クラス240席(ビジネス42席、エコノミー198席)。直近では、3月7日の羽田-ジャカルタ線(NH871/872)に投入された。一方、JA801Aについても、AirJapan仕様に改修される可能性が高いようだ。

 

LN7の量産機

JA803Aは、ボーイングが民間機の製造を管理する上で使用している「Line Number(LN、ラインナンバー)」が7番(LN7)で、787ではLN1から6までが飛行試験機、LN7以降が量産機となっている。ANAの787初号機のJA801AはLN8、2号機のJA802AはLN24で、LN7のJA803AはLN順で見ると787初の量産機となる。

かつては787ロゴが描かれていたANAの787-8

15年4月 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 

787はデリバリー開始当初、機体の設計重量超過に悩まされていた。複合材を多用した胴体の強度が設計通りに出ず、補強材で重量がかさみ、航続距離もカタログ通りではなかったのだ。「Terrible Teens(魔のティーンズ)」と呼ばれ、長らく引き取り手がなかった初期生産分の機体もあった。

 

LN7から22までは設計重量超過が何らかの形で生じており、LN23から33は重量が超過しているものの、発注した航空会社が許容できるレベル、LN34から89までは重量軽減が進み、LN90以降はカタログスペックを達成したと言われている。

 

日本航空(JAL/JL、9201)が100%出資する中長距離LCCのZIPAIRも、JALが初期導入した787-8を客室改修して運航している。