22年度上期、航空事故3件 重大インシデントは2件=国交省
 

 

国土交通省航空局(JCAB)が発表した、2022年度上半期の航空事故や重大インシデントの発生状況をまとめた「航空輸送の安全にかかわる情報の中間報告」によると、航空事故は3件、航空事故につながりかねない「重大インシデント」は2件、安全上のトラブルは647件だった。

 

—記事の概要—
航空事故
重大インシデント
安全上のトラブル
事業者別報告件数
機種別報告件数

 

航空事故

22年6月に高知空港で事故が発生したジェットスター・ジャパン(資料写真)

PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 

 

3件発生した航空事故は、6月に高知空港と徳島空港付近の上空で1件ずつ、7月に那覇空港付近の上空で1件発生した。

 

高知空港の事故は6月23日午後に発生。ジェットスター・ジャパン(JJP/GK)の成田発高知行きGK423便(エアバスA320型機、登録記号JA05JJ)が高知空港へ着陸した際、乗客148人、乗員6人のうち客室乗務員1人が第一仙椎(せんつい)を亀裂骨折した。

 

徳島空港付近上空の事故は6月25日午後に発生。ANAウイングス(AKX/EH)が運航する全日本空輸(ANA/NH)の熊本発伊丹行きNH1626便(ボンバルディアDHC-8-400型機、JA854A)が、徳島空港の西南西約40キロ、高度約5100メートルを飛行中に機体が揺れ、乗客70人、乗員4人のうち客室乗務員1人が転倒し、仙骨を骨折するけがを負った。

 

那覇空港付近上空の事故は7月16日午前に発生。ソラシドエア(SNJ/6J)の那覇発石垣行き6J41便(ボーイング737-800型機、JA807X)が那覇空港を離陸後、南西約120キロ、高度約7800メートルを上昇中に機体が揺れ、乗客127人、乗員6人のうち客室乗務員1人が転倒し、左足甲の小指中足骨を骨折した。

 

重大インシデント

 

2件発生した重大インシデントは、4月に福岡空港付近の上空で、5月に茨城空港(百里飛行場)で、1件ずつ発生した。

 

福岡空港付近上空の重大インシデントは、4月18日夜に発生。アイベックスエアラインズ(IBEX、IBX/FW)の仙台発福岡行きFW18便(旧ボンバルディアCRJ700型機、JA07RJ)が福岡空港の北東約200キロ、高度約9800メートルを飛行中、機長席と副操縦士席の速度計に不具合が生じた。緊急事態を宣言したが、降下中に不具合が解消。午後8時40分に福岡空港へ着陸した。乗客34人、乗員4人にけがはなく、機体の損壊もなかった。

 

茨城空港の重大インシデントは5月20日に発生。フジドリームエアラインズ(FDA/JH)の広島発茨城行きJH7994便(エンブラエル175型機、JA10FJ)が管制官から着陸許可を受け西側滑走路へ進入中に、管制官が同滑走路上に車両を確認したため、JH7994便に復行を指示。同便は復行後、午後3時2分に着陸した。乗客43人、乗員4人にけがはなく、機体の損壊もなかった。

 

安全上のトラブル

 

647件報告があった「安全上のトラブル」は、「危険物の誤輸送等」が194件で最多。「機材不具合」が146件、「ヒューマンファクター」が135件、「回避操作」が97件、「発動機の異物吸引による損傷」が1件、「部品脱落」が6件、「アルコール事案」が59件、「その他」が9件だった。

 

事業者別報告件数

 

事業者別の報告件数は運航便数の多さに比例し、大手2社の件数が目立つ。ANAグループが225件、日本航空(JAL/JL、9201)グループも225件だった。

 

このほか、日本貨物航空(NCA/KZ)が18件、スカイマーク(SKY/BC、9204)が34件、エア・ドゥ(ADO/HD)が15件、ソラシドエアが12件、スターフライヤー(SFJ/7G、9206)が14件、ピーチ・アビエーション(APJ/MM)が25件、ジェットスター・ジャパンが14件、スプリング・ジャパン(旧春秋航空日本、SJO/IJ)が3件、IBEXが21件、FDAが18件、オリエンタルエアブリッジ(ORC/OC)が10件、天草エアライン(AHX/MZ)が2件、新中央航空が2件、東邦航空が1件、「その他航空運送事業者」が13件、「航空機使用事業者」が15件だった。

 

機種別報告件数

 

機種別では、737-400/-500が0件、737-700/-800が115件、747が18件、767が57件、777が36件、787が90件、A320が67件、A350が18件、A380が1件、DHC-8-200が9件、DHC-8-400が31件、E170/E175‏/E190が29件、CRJ700が21件、ATRが9件、サーブ340Bが0件、Do228が1件、「その他航空運送事業機」が150件だった。

 

JCABは2022年12月23日に、第32回航空安全情報分析委員会(委員長・河内啓二東京大学名誉教授)を開き、この中間報告について審議。今年6月ごろ開かれる次回の委員会では、2022年度1年間に報告された安全情報について評価・分析などを行う。