BTSの新しい ‘弟分’ 全員公開‥「K-POPを名乗るな」時代遅れの血統主義

 

 

去る1月20日、HYBE(ハイブ)傘下のミュージックレーベル、ビッグヒットミュージック(BIGHIT MUSIC)の新人男性アイドル(Trainee A)が全員お披露目された。非公開メンバーの1人だったヨチの顔が初めて公開され、ファンの期待は最高潮に達しているようだ。しかし、メンバー構成(国籍)に対して、不満を示す声が韓国ネットユーザーから上がっている。

 

 

HYBE(ハイブ)傘下のミュージックレーベル、ビッグヒットミュージック(BIGHIT MUSIC/以下、ビッグヒット)の新人男性アイドルが全員公開された。

 

BIGHIT MUSICの新人男性アイドル、Trainee A(画像出典:Trainee A公式Instagram)

 

 

“A 練習生”という意味の”Trainee A”に所属している7人のメンバーは、2022年のデビューを目標にビッグヒットが育成中と知られているアイドルだ。ちなみに、”Trainee A”は正式なグループ名ではないが、多くの音楽ファンが「グループ名に”A”が入るのでは?」と予想している。

 

1月20日はメンバーのウチャンの17歳の誕生日だったため、Trainee Aの公式SNSには、ウチャンがメンバー*5人と誕生日パーティーを行った様子がアップされた。

 

*メンバーの1人は、体調不良で参加を見送った。

 

Trainee Aのウチャン(画像出典:韓国オンラインコミュニティー)

 

 

今回、公開された写真を見た韓国ファンの反応は熱い。特に非公開メンバーの1人だった、ヨチ(ハングル表記”요치”)の顔が初お披露目され、ファンの期待は最高潮に達しているようだ。

 

タイ出身のヨチは、2002年生まれの今年19歳(日本年齢)。タイでは俳優としての経歴を持っている逸材である。

 

Trainee Aのヨチ(画像出典:韓国オンラインコミュニティー)

 

 

ヨチの公開とともに、全7人のメンバーが出揃ったTrainee A。デビューに関する詳細はまだベールに包まれているが、事務所の先輩であるBTS(防弾少年団)やTXT(トゥモロー・バイ・トゥギャザー)に次ぐ*マンネ”、”弟分”の始動に期待と激励の声が寄せられている。

 

*マンネ:막내 家族やチームの中で”最年少”と意味を持つ韓国語

 

韓国ネットでは「BTSの〇〇のような雰囲気がある」「TXTの〇〇に似ている」「HYBE好みの顔だね」といった、”兄貴分”グループとの類似性を語り合う人も‥。

 

しかし、このメンバー構成、特にメンバーの国籍に対する不満を漏らすファンも少なくない。

 

彼・彼女たちは、メンバー7人のうち4人が外国籍であるグループが、”K-POPグループ”を名乗る事に違和感があると吐露している。

 

まず、7人の国籍を確認してみると(メンバー名は、ハングルに基づいた表記)、

  • リオ:オーストラリア
  • サンウォン:韓国
  • ジェイムス:香港
  • ジフン:韓国
  • JJ:日本
  • ウチャン:韓国
  • ヨチ:タイ

となっており、メンバーの国籍関連に不満を示す韓国ネットユーザーが特にマークしているのは、香港出身のジェイムスのようだ。

 

それは、韓国オンラインコミュニティーやSNSなどで「ジェイムスは香港国籍ではあるが、両親がタイと中国国籍を持っている」という情報が、広まっているためと見られる。

 

Trainee Aのジェイムス(画像出典:Trainee A公式Instagram)

 

 

近年、K-POPアイドルとして活動している、中国国籍のアイドルによる(韓国人から見た)度重なる失言、例えば”中国共産党支持”、”*中国は1つ”などの影響で、韓国国内でグループ全体がバッシングを受けるという事例が増えている。

 

*中国は1つ(一个中国):台湾(中華民国)は中国の一部だと見なす思想。

 

そのため“中国国籍メンバーの抜擢=爆弾を常に抱えている”という認識につながっているのだ。

 

不満は、それだけではない。

「K-POPグループなのに、半数以上が外国籍なんて」「K-POPアイドルとは名乗らないで」といった、時代遅れの”血統主義”も登場した。

 

世界の音楽シーンで、著しい発展を見せているK-POPが、半世紀前にならあったような思想を持つ人々(韓国の音楽ファン)に支えられている事態に、驚きを禁じ得ない。

 

とは言えこのような不満は、JYPエンターテインメントが日本で『虹プロジェクト』を開催していた2020年にも聞こえていた。当時、韓国ネットは「K-POP技術の流出だ」「なぜ日本人アイドルを育てるの?」「K-POPのプロデューサーが韓国を見捨てた」といった、ナショナリズムの温床になっていた。

 

K-POPが今の地位を手に入れたのは、海外ファンの力によるところが大きい。

 

K-POPに魅了され、その良さをSNSで共有し、振り付けをコピーして発信したりと、韓国ファン以上に”宣伝”をしてくれた存在である。

 

もちろん当初は、韓国ファンも海外の熱い反応に興奮していたのだが、グループに1人は外国籍のメンバーがいることがスタンダードになるにつれ、「”K-POP”は韓国人のみが歌い、韓国人のみが踊らなければならない」という、ひねくれた”血統主義”が広まり始めてしまう。

 

もし、海外ファンの力がなければ、”K-POP”という用語すら誕生しなかったかもしれない。

 

K-POPは”国籍”ではなく、”ジャンル”である。韓国の音楽ファンも、ぜひそこは間違えないでほしいのだ。