色々な人の感想を見ると概ね絶賛している。


キャストはアンサンブルに至るまで実力派だし、アンジェラアキさんの音楽も一曲一曲の完成度が高くて素敵なメロディ。


本当それについてはそう思う。


ただ、ミュージカルってただ物語の途中で歌を挟めば良いってものではないと思ったも事実。


正直なところ物語と歌が自分の中で全くリンクせず、淡々と過ぎていく日常の描写に、誰にも感情移入できず、時間だけが過ぎていく。


こんなに休憩が待ち遠しいと思った演目は久しぶりだった。


二幕後半からようやく主役が主役らしくなってきたが、時すでに遅し。自分の頭の中は「退屈」でいっぱいになっていた。


こんなに素敵な役者さんがいて、素敵な音楽があってなぜこうなるんだろう??と疑問。


さらに、原爆の後の隣組の演出は悪夢としか言いようがなかった。


どういう意図があったのかはわからないけど、このミュージカルでは、このシーンで原爆で亡くなったであろう人たちに思いをはせることも許されないのかと悲しい気持ちになった。


径子役の音月桂さんは、この人が主役でも良いんじゃないかと思えるくらい素晴らしかったし、白木リン役の桜井玲香さんも本当に魅力的なキャラクターを演じていた。子役の実力も素晴らしかった。


結局本なんだろうなーと。原作へのリスペクトってすごく聞こえは良いけど、本作に限っては演出、脚本家が考えることを放棄したとしか思えない。原作を知らない人は冒頭から置いてけぼり。


原作と役者、音楽の魅力を持ってしても越えられない壁があるんだと、なんだか辛くて仕方のない観劇になってしまいました。