◆スカーレット【第64話あらすじ】◆『)「夢は一緒に』 照子(大島優子)の出産の立ち会いで帰宅が遅くなる喜美子(戸田恵梨香)。家では事態を知らない常治(北村一輝)とマツ(富田靖子)が口論に。話の流れで常治とマツの馴れ初めが蒸し返されると、百合子(福田麻由子)は常治に嫌悪感を抱く。そんな中、喜美子が八郎(松下洸平)に付き添われ帰宅する。久しぶりに対面する八郎と常治。八郎は帰ろうとするが常治が呼び止める。ついに八郎が喜美子との結婚の許しを乞う挨拶の続きを… ([Yahoo!テレビ]より引用) |
昭和34年(1959年)―ジョーはこうだ。喜美子に男ができる青天の霹靂事件勃発!
興奮して無駄に語彙力あげんの、やめなはれ。
マツが、男って言い方はどうなのかたしなめます。十代田八郎さんやで。
「ハレンチや!」そしてこう続ける。そもそもあいつらはいつからなのか? あいつは大阪から来た? 大阪にいた頃からなのか?
結婚の前にもうそんなん……って、おい!
マツにそこを確認するためにも会って話すように促されるのですが、会って話したら【なし崩しになる】とゴネる。結婚反対かと言われると、これや。
「まだ早い! 俺ん中ではまだ3歳や! お父たん、お父たんいうてる!」
見事なまでダメおやじ!
そうかと思えば、今度は帰宅が遅いことに心配になってくる。
どっか行ってもうた?信楽から遠くへ行ってもうた?
せやから俺とお前ん時みたいに駆け落ちしたんやないかと。熱情が燃え滾っとるかもしれん。駆け落ちしたらどうしよう!
そんなんさっさと思い至れや!
と、突っ込みつつ『フレア』聞きましょか。
ジョーは困惑しております。一生許さへんとは言ってない。冷却期間が云々。
そして百合子が聞いてしまいました。父母の結婚について知ってしまいました。
「お父ちゃんとお母ちゃん、駆け落ちしたん? そんなん知らん、ほんまなん?」
マツが説明します。ちょうど仕事うまくいってなくて、馬の骨わからん奴だと言われてて、駆け落ちをしたのだと。おっ、丁稚方向で出入りしていたわけでもないんか。最低やな。
ここでジョー、カッコつけて言います。若い頃は熱情燃え滾たぎっていたってよ。
すると百合子が豪速球きましたわ。眉をしかめてジョーを断固拒否します。
「燃え滾るん? 気色悪ぅ! 気色悪ぅ! もう来んといて! いやいや、いやや、気持ち悪い!」
直子でもない。天使の百合子が嫌がることで、やるせなさ倍増や。理由もろくに聞かない。ただただ、熱情があっただけで全否定。豪速球で全否定。
ジョーは若いころ熱情が燃え滾ったくらいで、ここまで全否定されんでもええやんと言いたげな困惑を見せておりますが……。
そしてそこへ喜美子がやっと帰宅します。
事情を聞けば、照子の出産に立ち会っていたのでした。
腰をさすったり、お湯を沸かすのを手伝ったり。
感動した!そうはしゃぐ喜美子は、ジョーの姿に気づきます。
「遅うなってしもて、すみません」
喜美子は出産の経過を説明します。無事生まれました。予定より早いけれど、あっという間だったって。えらい安産で、産婆さんもびっくりしたそうです。
おっ?そつなく出産をこなしていますね。照子でなくて、スタッフが。
・腰をさすってお湯を沸かす
→喜美子の立ち位置ならば、妥当なお手伝い範囲だと思う。産婆さんということは、照子は自宅出産ですね。
・予定より早くなることはある
→照子の余裕ある態度からして、数日ではなくてかなり早いと推測できます。
・陣痛からあっという間!
→遅くなったとはいえ、陣痛にしては確かに短い部類。初産だとふまえると、そりゃ産婆さんも驚くほどではあります。とはいえ、ありえないわけでもない範囲。
・照子の母も若社長も泣いてた!
→生まれたのは女児。初孫を抱く祖母はもちろんのこと、結構しっかり泣いていた敏春はやっぱりええ夫です。こういうとき、立ち会わない男性は多かったものですし、ましてや女児だとガッカリということもある。敏春は男泣きするのですから、バッチリええ夫であり、ええ父ですよ! まあ、ジョーも長女誕生時の喜びが美しかったそうですけど。
父が気持ち悪くて部屋に引っ込んでいた百合子も、居間に出てきてはしゃいでおります。
「ほな」
「ほな」
ここで、送ってきた八郎が帰ろうとしますと、ジョーが咳払いをするのでした。
「あ〜がれや。なんやお前、あ、上がって欲しいちゃうか? 上がったらええんちゃうか?」
座布団を取ろうと百合子がパタパタすると、いらんと止められます。
パタパタする百合子ちゃんはかわいい。気が利いております。こういう子が、父は気持ち悪いと全否定するわけだ。
お言葉に甘えてと断り、八郎は丁寧に頭を下げて上がります。
ジョーは自分の隣に百合子が座るようにと言うわけですが……。
「うち、ここっちでええ」
「なんなんや」
「気色悪ぃ!」
ジョーはショックを受けております。そして抗弁する。熱情があかんのか? 好きになったらあかんのか? 誰に求める権利はあれへん!
そして気づくのです。
ミッコー&ハッチーの存在に、自らの止める権利がないことを。あっ、ほんま……!
八郎は真剣な眼差しで見てくる。
と、そこへマツがお茶を運んできます。
お腹空いていないかと気遣うマツに、ジョーは生温い空気持ってくんなと苛立っております。大事な局面や、だと。
ジョーはもう勝てるわけない。百合子がきっかけとなって、若い二人を止める権利はないと誘導される。マツになんだかんだ言ってますが、話す場から逃げ続けたのは誰やと……お前や!
ジョーは憎める父だとはいうけれども、弱すぎて、もう、かえって憎む気力すら湧いてこない。
どうしたもんだろう。😵
喜美子は、お父ちゃんが上がってくれというから、もうそれだけでほっとしたと言います。
「誰がそんなこと言うた!」
「言うた!」
ここまで来てしょーもない言い争い。そしてジョーはちゃぶ台返しをしかける。これは逆ギレということですわ。すかさず喜美子が止める。
八郎も加勢する。
またひっくり返す。
止める。
同じことの繰り返しや。何回やった? まあ最低でも3回はやりましたね。そしてこうだ。
「ははっ! もうええ。はあ〜あ。ほんまにもうええ。足も崩せ。顔も崩したらええ。もう崩れとるわ!」
突然崩壊したかのようなリアクションのジョージ。見ていてもう、こっちも意味がわかんねえよ、ジョー!しかも、関西弁の難しさも炸裂する。
「ええの?」
喜美子が困惑すると、ジョーはこう返す。
「ええ」
「どういう【ええ】やろうな?」
喜美子はたまらん。真面目にやってよ。普段通りでお願いします。普通の感じで。そう言われて、ジョーはこうや。
「俺、ジョ〜ジ、俺、ジョ〜ジィ!」
「言い方変えてるだけやん、なんやもう意味ないやん!」
ほんまに腹立つわ。殴りたくなるわ!
そこでジョーはウダウダいうわけです。
最初は砕けた感じで、あとはキュー締めると。喜美子が自然体でいこうやと言うと、これやぞ。
「寝転ぶで! 寝転ぶ!」
ゴロゴロするジョー。ダメっぷりが極まっていてもうどうしたらええのよ!
喜美子が、ゴロゴロするジョーカスに突っ込むしかない。
ここでやっとジョーは起き上がり、マツと百合子に名乗らせます。
東京にも何人かおる。8人。そうふざけるジョーに、直子だけやと喜美子が突っ込みます。
十代田八郎の家庭環境
八人はむしろ八郎のほう。そう聞かされ、ジョーは失礼なツッコミをします。
創意工夫のない名前をつけた両親は、田舎におるのかって……ま〜た、ダメそのもののセリフを。
ジョーはそんな意識で軽く言ったつもりだったんでしょうが、「亡くなった」と八郎から聞かされます。
父は早く、母はそのあと亡くなったそうです。
苦しい家庭環境にいたんだ、とジョーは一瞬で悟ります。そして素直に「悪い、すまん」と返すのでした。
ここまで聞いて、ジョーはしみじみと語り出すのです。途中で咳払いしつつ、こうきた。
「丸熊商品開発室か。なかなか骨のある男やと思っとったで、ほんまにな。
せやけどあの……。一つだけな、一個だけ、あんねや、その。
十代田君。あの〜八郎君。腹割って話すとな、俺はその。
こいつ(マツ)と一緒になって苦労ばっかりかけてきた。どこの馬の骨わからん奴言われて、駆け落ち同然で飛び出してきて。橋の下で雨をしのいだり。幸せにしたろ思っとったんや。幸せにできる、思っとったんや。夢もいっぱいあった。大きな家建てよう。白いブランコある家がええ言うて。
ハイキング行きたい。言うとったんやて。そんなんもこんなんも、俺はなんもかんも叶えたかったんや。逃げるようにここに来て、オンボロに住んで、失敗ばっかりの人生や。
せやから、わかってくれるかな?
八郎君は、丸熊商品開発室の社員。ほんでええんちゃうの?
喜美子から聞いたんや。陶芸家になる夢持っているいうて。
なんやそれって。そんなんそんな夢必要ですか?
それだけが、それだけがどないしても気になんねん。
陶芸したらあかん言うてるわけやない。せやけどそれだけがわからへんねん。
約束してください。1個だけ、一生、そんなふわふわしていること言えへんいうて。
1つだけ約束してください。」
そんな渾身の語りを聞いて、皆、静まっております。ジョーの話を聞いただけでは、障子の破れた部分をチラシで塞ぐ様子すら見ているのが辛い。せやな、オンボロの家やな。
マツは、自分でも忘れたハイキングのことを覚えている夫を知ってしまう。
百合子は、気持ち悪いだけではない父の情熱を聞いてしまう。
喜美子も、父の愛ゆえの反対と挫折を知ってしまった。
そして八郎は?
「陶芸家になりたいいうのがあかんのですか? 夢を持つな言うことですか?」
「好きいうだけでは、夢いうのは叶わへんて。ほんま約束してください、お願いします!」
笑わせて、泣かせる。そんなジョー。ですが朝から何だかもモヤモヤ感を残しつつ…次回に続く。