◆スカーレット【第59話あらすじ】◆『好きという気持ち』 草間(佐藤隆太)に連れられ、帰郷した直子(桜庭ななみ)。喜美子(戸田恵梨香)が事情を尋ねるも、直子は「男と女の痴情のもつれや」といら立ち、母マツ(富田靖子)にだけ真相を打ち明ける。その頃、常治(北村一輝)は草間を連れて飲み歩きの真っ最中。「台湾に行く」と明かされる。翌日、草間は喜美子の職場を訪ね、喜美子が初めてデザインした火鉢を目にする。そして自らの経験を踏まえたある助言を残し、再び旅立っていく。 (Yahoo!テレビ]より引用) |
昭和34年(1959年)―--のぅ直子、仕事で辛いことあったんか?優しい目で直子を見守る川原家。
どうやら仕事がらみではないようです直子はこう切り出します。
「お父ちゃんが帰ってくる前に、うちの話を聞いてえや」
それからムスッとした顔で、百合子を見るのです。
「行けいうとる。どこやないわ。向こう行っとけ」
本作でも柄の悪い上位、そんな直子の塩対応。
百合子がかわいらしく「心配してる」とアピールしても、通じません。
子どもは向こういっとき。百合子にはわからん話や。一蹴です。
はい、ここでふくれ面になった百合子が退場。
「どないしたん? 言うてごらん」
百合子がいなくなっても、直子はムスッとし続ける。
この、ムスッとして、うちの顔を見ろ、空気読めや、と迫る対応はジョーそっくりやで。
川原家の上の二人娘は、結構、父親に似ておりますが、直子の方がよりあかん部分を引き継ぎました💧
両者が激しく対立するのは同族嫌悪やな。この先、家事の最中に料理用の酒飲むようになったらあかんよ!マツはそんな夫の対応に慣れておりますから、自分が立ち去ろうとします。
しかし、直子には、喜美子が不要だったのです。
そしてこうだ。
「いや男と女の痴情のもつれや。わからんやろ、喜美子姉ちゃんに言うてもわからんやろ、そういう話」
痴情のもつれ……でおったわ。
喜美子がおとなしく部屋を出ると、戸の前にいる百合子が床を叩きます。
はい、姉妹で、座って盗み聞きしましょう。壁に耳ありや。
直子はお母ちゃんに語り始めます。
好きな人ができてん。
タバコ臭い。近くに来るとわかる。彼は牛田。
最初はうっとうしかった。でも、洗濯機の組み立て行程を根気よく教えてくれた。
うまくいくまでつきっきりで。
褒めてくれた!
これに対してマツは?
どう答える?
「新人指導係やもんなぁ」
「新人指導係やもん」
「新人指導係やし」
お、おぅ、せやな……。
映画に誘われたのはうちだけ。休みの日、ゴロゴロしてばかりいるうちを名画座に誘ってくれた。
まぁ、直子はつまらなくて寝てしもたけどな。
牛田さんと映画の趣味合わんなぁ。誘ってくれたのに寝てしもて恥ずかしいなぁ〜……ってなると思う? ならんのよ!
牛田さんの肩にもたれて寝てもうた。
目ェ覚めたらうちの顔覗き込んでた。ほんで、牛田さんのここにチューしてやった! 牛田は驚いていた。
チューてどこに、どこ? 盗み聞き姉妹はジェスチャーでおろおろして盛り上がっております。
でも、うちわかってんねん。
牛田さんには彼女がおんねん。うちのこと、妹みたいにしか思ってへん。ほやけどうち、好きになってしもてん……なんだこの、醸し出されるめんどくさい女臭さは!
ここまで聞いて、マツはにっこりしております。
ええんか?
いかんでしょ。
直子は訴えます。
「お父ちゃんには言わんといて。草間さんにも言えんかった。誰かに言うたらマセたガキや言われてバカにされるし……」
「誰かにマセてると言われたん? マセたガキ言われてバカにされたん? ほんで腹立てて電報三通も送ってきたん?」
マツは叱らない。アホとは言わない。
ただ、娘にそっと寄り添います。
好きな人ができるいうんは、自然なことやで。
お母ちゃんに言わしたら、直子は正直もんや。自分のことをようわかってる。
直子は母に甘えて、気持ちを打ち明けて、お茶をグビグビと飲みます。
「はあ、話してスッキリした!」
あ、やっぱりこいつ、ジョーカスと同じで酒飲ましたらあかん奴や。
この調子でビール飲んだらあかん!
「ふふっ、そうか」
「うん! もうええ、東京戻るわ!」
ええっ!
マツは驚きつつ笑います。姉妹も部屋の外で笑っています。
お嬢様育ちのマツにも、かつて「好き」という気持ちがあったのでしょう。
その気持ちの中身はまだ語られたことはありませんが、反応からわかります。
【マツ、好きという気持ちを大切にする】
マツは解決能力がありません。ゼロや。おろおろしてて役立たずとは言われる。
病弱で、家事も喜美子なしではやっていけない。けれども、情緒ケアスキルは作中随一でして。
ジョーは酒だけでは癒されない、横で相槌を打ち、微笑むマツあってこそやってこれた。
今日も臭そうなジョーを見つつ、考えていきましょか。
「あかまつ」から出てきて、ジョーは千鳥足。
草間はそこまで酔っていないのに、ジョーはベロベロです。
「ちゃんとしまっとく〜おうっ、痛っ!」
ここで草間の衝撃的な告白が!
「僕、台湾行くんです」
「ああ、台湾な」
今度は貿易の仕事。日本を経つ前に、信楽に来たかった、直子ちゃんはいいキッカケになったと語ります。
「ちょい、酔い覚めたわ。台湾、あー、えらい遠い所!」
ジョー、なんで受け流すのかと思ったらただの酔っ払いでした。いつも酔っ払っているジョー。
演じる側は素面ですから、北村一輝さんがどんだけ演技派かちゅうことですよ♪
それはさておき、香港の画商にも広東語で話しかけていた草間。
ジョージ富士川の通訳をしていた草間。
数カ国語を操る才人ですね。語学を生かして、満洲鉄道にいたわけです。
闇市でえらい人を助けたな、ジョー!
これぞ、情けは人の為ならず。
酔いが覚めたジョーは、頭を下げてこう頼みます。
「あの、ほんだら、あの、その台湾行く前に、喜美子の絵付け火鉢、見たってもらえませんか。あいつ頑張っとるんです。せやから見たってください、頼みます!」
こうして草間は、丸熊陶業へ。
喜美子の絵付け火鉢をじっと見つめています。
彼の感想は、想像していたのとは何か違うそうです。彼はいわゆる絵を描いているのかと思ったそうでして。
喜美子は説明します。
ああいう、いわゆる絵を描くのも好きやけど、こういう模様みたいな絵柄を作るのも楽しい。
同じ絵を繰り返し描くんも、好きや。草間はそこが理解できているようです。
そしてこう言います。
「こう、自分の手で何かを生み出す作業が好きなのかな」
喜美子は納得するのです。
ああそうか。そうかもしれん。
今は陶芸にも興味がある。絵付け火鉢生産は減っていく、もっと世界を広げようと思っている。そう言いつつ、お茶をいれます。
そうそう、きみちゃんはそういうところがある。
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直子のために紙芝居を作る。
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荒木荘ではペン立てを作る。
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大久保さんから伝授されて、工夫した料理を作る。
絵は学校に行かなければできない。
ペン立ては暇人の遊び。
料理は女子力?
いや、全部手で何かを生み出すことだから。きみちゃんは全部大好きなのです。
草間はそこを理解しています。慶乃川の陶芸を金にならんとぞんざいにあつかった弟子――そんな喜美子の成長を喜んでいるのでしょう。
「これからもっといろいろな経験や出会いを……あ、そうだお見合いもするんでしょ」
ここで草間は、一緒に行ったあのときのことを語り出します。中華料理店に、妻へ会いに行ったときのこと。ずっと探していた奥さんの心が自分から離れていたことを確認したあの日、彼は迷いなく言い切ります。
心から好きな人。好きな人ができると世界が広がるよ――。
草間さんはそんな言葉を残し、直子を連れて東京へ戻ってゆきました。
喜美子の心には、八郎がいます。粘土をこねる八郎を今日も見ています。
心から好きな人――そんな草間の言葉を思い出しつつ、じっと見ているのです。
けれども、喜美子は炎のヒロイン。顔が近い、目線が強烈や!
八郎は困惑しております。
「あの! 川原さんもやってみます? ろくろ使って」
ろくろだけでも何年もかかる。そう喜美子は断りかけますが。
「いや、そんなん、何年もそこでじっと見ていられたらかなんさかい」
八郎はそう言います。
こうして、陶芸までたどり着きました。ヒロインがここまで来たでぇ!
折り返し手前、もう12月、第10週にしてこうなりました。それでも『半分、青い。』の扇風機よりは早い。あれは特殊で残忍でよかったものです😁
好きという気持ちが、恋心と陶芸でぴったり重なっているところが、本作の特徴です。
八郎は説明を始めます。
喜美子は、彼の指示に対して何を怒っているのかと突っ込む。怒ってないと八郎は否定。真剣になるとちょっと強い口調になるのでしょう。ミッコー記事ツッコミからそうでしたね。
でも、そこがええんちゃう?若い女相手だとデレーっと下心満載口調になるよりもええやん。
まずは土を触るところ。荒練りから。
ぎゅっと粘土を押す。
僕と同じになってみて。ええからやり。力込めて左右均等にな。
あげて押す、もう一回。押す。うん、もっとこう、ぐっ!
腕の力やのうて体全体を使うんや、そう力入れて。
あーちょっと、こっちの脚引いて。
そうそう、体を上にあげて、上から下に押す。そう!
もう一回行くで。上から下に押す、そう!
上から下に押す!
ほんで土が広がって来たら畳む。
こっちの手をそう。そう、そう、こっちも同じ。こっち持ってそう。畳む。
しっかり溝を埋めないと。
あんまり力を入れすぎたらあかんで。
澄んだBGMが流れ、二人の目が真剣に輝くところに、ろくろがりつつ・・・次週に続く。