◆スカーレット【第56話あらすじ】◆『好きという気持ち』 八郎(松下洸平)の作陶を見守りながら、胸の高まりを感じる喜美子(戸田恵梨香)。八郎から陶芸について教えてもらい、時間が経つのも忘れてしまう。帰り道、喜美子は信作(林遣都)と出くわし「お見合い大作戦」に誘われる。信楽の結婚適齢期の若者たちを集めた、言わば“合同見合い”で、喜美子の家族の了承も得ているという。さらに八郎も来ると聞いても喜美子は気が乗らない。一方、川原家では直子(桜庭ななみ)から電報が… (Yahoo!テレビ]より引用) |
昭和34年(1959年)―--ずっと見ていたい、うどん皿を作る過程。それを作る八郎。
喜美子の目が、彼の手を見つめています。
オープニングでハートが鳥になるところでは、喜美子の髪型が団子スタイルです。
つまり、劇中の現在と同じということ。
好きという気持ちがあるのか。じっと見つめる喜美子。八郎は、うどん皿を電気窯に入れます。
片付けを手伝おうとする喜美子に、八郎はちょっと険しい声で言います。
「触らんといてください!」
それからこう、付け加えます。
「自分の仕事は自分で」
ここ、どう思いますか?八郎は気持ちも不器用なんですよ。
女である喜美子に片付けされたろ。おっ、この子僕に惚れたんかな?
そういう気持ちは抱いていない。純粋に、陶芸の話ができて嬉しいと思っているのでしょう。
こういう朝ドラめんどくさい男最大のやらかしは『半分、青い。』の萩尾律が通過済みですので、あの律よりはマシだと思えばなんとかなります・・・よね😉でも律クン最高💓
喜美子の反応も大事。
「あ、ほな」と納得しています。
せっかく片付けて女子力アピールしよ思てたのにぃ〜! ということにはならん。
八郎は、陶芸のことなら鋭い。喜美子が粘土の切れ端を見ていたことに気付いています。
そう指摘されて、ポイポイ捨てるのはもったいないと喜美子は言うのです。
「カスいうんです。捨てませんよ。ここの缶カンに入れとくんです」
カスでも再生できる。このカスをまとめて水かけて練り直したら、十分使えると八郎は言います。缶カンの中を覗いて、喜美子もいっぱいいると驚きます。
「生き返らしたるから待っとき!」
心の中で、そう叫ぶ八郎。
ササッと練って小さな人形を作ります。
「はい」
「あっ、人! 小人や!」
「妖精や」
「今なんて言うた?」
「小人でええ」
「妖精やなかった?」
「聞こえてるやん!」
カスでできた人形を、小人だと言う喜美子と、妖精だと言う八郎。
こういう作り手の創作論が出ているセリフは重要です。
雨音が片耳、半分だけ聞こえる。聞こえない耳はいつも青空。半分、青い。そういう『半分、青い。』。 ありえないことを、本当のことのように描くこと。地味だのなんだの言われても、開拓魂を貫くこと。そういう『なつぞら』。 そして本作は? カスを捨てない。取っておいて水をかけて使う。失敗も無駄じゃない、そこから再生していくこと |
そして八郎の陶芸説明タイムです。
形作り。少し乾かす。
崩れたり、歪んだりしない程度に。
削ったり。掘ったり。把手や注ぎ口がある場合はつける。
小人に把手や注ぎ口があるんですか?と喜美子が茶々を入れて、八郎は例え話だと笑います。
十分に乾燥させて素焼き。
ものによるけれど、700度から900度、電気窯で焼く。
「焼かれるでえ!」
喜美子はそう小人に話しかけます。
素焼きのあとは、喜美子も手がける絵付けです。
なんだ、そっか、私は勘違いしていましたね!
ミッコー撮影の時は素焼きの段階だから、淡い色に見えたのか!
すっきりしました。浅はかでした<m(__)m>
そのあと、釉薬をかけます。ものによるし、やりかたも様々。絵を描いたり、装飾したりして、素焼きより高温で長時間焼きます。
「まーた焼かれるでぇ!」
小人にそう語りかける喜美子。
少ーし縮んで、また姿を表す。これでようやく生き返った。
完成だと喜美子は納得します。
かなりはしょったけどな。八郎はそう言います。
粘土カスでも十分焼き物になるんやなと喜美子は感心しているけれど、これは粘土だけではなく、人間もそうかもしれない。
うちは中卒で、女やから。百合子の進路相談の席で、喜美子はそう悔しそうに叫んでしまった。
社会からはみ出してカス扱いされる人もいる。
そういう人を捨てるのか?生き返らせるのか?
そこまで感じさせる秀逸な場面です。
それと同時に、まるで喜美子と八郎のこれからのようにも思えてくるのです。
焼かれるでぇ!
まーた焼かれるでぇ!
熱い窯で焼かれる小人。あるいは妖精。
「あっ、こんな時間や! 叱られる」
思わずハッとする喜美子のセリフがなかなか強烈で。
都合のいい時だけ子供扱いされる。
連絡遅いと言われるって。
喜美子は火鉢も片付けないといけないと思い出します。
お互いありがとうと言い合うところまでは、ええ雰囲気ではあるのですが……。
ここで、八郎が地雷を踏むんや。
「せや! 川原さんも参加しやんの? お見合い大作戦!」
ここで破裂するんかー!
帰宅までも持たなかったんかー!
八郎が信楽の若者を集めた、集団見合いだと説明する。
喜美子はイラッとしてる。
「そんなんしいひん、興味ないわ!」
しかし、鈍感な八郎は気付かない。
信作と盛り上がり、「ハチ、お前は絶対参加しいや!」と言われたそうです。
喜美子はショックを受けている!
なんでや、なんでそんなん、ハチと信作と呼び合ってんのや!
いつの間にそうなったと聞かれると、よくご飯も食べる、「あかまつ」で飲むとまで言われる。
この二人、酔っぱらってジェスチャーゲームをするってよぉ!
【きみちゃん、怒りの嫉妬ロード疾走中】
・なんやねん、友達おらんちゃうの! おったんか……なんやねんもう!
・信作とハチ! うちらは川原さん、十代田さん、やんか!
・ジェスチャーゲーム! 陶芸だけの話ちゃうん? そんなんうちが入れん話せんといてぇや!
視聴者としては、喜美子の燃えるような嫉妬が伝わってくる。
あ、こういうところ、父親に似ましたね。結構、直球ストレートタイプなんですね。
でも! 圭介の時はここまで出ていなかった気ィがする。
あき子の時よりも、信作相手に怒ってませんか?
それなのに、鈍感八郎は、川原さんはお見合い大作戦に出るか?と繰り返す。
そこはむしろ、
「きみちゃんは出なくてええよぉ」
と言って欲しかったはずや! あるいは八郎に参加して欲しくないと潜在的に思ってるか。嗚呼、それなのに八郎ときたら……。
八郎が火鉢を持つかと声をかけても、断ってズンズンと立ち去る喜美子です。
「さいなら」
「さいなら!」
そうキッパリと言う。
喜美子はイライラした顔のまま、大野雑貨店に向かっております。
遅い帰宅ですが、ジョーとバッテリーを組みそうな信作に何か言わねば気がおさまらんのでしょう。と、そこへ信作が帰ってきます。
信作は、喜美子の家に寄っとった、丸熊の絵付けにいんかったと言います。
喜美子は待っていたと低い声で言う。店主夫妻はお出かけ中だとか。
「もう帰ってくるやろ。なんか用?」
「二人でご飯食べたりする時、うちも誘ってや!」
喜美子、単刀直入にも程があるやろ。
「あかまつ」でジェスチャーゲームをするなんて!
そうジェスチャーをしつつ語り出す喜美子。
「問題です! ゴリラが踊りながら信楽焼の……」
答えながら言ってるやん。それ、ジェスチャーゲームちゃうやろ。
信作が突っ込む。
信作は本題に戻る。
そろそろ身を固める歳やど。照子はもうすぐお母さんになるし、落ち着いて欲しいと、おじさんも思っていると。
そこでのお見合い大作戦です。
ジョーは大喜びでニコニコだった。詳しいことは言うといたと語ります。
悪意はないけれども、喜美子にすれば最悪のことをやらかしましたね。
「ハチも出るし、喜美子も頼むや!」
信作が頼み込みます。喜美子が出ると申し込み殺到するってよ。マスコットガールミッコー言うてな。
喜美子はそう聞かされつつ自転車に乗り、こう溢します。
「一生言われんの……」
アイドル扱いはほんまクソや。そういう生々しい本音来たで!
それに気づかないでミッコーと声をかける信作もいらつくわな~。
はい、喜美子の試練は続いとるで。
喜美子は、遅いと断りつつ帰宅します。最後の敵はジョーや。
しかし、いざ帰ると川原家がどこかおかしい。百合子とマツが呆然とした顔でこう言います。
「お帰りなさい」
「ああ、おかえり」
仕事で遅うなったと断りつつ、目敏い喜美子は夕飯もまだだと気づきます。
ジョーが圧倒的に不機嫌です。
そこで喜美子は先手を打ちました。
信作に頼まれたし、お見合い大作戦には出る。結婚する気はさらさらないが、出るだけなら出る。
そう言うのですが、空気は一向に明るくならない。お通夜のようだと喜美子が突っ込むほどあかん。
覚えときましょう。これが、あかん雰囲気いうやつや。
ジョーはイライラしつつ、言質を取った、出ろと言います。。
喜美子はもうめんどくさいので、参加するするするすると連呼して、ともかく重たい空気を押し退けようとしてはいる。
しかし、どうにも暗い。
百合子は、信にいの帰った後、東京から電報が届いたと深刻な口調で言うのですどうやら、ジョーはマツを止めたいらしい。しかし、マツは東京に行くしかないと思いつめている。
東京から!直子に何かあったのか?
喜美子は驚いて電報を見せろと言うわけです。
それがあった場所はジョーの尻の下。臭そう。毎日ジョーが臭そうです。
「なんで尻の下に敷(ひ)いてんねや!」
「尻であっためたら文面変えたりちゃうかて……」
しょーもないボケを入れつつ、尻の下から電報を出すジョーです。さあ文面は?
l モウイヤ l モウダメ l モウアカン |
BGMがスチャラカと盛り上げる中、謎の深刻感が出てきます。
直子が電報と同じ文面を叫ぶ無駄なイメージ映像まで入る。
何があかんねんときになりつつ・・・次回に続く。