◆スカーレット【第48話あらすじ】◆『心ゆれる夏』

「信楽初の女性絵付け師」として、新聞紙面を飾った喜美子(戸田恵梨香)。会社の若社長・敏春(本田大輔)のアイデアでニックネームも付けられ、アイドル扱いで担ぎ上げられる。しかし記事には肝心の絵付け師としてのキャリアや師匠の深野(イッセー尾形)の紹介もなく、社内の波紋を呼ぶ。なぜか新入社員の八郎(松下洸平)が喜美子にいら立ち、深野にある告白をする。一方、東京から戻った常治(北村一輝)から聞かされたのは…

Yahoo!テレビ]より引用)

昭和34年(1959年)—喜美子の記事が新聞に掲載されました。

「綺麗な写真や。狸が化けたんとちゃうか」

フカ先生もニッコリ。社長室にはお花もお酒も届く。ホクホクや!敏春の宣伝戦略成功です。

 

そしてジョーは東京から戻ります。北村一輝さんの汗を拭う仕草ひとつとっても、見ているだけで臭そうで絶品です。なんとも暑苦しいε-(´∀`*)ふぅー

百合子がジッと見つめる中、日が高いうちから酒を飲むジョー。

直子のことは語らず、こう繰り返すのです。

「蒲田いうのはな……」

「蒲田がけったいでな!」

何を言うてんねん。周囲すら理解できない。蒲田は人名ではなく、直子の寮がある地名でした。京浜工業地帯の寝床になっている住宅地かつ歓楽街ですね。

食卓には、奮発したメニューが並ぶのに、ジョーは酒瓶を抱いてゴロ寝してしまう。

そして寝言はこうだ。

「直子ぉ……」

全体的に見てマイナスだらけなのに、チラッと見せる娘への情愛でかろうじてプラスへ持っていく。

翌日、約束通り八郎がやってきました。用件はあのシャツの修理です。

あのシャツひとつとっても、彼の性格が見えてきてはいます。

・喜美子どころか信作も気づくほど雑な縫い目

→他人からの目線に割と無頓着なのでしょう。

・不器用なのかな?

→陶芸はするけれども、どうにも不器用なようです。

・不器用なのに自分でやってみた

→誰かに頼まず、自力でなんとかしようとは思うようですが。

その八郎は、喜美子の横で黙って座っているだけです。これが他の人、普通の人ならば、新聞記事の話くらい振ってもよさそうですが……彼は雑談ができないようです。信作とも見つめ合いになってしまった。

あの時、喜美子と盛り上がれたのは陶芸の話題だったから。それ以外の雑談だと、天気の話すらできないのでしょう。それで信作もああなったのではないかなと。

「すいません、ありがとうございました」

縫い物が終わって渡すと、一応、お礼は言う八郎。

喜美子は、何で怒っているのか?と聞きます。前会うた時と感じが違うって。

八郎は怒っているつもりはないと返します。

もともとそういう感じなのか? もともとそういう感じならそういう感じでいきます――と喜美子がまとめようとすると……

「そちらも前に会うた時と違います! マスコットガールやとは知りませんでした」

八郎がそう言い出すので、喜美子は動揺して椅子からガタッと立ち上がってしまう。

八郎は喋りだす。いきなりガーッと喋りだす。

ホットケーキを食べとうて絵付け師になりはったんですか?

お名前も川原喜美子。カワちゃんかせいぜいキーちゃん。

ミッコーって何ですねん。

喜美子はあの新聞記事で怒っているのかと悟ります。

八郎は止まらない。丸熊陶業いうたらミッコー? そうなのかと問い詰めてくるのです。

喜美子は否定します。

フカ先生だと。深野心仙先生だと。八郎はそれを知っていた。日本画で芸術賞も取った有名な方。それなのに、記事では一言も触れていなくて失礼やないですか。そう言い出すのです。

ミッコーやホットケーキの方が大事ですか?

そうまで言われ、喜美子は否定します。

そんなことあるわけない。

けれども、新聞を読むとそう思えてしまう。八郎はそう言う。

喜美子は辛くなってきた。適当に書かれた。アッキーでもミッコーでもええ、適当に書かれただけ。

そして後悔の念を口にします。こんなに騒がれるし、怒る人は出てくるし。

八郎はこう説明します。

怒っているつもりはない。新聞記事を読んだら腹立った。喜美子はそれが怒っていることちゃうかととらえる。

確かに、そうですわな💧

八郎はここで頭を下げます。

「せっかく直してもろうたのに何やかんやいうてすみませんでした。ありがたく着させてもらいます。すみません、失礼します」

こうして出て行くのでした。

 

喜美子は社員食堂掲示板に貼ってある「本日のシンデレラ」記事を剥がそうとします。

適当なことが書いてあると言うわけですが、フカ先生は受け流します。

信楽初の女性絵付け師はほんまのこと。細いことは気にせず、堂々としてたらええ。

これが普通なんでしょうね。

この社員食堂の場面は、八郎と周囲の差異がわかるので重要です。

お花もお酒もジャンジャン届き、八重子は喜美子を褒める。緑のご近所でも大騒ぎだって。

そして入ってきた加山はこうだ。

ミッコー絵付け火鉢の注文殺到中!

お茶を事務所に持ってきてくれって。

注文も来客もバッチリ入っているようですね。

「時代は深野心仙からミッコーですわ!」

そう大はしゃぎです。自分が、喜美子のデザインに塩対応したことは完全に忘れているかの様子。

新入り3人衆のうち、八郎以外は苦い顔をしています。

「本人の前で言わんでも……」

「悪気ないんやろ……」

八郎だけが、我関せずといったように食事を黙々と取っています。

これって奇妙ですよね。どうして八郎は、ここで深野先生を侮る意見に怒られないのか?

彼なり切り分けをしているのです。 

フカ先生は絵付け工房で、弟子のデザインを見ています。

1番は海のつもりで汁の干上がったうどん。二人とも道迷っとるで。そう容赦ない指摘をします。 喜美子に先越されて迷っちゃったのかな。

そこへ八郎が入ってきます。

そしていきなり喋りだすのです。

「最初にここに挨拶に来たとき、ほんまは言おうおもてたことがあります。緊張してしもて言えませんでした。今日改めて言わせてもらいます」

促されて椅子に座り、彼は語り始めます。

深野先生の日本画は、自分の家にずーっと飾ってあった。

鳥が飛んでます。山があって水辺があって、こちらの方から日の光が射してくる。

鳥は2羽飛んでいる。

祖父が日本画が好きで、ようやっと買えたという思い出の一枚。床の間にずーっと飾ってあって、祖父の死後は形見やいうて大事にしていた。

そう聞かされて、フカ先生は「ありがたい話や」と言います。

ここで八郎は、感極まった様子で切り出すのです。

いえ、それを白いご飯に変えました。

僕が11の時です。

闇市行って、先生の、大事に飾ってあった先生の絵を、一番高う買うたってくれる人探して売って、ほんで、これぐらいの白いお米と卵三個に替えて……。

今回こちらに来ることになって、絵付けの絵をお描きになっているのが深野心いう日本画描いてた人ってわかって……これはもう偶然ちゃう、必然かもしれん。

お会いしたら頭下げようと思ってました!先生の大事な絵をすみませんでした、先生のおかげで白いご飯、卵、ほんまにありがとうございました!

感極まって泣き出す八郎の頭を、小さな子どもをそうするようにぐしゃぐしゃと撫でるフカ先生。

「若い頃描いた名もない絵や。忘れんとってくれてありがとう」

「すみません、すいませんでした!」

八郎がフカ先生を知っていた理由は、祖父が芸術的感性を持っていたからなのでした。

新聞記者は知らない。敏春は古いという。番頭の加山も、実は名前を尊重していただけかも。

それでも八郎には知っているだけの理由がありました。

絵に思い入れがありました。

この場面は感動的ではあるけれども、ちょっと普通じゃない。

もしあなたが八郎の立場だとして、同じことをしますか?

「絵のことは黙っとくか。気まずいしなぁ……」

こうなりませんか?それが八郎にはできないのです。

その夜、喜美子は絵を描いています。

かつて八郎の家にあった絵。どんな絵なのか。喜美子なりに、再現しようとして鉛筆を走らせるのです。忘れられていく、戦前に名を成した深野心仙。その名声ではなく、絵の価値を知る若い二人が、絵を通して繋がろうとしています。この2人がどのようにお互いに想いを築き上げていくのがちと楽しみ(喜美子💓八郎確定路線で😝)にしつつ・・・次週続く。