◆スカーレット【第44話あらすじ】◆『心ゆれる夏』

火鉢の絵付け師として歩み始めた喜美子(戸田恵梨香)。徹夜の末、新デザイン図を描き上げる。師匠の深野(イッセー尾形)のお墨付きをもらい、喜美子は早速、社長にプレゼンすべく事務所へ向かう。途中で役場勤めの信作(林遣都)と出くわし、信作を伴い事務所に入る。喜美子が本題を切り出す前に信作が火まつりの話題で盛り上がり、新婚の照子(大島優子)も登場。婿に来た夫に尽くす照子の変貌ぶりに、喜美子は言葉をなくして…

Yahoo!テレビ]より引用)

昭和34年(1959年)—苦労して作った火鉢デザインを、フカせんせいはひたすらこうだ。

「おお! ほう、ほう?!」

「どっちですか。持っていきます? 持って行きますしね」

喜美子は新しい火鉢のデザインを持って、社長の元へ向かいます。

向かった先にいたのは?

信作でした。

「おうおう久しぶりやな! 正月以来? いや見かけた。自転車の後ろに酔うたおじさんくくりつけて……

そんな信作の顔を喜美子は掴みます。

「人生の大事な局面やねん。顔小ちゃいなあ」

林遣都さんは確かに小さい。注意したいのは、当時、舞台俳優は、顔は大きいほうが有利でした。テレビに変わりつつあるとはいえ、まだまだそういう時代。昭和のスターは顔が結構デカいものです。

ここで信作の逆襲やで。

「手ぇくさいな! 俺のここ、ええ臭いするから嗅いでみ? ははっ臭いやろ! 昨日の夜ここにゲロ吐かれてん!」

ゲロを吐かれたスーツを今日も着るんか!

喜美子は臭さに悶絶しつつ、大事な局面やと言います。

そして信作の要件を聞く。

彼は役場勤務でした。商工観光課課長だってさ。春から異動だそうですよ。

しかも小さい嘘ついた。まだ課長じゃありませーん、下っ端だって😓

「その話あとにせえへん?」

喜美子、鬱陶しがっている。気持ちはわかる。

「お前はいつも忙しいな、万年忙し太郎やな〜」

そうはしゃいでいると、番頭の加山がこう言います。

「なんですねん? 話やったら向こうで!」

「出直す?」

「いやいやいや、お先、お先」

そう言い合いつつ、二人は社長の元へ。

秀男社長は、

「スイカの種が許せるけれどもぶどうの種は許せない」

と語っております。

加山は喜美子がやってきたのを見ると、また給料の前借りかと笑顔。

そうか、やはり前借りしてたんか。しかも、そこそこ常習っぽいしな。

扇子でパタパタしている社長は、信作を見て喜びます。

「お〜、信作来たな、入り、入り!」

信作は昭和ビジネスマン必須の書類封筒から企画書を出してくる。

それでこうだ。

「昨日は貴重なお時間頂戴しました。火祭りの企画書です」

昭和やな〜。企画の中身でなくて、昨晩飲んだことがフックなんです。飲みニケーションの世界や。

祭りの企画の把握も曖昧で、演歌歌手を呼ぶ程度しか話をしなかったようです。それも呼べればの話でして。

社長は喜美子を見かけると、父の運送業と母の様子を気にかけていると言う。

「演歌歌手を呼ぶ理由はあるのでしょうか?」と真顔でドン詰を開始して、相手が引く。

なんですの?

そう急かされ、喜美子は新デザインを出してきます。

加山はムスッとしている。社長も面倒臭そう。

「受け取るだけ受け取ったって。フカ先生にも言われてるやろ。あとであれするて」

加山は受け取り、ろくに見ないで机の棚に置いてしまいます。

受賞歴のあるエライ先生、しかも年長者の男性ならばともかく、貧しくて中卒の若い女が出してきたものは見る価値もない。そういう偏見が根底にあるんですよね。

喜美子はめげません。

「また持ってきてもええですか? 社長さん、採用されへんでもかまいません。また来年持ってきてもええですか? 今年がだめなら来年。来年が駄目ならその来年! 考えるの楽しかったです。また持ってきてもええですか? ほながんばります!」

喜美子は明るくそう言います。

ここで、部屋の奥に若い男性がいる姿が映ります。

社長がうちの婿だと紹介する。婿入りして【みつきと29日】だそうです。

喜美子と信作はちょっと動揺しています

「あんな男といっしょになるくらいだったら、もうゴキブリの方がええ! いつか琵琶湖に沈めたる!」

二人はそんな照子の言葉を思い出しています。結婚前、幼なじみ二人は酒を飲みながら輝子の愚痴を聞かされたのです。

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さて、そのゴキブリ以下の男は?

結婚指輪をしていて、洒落たスーツ。信作と比較するとわかりやすいかも。

そして算盤をパチパチと弾いております。

一体どんな人なのか?

京都老舗旅館の三男。大学を出た。会計事務所を辞めて婿にくる。両親は大喜びで断れない。

「決まってしもうた! 断れへんのやー!」

照子はそう嘆いていたものですが……。

その照子が、お盆に果物を載せて入ってきます

「失礼いたしますぅ。いただきもののおスイカとおぶどうおもちしました〜。敏春さん、どうぞぉ」

「ありがとう」

甘ったるい声でそう言う照子ですが、結婚前はこうでした。

「頃合い見計って絶対琵琶湖に沈めたる!」

喜美子は火鉢をくくりつけたると相槌を打っていました。冗談きついわぁ〜。

「あんな男ゴキブリ百万匹のほうがマシ!」

それがすっかりなついている様子です。

「食べていかはります?」

「いえ、失礼しますっ!」

喜美子と信作は退場します。2人は外で爆笑。そこへ照子がやってきます。

「見たなぁ〜! 二人揃ってみやがったなこのぉ!」

二人は爆笑です。おスイカおぶどう敏春さ〜ん! 照子の若奥様ぶりに笑い転げています。

信作に至ってはこうだ。

「どうぞ言うてもの出したりできるんやな!」

そんな信作に、照子は結婚していないと突っ込む。

それな! あのおしくらまんじゅうの時に、三年後は自分だけ結婚しているとドヤ顔していましたからね。しかも、好いていた今日子ちゃんにフラれたってよ。女心はわからへんだってよ😱

喜美子も女だけど、女心はわからへんと言う。それに対し、照子が、喜美子はまだ女やないと言う。

ムッとする喜美子。働者の掌をつきつけます。臭いぞぉ!

喜美子なりに心配ではあった。

琵琶湖に沈めないか?

家出しないか?それがみつきと29日持っている。

「好きになったんやなあ」

「相手がな」

「好きになったんやな」

「敏春さんがうちのこと……」

「好きになったんちゃうの?」

「……好きになった」

「おほほほほ!」

「おほほほほ!」

新妻・照子の惚気を引き出し、幼なじみ二人がはしゃいでいます。

照子は照れながら言います。二人でいたら優しい。物知りで「自由は不自由やで!」も知っている。

喜美子がジョージ富士川のことだと言うと、ちょっとびっくりしている照子です。

敏春招聘で彼は再登場するわけですね信楽だけじゃない、日本の焼き物の全てに詳しい敏春。

夢は、丸熊陶業を日本一にすることです。

ここで信作はこう言い出します。

「日本一なら聞いた。照子の兄ちゃん。亡くなった照子の兄ちゃんも、日本一にするって言うてた。よう覚えてる。缶ポックリ習った。日本一。照子の尻のでっかいほくろ。亡くなった兄ちゃんの強烈な思い出や」

「そうか日本一か……」

照子はしんみりとそう言います。それから惚気に戻ります。

うちの作ったまっずいご飯も文句いわず食べる。家事を放棄していた照子も、母に言われてやっと始めたようです。照子はいただきもののスイカを持ってき持ってき、と幼なじみ二人に勧めます。

おスイカとここでまた茶化される。でも、この大量のスイカもちょっと怖い伏線かもしれません。

 

さて、その敏春ですが……。

「これでは融資を受けられません」

義父である社長にそう言い切ります。加山も戸惑う中、ゆくゆくは融資を受けて拡大を目指すと敏春は宣言するわけです。社長はピンと来ない。そこの信金でピャピャっと貸してくれると言います。付き合いと情で生きてきた田舎の社長さんですわ。

加山は面倒臭そうな困惑がある。敏春もそこはわかった上で、面倒臭くても事業計画書は必要だと主張するのです。社長は戸惑いつつ、世の中は見てきたと返します。

加山も深野神仙先生を見つけてきたのは社長だと言うわけです。

しかし、敏春はこう言い切る。

深野神仙先生は古い。その上で彼の理論を語ります。

種が面倒なぶどう。ならば種無しぶどうを考えてこそ、世の中をよう見とるということだと。

社長は笑い飛ばします。

「種無しぶどう? ははははは! 地球がひっくり返ったってできるわけない。深野先生は古くない! 腐っても鯛や」

若手社員を増やすことには賛成したはずだ。敏春はそう強気です。

事業は確認してゆく。決算書もあげる。そういう流れになります。

このやりとりを踏まえたあとで、敏春は加山の机にある喜美子のデザイン画に目を止めます。

そして熱心に見入っている。

確かにこれはええ。

薔薇のモダンなデザイン。

欲しくなる。

現代人の目からするとレトロですが、フカ先生のものと比較すると斬新です。

喜美子のデザインは、ボタニカル柄家電を先取りしているのです。

ちょっと現代でも愛される北欧風かも。

喜美子と信作は自転車を押しつつ帰っています。

話題は離婚。未婚の信作ではなく、その両親だとか。割れた茶碗はなかなか戻らんなぁ。そうこぼす信作に、戻せと喜美子は迫ります。

それが戻しても、2週間に1度くらい、思い出したように戻るんだってさ。

そして目の前では、その大野夫妻が掃除道具を構えつつ大喧嘩をしています。

百合子が出てきます。

「信にい、おじさんとめて!」

「百合子、なんでここいんの?」

喜美子は戸惑います。何かをもらったようですが。

本作はギャグの裏でおそろしい展開をしますし、ひっかけも多いのです。

大野夫妻はいわば影武者で、本当の夫婦の危機は照子と敏春に迫ったりして。

なーんてちょっとドキドキしつつ、次回に続く。