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◆スカーレット【第35話あらすじ】◆『自分で決めた道』 阪の暮らしに別れを告げ、信楽に戻った喜美子(戸田恵梨香)。父の常治(北村一輝)と仲直りして川原家に久しぶりの平穏が訪れる。喜美子は反発する妹の直子(桜庭ななみ)をなだめつつ、実家の借金を返すため、地元で一番の陶芸会社で働き始める。仕事は社員食堂のお手伝い。大阪での仕事に比べてあまりにも簡単で、物足りなさを感じる喜美子。ある日、初めて見た絵付け火鉢に目を奪われ、立ち入り禁止の作業場に入ってしまい… (Yahoo!テレビ]より引用) |
昭和30年(1955年)—―荒木荘に別れを告げ、ささやかなれど重たい荷物を、運送屋さんに頼らず自分で運んだ喜美子。カワハラ運送のオート三輪で、ジョーが帰宅すると、娘二人が出迎えます。
「お父ちゃん、おかえりなさい」
「おう」
「おかえり」
「おう」
「今日の肉じゃがは肉入ってんで!」
はい、何気ないシーンではありますが、ジョーの悲哀が凝縮されています。
喜美子はすっかり、川原家の太陽になりました。
直子には勉強を教えています。数学です。
この教え方ひとつとっても、理屈がハッキリしていて賢いとわかるのがすごい。
喜美子は素晴らしいお姉ちゃんか。娘か。ここは大注目です。
マツもウキウキしています。
「今日の肉じゃがは肉入ってんで〜!」
「やまかしいわ!」
ジョー、やはり会話できてない😓。
ここで喜美子はこう強気な提案をします。
「お父ちゃん、これからお酒は週末だけにしよ」
「何言うとんねん!」
「それなら週3日!」
「あかん!」
「あかんことない!」
「大阪帰れもう! 帰れ!」
「もう帰らへんよ。うちの家はここや」
ジョーは、一人で、誰も見ていないところで、腕をぱたぱたさせながら全身で大喜び。顔はニヤニヤです。
今日のあらすじでは、こういう解説が多いものです。
【喜美子はジョーと仲直りした】
この先も見ているとわかりますが、喜美子は納得し、ジョーの気が済んだだけのことです。
「何言うとんねん! あかん! 帰れ!」
まぁでも、だからといって彼がアホなだけかというと、そうでもない。丁稚奉公して飲んだくれて、教養を身につける時間もなかったのかもしれない。
ジョーをただの飲んだくれとしてだけではなく、愛嬌があって憎めない、憎んでもしゃあないところに落とすのがうまいと思います。あの子供みたいで不器用な喜び方を見ていると、どうでもええと思えてくるからすごい。
はい、晩ご飯です。
「なあもう一杯! もう一杯くらいええやん! もうあかんのか! もうなんでやもう! もう一杯! こんなん飲んだうちに入らへんやん!」
ジョーの酔態を背景に、家族は会話をしています。
百合子は家庭科で褒められたと話す。
マツは、大久保直伝――そんな喜美子の味を褒める。そうそう、こうやって味を通して伝わるもんがある。
直子は食事を残します。それからこうだ。
「芋嫌いや! 毎日、芋芋芋芋芋!」
直子はブレない。思えば子供時代、乳歯が抜けた口を大きく開けて、暴れていた頃からこうだった。
「うち、東京行くしよ」
そんな直子は、卒業後の上京宣言をします。
こんな時にせんでも。そう話を逸らすマツ。これもマツの欠点かもしれない。現実逃避しちゃう、そういう生きる知恵がある。
一方、東京なんて許さないと止めるジョー。酒以外の話をやっとしましたね。
ここまでは、直子も想定内だとは思う。大阪ではなく東京と言うあたり、ともかく親から遠ざかりたいんでしょう。
しかし、喜美子は強いのです。東京で何をしたいのかと穏やかに聞いてくる。やりたい進路をじっくり考え、まずは残さず食べろと説得します。
「直子、食べ」
直子は、素直に食べ始めます。
直子は親への反論は鍛えたけれども、図星を突いてくる姉対策はできていない。
ジョーみたいにオラオラあかんと言い切る相手は逃走でなんとかなりますが、喜美子は違う。
ただの逃避だと見抜いた上で、道を塞いでくる。やはり賢くて強いぞ!
これも厳しい話ですけれども、喜美子ほど賢い設定にされていないとも感じる。
そんな問題児のの妹ではなく、優等生のの妹・百合子はこうです。
お父ちゃんとお母ちゃんどっちに似たのかと聞かれ、喜美子姉ちゃんに似たと答えたのだとか。はぁ〜、理想のええ妹や☺。
「やかましい! 週8日飲む! 8日や!」
ほぼ一方的に喋り散らし、マツと喜美子は諦めてぬるく突っ込みつつ苦笑。百合子もそうなりつつある。直子は目が腐る一択です。なんとも生々しすぎる、昭和のおっちゃん像。
道頓堀の水をすくって煮詰めたような、そういうおっちゃん複数の要素を組み合わせ、モデルにしてい居たりして…なんちて😅そういう生々しさとリアリティを感じます。
さて信楽で年が明け、しばらくしますと、約束通り丸熊陶業で雇ってもらう挨拶に出向くことになります。
ここで出迎えるのは、番頭・加山です。
昭和の職人さんらしい方。
そこへ照子の母である和歌子が登場します。上品なええ着物ですね。パッと見ただけでわかる、ええところの奥様感。
そして気になる照子様は、京都の短大に進学するそうです。賢いから周囲から勧められたんですって。これも落とし所ではある。寮生活で、毎週帰ってくる宣言をしている照子。これは喜美子が週末襲撃されかねないということでもありますが、そこも落とし所でしょう。寮ならば悪い虫(=男)もつかないし、帰ってくるのであれば好都合なのです。お見合いで婿取りというルートがあるからね。
ここで電話を終えた社長がやってきます。
「座り、座り、座り、よ〜っこらっしょ」
そこが関西らしいし、「よ〜こらっしょ」のおっちゃん臭さが絶妙でした♪。
はい、ここで勤務条件確認です。
簡単な仕事。通いの陶工と絵付け職人がおりまして……この絵付け職人が手強い親方だそうです。腕はええんやけど。あの親方か。ついつい愚痴りたくなるらしい。
喜美子は絵付けと聞いて目がキラキラして来ますが、ここでしっかり者の番頭である加山が「川原さんの仕事に関係ない」と止めてしまうのです💧。
さて、喜美子の仕事ですが。喜美子はそういう働く人たちに、昼の用意と茶の用意をするのです。
勤務時間午前9時から午後4時で、それ相応のお給金が出るそうです。
できる番頭の加山は、社長が一度は喜美子の就職を引き受けたのに、それを反故にしたことを悩んでいたと漏らします。
「照子がいまだに突きよんでよ……」
そうこぼす社長、これはええお父ちゃんや。
それはそれとして、照子、ウザくてしつこかった。どういう執着心や。
喜美子は笑顔で、明日からでもすぐにでも働くと言い出します。
新しい仕事に早くつきたくて、うずうずしているそうです。
そして仕事の初日。晴れやかなBGMが流れています。
マフラーをつけて、出勤準備が整いました。
ここで喜美子の服装を見たジョーがうるさい。
「お前、荒木荘ちゃうんやで! 天下の丸熊陶業やん!」
マツと喜美子から、働きやすい格好でいいと反論されます。こちらとしても、何があかんのかわからん。ジョーはついて行くと言い出す。子供扱いだと反論される。
そしてマフラーを外そうとします。
「こんなん長いの邪魔や!」
「まだ寒いさかいいるわな!」
父母両方からマフラーを引っ張る。あかん、首に巻いてるのに何しとんねん!
「お父ちゃん!」
結果的に喜美子の首を両親が絞める。
最後には、ジョーが負けた模様。喜美子はマフラーをして、新職場に到着です。その高揚感と音楽がぴったり重なっています。喜美子のワクワクした顔。気持ち。鼓動と重なるようで、使い方が秀逸です♪。
ここで、喜美子のお仕事へ。
重たそうなフライパン。前髪をしまい、油と汗が滲んでいそうな調理場面です。
八重子と緑という先輩もおります
仕事が忙しいのは、昼食の1~2時間のみ
陶工がドヤドヤと食事をする場面が入ります。テキパキとしていて、レトロで、当時の雰囲気が出ていて、ほんの少しでもこれまたいい場面です。
昼食の時間帯が終わると、後はお茶の用意だけ。八重子と緑は、菓子をポリポリしながら世間話をしています。この二人も、そこまで大きな役ではないと思う。けれども、お菓子を食べつつ愚痴るおばちゃんとして、完成度が高い
喜美子は、ともかく働き者。作業場各所へお茶の補充に向かいます。
「ああ、わかるけ? 火鉢のとこな」
「行ってきま〜す」
火鉢にやかんを置く仕事です。食堂で沸かしたお茶を、それぞれの部署に配ります。
そして交換したやかんを持ち帰り、一日何度かお茶を替える。
事務員が働く部署もあります。ここには女性も見えますね。
喜美子は、丸熊陶業が取り入れ始めた絵付け火鉢に見入ります。
思わず微笑んでしまう。これはかなり凝った高級路線でしょうね。複数の色があり、複雑な絵で、風流です。
そう、そこは新部署「絵付係」なのです。
その部屋に入り、喜美子は目を見張ります。初めて見る光景でした。それはこちらもそう。ヒロインの気持ちとシンクロできる、そういう素晴らしさがあるきがする。
喜美子は職人に話しかけます。
「あの、何してはるんですか? 見せてもろうてもええですか?」
しかし、職人はムスッと咳払いするだけ。そしてそこへ、城崎親方が入ってきます。
「関係者以外立ち入り禁止や」
喜美子がここで働いていると名乗っても、こうです。
「聞こえへんやったか? この城崎組の作業場は関係者以外立ち入り禁止や」
原下というメガネの職人が、すみませんと謝りながら喜美子を追い出します。
追い出されガラス越しに、じっと親方の仕事を見つめる喜美子。
その夜、喜美子はなかなか眠ることができませんでした。
寒いからではないのでしょう。
BGMが響く中・・・次回に続く。



