◆スカーレット【第33話あらすじ】◆『自分で決めた道』 幼なじみの信作(林遣都)から実家の家計が火の車で母・マツ(富田靖子)の薬代も払えないと聞かされた喜美子(戸田恵梨香)。妹の直子(桜庭ななみ)にも涙ながらに訴えられ、喜美子は大阪に戻る予定を取りやめて実家に戻る。マツから膨れあがった借金が途方もない金額になっていることを明かされ、喜美子はある決意で友人の照子(大島優子)を訪ねる。一方、大阪では喜美子がもう戻らない電報を受け取った荒木荘の仲間が集まり… (Yahoo!テレビ]より引用) |
昭和30年(1955年)—―アカン方のジョージのせいで、薬代すらツケが溜まって、幼い百合子が受け取りに行っていると知らされます。あまりにあかん事態に、喜美子はどうするのか?
「そんなん、薬代も払えへんなんて……」
愕然とする喜美子。直子はそんな姉に、憎々しげにこれまでの苦労を語ります。
苦労の顛末は以下のような流れでした。
・泥棒に入られる ↓ ・オート三輪購入のために借金 ↓ ・張り切りすぎて足を挫いて、仕事ができなくなる ↓ ・それなのに酒を飲んでばかり、借金増える ↓ ・お米も卵もお肉も買えへん… |
棒の窮地を抜け出してなかったんか!
しかも自業自得であかん方向へ。
オート三輪を買うのはまだわかるにしても、もうちょっとタイミングがあるというか。
そら、直子も「目が腐る!」と言いますわ。最悪やん。
直子は叫ぶしかない。
「大阪戻れ! 大阪行ってまえ! 姉ちゃんなんか、姉ちゃんなんか……」
「やめてえや!」
百合子が止める。泣き出す妹二人を抱きしめる姉・喜美子でした。
と、三姉妹の心の動きで綺麗にまとまりそうですが、これだけはハッキリしておきたい。
“諸悪の根源”はアカン方のジョージや!
思えば序盤からこいつの酒癖はあかんかった。娘たちがポンせんすら食べられない状態でも、酒を飲んでおった。しかも話を悪くする飲んだくれオヤジです💧
でも、ジョーは根っからの悪人でもない。そこが難しいなぁ。憎たらしいだけでもないなぁ。
こんな難しい役をお茶目に演じる北村一輝さんがすごいと思う。
怒っている――そうイジられる顔もだけれども。やっぱり大阪弁やろなぁ。
関西弁罵倒の数々。あの流暢な関西弁と声があってこその、ジョーやで。
喜美子は、マツが薪割りをしている家に戻ります。
「そんなんお父ちゃんに任しぃ」
忘れ物かと気遣う母に、薬を渡す娘。
ほんのちょっと支払いしてきたと言います。
「他にもあるんやて? お父ちゃんは?」
娘の間の鋭さを知るマツは、疑惑を逸らしたい。
大阪に戻らへんの?と聞くものの、ごまかせない。喜美子はマツから仕事で火鉢を運んでいると言われても、納得できない。
足を挫いて痛むとサボっているのではないかと、疑惑の眼差しを向けてしまうのです。
皆、ジョーへの信頼感がゼロやろうしなぁ……。
マツはそれでも、大阪に戻り、としか言えない。むろん、そんなことではごまかせません。
「他にもあるはず」
「なんとかなるよ」
「ならんよ! ならへんから」
そのためにうちを呼びつけたんちゃう?
そうギラギラしながら、喜美子、怒涛の借金チェック
こんなぎょうさん、ツケツケツケ、まだツケや!。
ちゃぶ台に証文をぶわーっと並べて、算盤をパチパチ。
そしてこうだ。
「もうあかんわ! あかんて!」
喜美子はケラケラと爆笑しております。マツに笑い事やないとたしめられても、こうだ。
「笑わないとやってられん。こんなぎょうさん、ツケツケツケ、まだツケや!」
「まだあるよ、まだあるよ!」
マツもノリノリになって、ツケを足します。
視聴者も振り切って笑うしかない、そういうツケツケラッシュに突っ込んできおった。
ええと思う。深刻にジョーのダメっぷりを描けば、それはそれで傑作にはなる・・・かも。😁
ジョーは、もう何から何までツケにしたらしい。払えないはずがない一円のツケ証文に、喜美子は爆笑しております。
マツはしみじみと言う。皆さん優しい。足挫いても助けてくれはった。だから一円でも返そうとしているって。
返せないなら意味ないやん。喜美子はそう突っ込みますが。喜美子はだいたいの借金はわかったそうです。
マツは内職でも追いつかへんと言います。転覆しそうな船から、升で水を掻き出すような絶望感やね。
喜美子は、もっと前に言うて欲しかったとは言う。
大阪から金も送ると。
それ……学費やな……。
これもなぁ。喜美子が借金を把握していたら、進学は諦めていた。
ジョージ富士川サイン会にも行かず、草間宗一郎とも再会していない。そういうことやろなぁ。
マツはこう言います。
「喜美子に帰ってきて欲しいねん。久しぶりに大きな声出して笑った。ありがとう」
喜美子が一日戻るだけで、ここまで借金に辿り着ける。家族を元気にするパワーがあるのです。
そんな喜美子はお茶を淹れると言い出します。孝行息子娘やなぁ。お茶を淹れながら喜美子は、18で出会ったときのジョーは何文字だったかと聞きます。
娘ほどサバサバ系ではない母は、文字数を数えています。
「しょうか(商家)のでっちぼうこう(丁稚奉公)……」
「あ、なんかすいません、もうええです!」
喜美子がそう止めるところが、かなり笑えました。文字でなく、中身に惚れたと言う喜美子。そしてここで痛烈ないセルフツッコミや。
「あんな中身?」
せやな。そんな中身やもんな!
マツから「いがくせい」の5文字に振り向くのかと聞かれ、喜美子はそっけなく返します。
「相手にされへん、どのみちな」
「可愛らしいのに!」
「親の欲目や」
キッッツゥ!
マツはこう続けます。
「信作はキャーキャー言われてる。照ちゃんも楽しそうに学校行ってる」
「手紙もらうわ」
マツとしては、喜美子がそういう幼なじみのような青春を送っているのか。心配なのかもしれない。
さて、照子と言えば、丸熊陶業では雑用募集中でした。今度こそ喜美子が雇ってもらえると、ジョーはフライング気味でやる気になったそうです。
回想シーンでも前のめりのジョー。うまいこといけばと話しかけるマツに、こうです。
「うまいこと言うて来る、待っとけ!」
言い出したら聞かん。関西人らしい、そんないらちなジョー。
喜美子もいらちなのか?
何か気になったのか?
これ飲んだらいくわ。そう切り上げ、喜美子は微笑むのでした。
丸熊陶業看板前を通り、帰路を目指す喜美子。
帰路の途中で丸熊陶業へ向かいます。そこでは前掛け姿の従業員が働いておりました。
しかし、何やら揉め事が。
親方・城崎剛造――。
すまん、この親方とその弟子が画面に出てきただけで吹いた。
顔がおもろいということでなくて、昭和の親方っぷりが出来上がりすぎていて、吹いた。
背後の弟子。メガネのフレームから髪型、生真面目そうな顔と表情まで、当時の写真から抜け出てきたみたいで、吹いた🤣。
この頑固職人という概念を擬人化したような、親方と労働条件が折り合わんらしい。
強気な親方は待遇改善を訴え、組ごと抜けて行きます。
そして照子様や!
「喜美子!」
「照子? なんで? 学校ちゃうの?」
ここで、照子様の妄想が止まりません。
今日から試験だから午前中までや
↓
そんな予定を知って、喜美子は会いに来てくれたんや!
↓
喜美子ぉ〜〜
どういうプラス思考や。ウザすぎるやろ……。
そんな喜美子と視聴者の戸惑いを無視して、ダッシュして抱きつく照子。
「もう離れぇ離れぇ!」
「喜美子ぉ、かわいくなった?」
「人の話聞けぇ!」
「うち、大人になったやろ」
「聞けぇ!」
はい、ここでやっと落ち着く。
なんでも丸熊は絵付けの親方と揉めているとか。
そんなことはどうでもええから。
照子の優先順位は、喜美子が大阪から引き払って丸熊で働くが、第一位です。高校で親友はできなかった模様。
喜美子は訝しみますが、父親同士で話をつけていたと母から聞いたとか。
今度は一筆書いてもらったわけですね。そこで、手紙を書こうと思っていたそうです。
「大阪引き払うん?」
ワクワクしている照子様。喜美子は素っ気ない。
「ありがとう。汽車の時間やから」
「えっ、帰るん?」
「うちで働くの、働かんの、どっち?」
「勉強しぃ」
「勉強しんでもできる! 喜美子待ってるで帰ってきてなぁ! 絶対やで、信楽帰って来てな! 喜美子ぉ~!」
「うるさい!」
そう怒鳴られつつ、別れる親友二人でした。
そんな照子を振り切り、帰って行った喜美子。そのころ荒木荘には電報が届いておりました。
- 【キミコ モドラン スマン】
- 【キミコノ ニモツオクレ スマン】
どっちもジョーからです。
なんやこの、電報とはいえそっけない文面は。
さだも雄太郎も、ショックを受けた顔。
大久保は、母がよほど悪い、しょうがないとは言う。
そう言いつつ、喜美子の荷物をまとめておりました。
その少なさに、全員唖然とする。
きみちゃんの少ない荷物。そこに哀愁を感じる三人です。
「明日、運送屋さんに送ってもらうよう頼むわ」
「ほなお給金もな」
さだと大久保の会話。喜美子が荒木荘に残ると知った時の、あの大久保のウキウキした笑顔を思い出すと辛い……。
ジョーよ。よくもあの可愛らしぃ大久保さんの笑顔を台無しにしおったな!
皆がため息をついている。私もため息をつきたい。
ここで、こう声がします。
「ただいま戻りました!」
三人は出迎えます。
「すみませんでした、ただいま戻りました!」
喜美子の笑顔です。
辛いです。荒木荘が好きだから。
喜美子は喜んで荒木荘を出て行くわけではない。ジョーの借金なんてなかったら良かったのに。
こっちまでジョーへの恨み辛みを募らせ・・・次回に続く。