◆スカーレット【第32話あらすじ】◆『自分で決めた道』

喜美子(戸田恵梨香)の帰郷を聞きつけた仲間たちが集まって大宴会。父・常治(北村一輝)が荒木荘に喜美子が辞める連絡をしたことがわかり、喜美子は大阪で働きながら、美術学校に行く夢を明かす。しかし川原家に響く不協和音を治める役目を喜美子に期待する常治は頑として認めない。喜美子も折れず、仲たがいしたまま翌日を迎える。再び大阪に戻るつもりで家を出た喜美子。道中、信作(林遣都)と出くわし、驚きの事実を聞く。

Yahoo!テレビ]より引用)

昭和30年(1955年)—―明日帰ると言う喜美子マツはそんな娘に、はよ寝るように言います。

「お父ちゃん転がってるけど、気にしなや」

ここで喜美子は、こう切り出します。

「やっぱり言うとく」

喜美子は、お正月に帰った時に言っておこうかと切り出します。それか、やっぱり明日にしよか、言い渋る喜美子。マツはかえって好奇心が刺激されてしまいます。

そして、ここから先が脚本と演出が冴え渡るてる・・のか😵

マツが把握する情報はおそらくこんなところでして。

・嫌なことでなくてうれしい

・うれしくてニヤニヤしてしまうほど

・母ちゃんにはわかってほしい

・もう18やし

・ジョージ富士川いう……パリの学校を出た人

・父と同じ名前や

・来年の春

お水飲まして!

そう興奮するマツ。そして勘違いします。

来年の春……結婚か、と。

そんな母に、喜美子はこう言います。

「立ち話もなんやし、座ろか」

写真もある。そう言われて、あかん。マツ、完全に誤解してます。

ここで、ジョーも起きてきます。

マツは、静かに聞いたげてな、怒らんといて……っと前置き。

喜美子は、ジョーカスは酔うてるし……と嫌そうではある。

「酔うてへんわ! なんやねん」

父を前にして本題を切り出せない喜美子は、草間宗一郎に再会してご飯を食べたことを語ります。

仕事で東京から大阪に来ていたって。年賀状のやり取りはしていたそうです。そうそう、11月ですし、そこなんだな♪

話はそれだけかと急かすジョー。

「酔うてるし、怒ってる」

「こういう顔や、もう」

そう言いつつ、聞いてやると急かします。

北村一輝さんのまつげバシバシしたあの顔を、怒っている顔と表現する本作。半端ないな!

水を飲んで、話せばわかる。マツがそう言います。

そんなマツがジョーと出会ったのも、18の時。母のほうが、ウキウキワクワクしております。

18で結婚考えるのは早くない。ええ人に会うたなら落ち着きたい。

女なら嫁になりたいのは当たり前のこと。

喜美子はムッとします。

「結婚ちゃうわ。落ち着きたいなんてつまらんこと考えてことない。大阪には一人で働く女がぎょうさんいる。いきいきとしてかっこいい!」

ちや子に「お父ちゃんでなくて自分で決めろ」と言われた。さだの姿を見た。大久保のプロフェッショナル魂に刺激を受けた。雄太郎だって、圭介だって、そして草間宗一郎だって。

ジョージ富士川だってそう。男女双方から刺激を受けて、その境地にたどり着いたわけです。

「何をかぶれとんねん。たかが2、3年働いただけで」

それをジョージ、アカン方のジョージは全否定します😖

喜美子はめげずに、エエ方のジョージ、つまりはジョージ富士川について語る。

「はあ、くだらん!」

「くだらんことないわ!」

喜美子は反論します。来年の春お会いしましょうと言われた。サイン会に行って来た。彼が特別講師をやる学校に通うことにした。週三日、働きながら通うことに決めた。

しかし、ジョーには通じない。

「誰が誰の許しを得て勝手なことを言ってんのや! 誰の金や!」

これに喜美子は返します。内職のお金、自分の金だ!と。

しかし、ジョーは論点をずらす。

「誰が学校行け言うた。大阪なんか行かんでええ。ここで暮らせ!」

「学校で何勉強するか聞かへんの? うちが何したいか聞いてくれへんの? うちが何やりたいか」

「お前、ここで暮らした言うて、お前、泣いてたやないか。大阪行きたない言うとったやないか!」

ジョー、紛れもないダメおやじの“屁理屈”を持ち出しおった!

ずっと信楽で暮らしたい。確かに15の喜美子はそう言いながら泣いていた。

「ここで暮らせるんや、よかったがな」

「あのころとはちゃうよ……もうあのころの喜美子とはちゃうよ、お父ちゃん。学校のことは……お正月帰ってきますし、また改めて願いいたします。うちは仕事があるんで明日大阪に戻らせてもらいます」

「子供が何ぬかしてんだ。何が仕事がある。笑わしてくれる! あかん言うたらあかん、何言うとんじゃあほ!」

アカン方のジョージ。結構キツイことも書いて来たかもしれないが・・・ 今日に限っては胸が全ッ然、痛くならんムカムカ

『なつぞら』が比較対象として抜群だと思う。

照男と結婚させてしまおうと目論んだ、柴田泰樹の策謀すら甘かったし、マシだった。

◆ダメおやじとしてのジョー

・論理無用!

・獲得経験値無視!

・「あかん言うたらあかん!」「アホ!」ビームで全ての攻撃を無効化!!

「あかん言うたらあかん!」

という、関西弁のあかん用法を持ち出す本作、センスがすごいな。

・関西のダメおやじ強すぎるやろ……。

 

翌朝、喜美子は早々に家を後にしました。そこに百合子が追いかけて来ます。

「お父ちゃんカンカンやで。またお酒増える」

うーん……怪しいなあ。

ジョーは怒りっぽく、酒で紛らわしている。よろしくない兆候ですよ。

百合子に対し喜美子は、お正月に帰ってくると詫びます。

その時はお土産買うてくる。二日はいるとフォローをするんですが。

脚本・演出・演技の三拍子が揃っていて気持ちがええほどなのは、ここで喜美子が異変を察知しているとわかるあたり・・・かな。

 この場面の戸田恵梨香さんがはいいとおもう。父譲りの気の強さ、怒りっぽさ、戦国武将的な猜疑心が揃ってます。

喜美子は、百合子の向かう方向を気にしている。

学校はこっちじゃない。行先はどこか?

ここで百合子は疑いもなく、話してしまうのです。病院にいって貧血の薬をもらう。夏バテ、だいぶようなったとはいえ、薬が必要。姉として気遣い、学校に行って来いと喜美子は促します。

汽車を一本遅らせて、代わりに受け取って、そして母に渡してから大阪に戻ると。

ここで百合子はこう聞いて来ます。

「喜美子姉ちゃんは大人? うちは子どもや。喜美子姉ちゃんは子どもちゃうやんな。大人はあかんねん……

ん?

・ジョーはピリピリしている

・酒に逃げている

・マツは貧血だ

・本人ではなく百合子が薬をもらう。しかも、大人は駄目

・肉じゃがの肉がないことといい、何かおかしいぞ……?

ここで直子が走ってきます。

どうやら百合子は、余計なことを言うなと口止めされてるとか。

「さっさと行かいさ!」

「病院に大人はあかん。どういうこと? どういう意味? 直子? 何? 何隠してんの? 隠してんの? 言うてえや!」

直子は姉の尋問を受け、苦い顔になります。

「余計なことやで、言うな言われていることやで……」

そしてここへ、はじけたあいつが自転車で登場します。

信作やで。

「朝から何怒ってんねん、このぉ〜」

鼻の下を擦りながら、また病院かと行ってくる。

それから異変を察知して、「試験がある」と逃げようとしますが……無理です。

喜美子が止めてこうきました。

「ちゃっちゃと言わんかい! 病院、大人はあかんてどういうこと?」

俺からなら叱られん。

そう前置きして、信作は言います。さすが喜美子、ガードの弱さを把握して時間を節約したぞ!

病院のツケが溜まっている。支払いのツケ。大人がいくと、それを急かされてしまう。

でも、子供ならしゃあない。逆に学校行かんと薬取りにくるなんて可哀想な子やし。

そう同情されて薬がもらえる。だから、百合子でないとあかん。

いろいろある。三年もおらんかったら。俯く三姉妹。これはえらいこっちゃ!

見出した道を、ベリーハードモード環境でぶっ潰されるのかと思いつつ・・・次回に続く。