◆スカーレット【第11話あらすじ】◆『意地と誇りの旅立ち』 昭和28年15歳の喜美子(戸田恵梨香)は中学卒業を控えて信楽で1番大きい陶芸会社への就職が内定。今後、喜美子の稼ぎが川原家の家計を支える柱になると期待されていた。ところがある日、会社に呼ばれた喜美子は「若い女性だから」という理由で内定を反故(ほご)にされてしまう。喜美子は就職できないことを言えずに悩み、ようやく家族に打ち明けると、父・常治(北村一輝)が失踪。数日後、帰宅した常治が喜美子に告げたのは (Yahoo!テレビ]より引用) |
昭和28年(1953年)—-喜美子は15歳になりました。自転車で元気よく坂道を降りてきます。
「何これ楽しい〜!」
当時、自転車は割と普及しているとはいえ、今よりお高いイメージ。きみちゃんには乗る機会があまりないのでしょう。
で、これ誰の?
うん、信作のやで。
気弱そうに見守る、そんな信作でした。
勉強好きな喜美子は進学できん
「おもろいなぁ自転車、楽しいなぁ」
信作の、伊賀のおばあちゃんが、高校に通学のために買ってくれたとか。喜美子の口ぶりからすると、高校めっちゃ近くて、徒歩通学できそうなんやけどな。信作は高校に行きたくない、とやる気がありません。
信作は勉強嫌いなのです。勉強好きなやつおるのか?と言う信作に、喜美子は勉強が好きと付け加えます。でも、働くのも好き。そんな喜美子です
今年は進学が多いと励ます喜美子に、高校には怖い先輩がいると弱気の信作。
ここで、喜美子はこうです。
「照子に守ってもらえ。がんばれや」
照子様かよ!
信作の高校ライフも気になります。また受難の流れかな?
喜美子は中学を卒業したら、照子の父が経営する丸熊陶業で働く予定でした。
そのため今日はご挨拶に向かいます。
照子がお出迎えです。
「おそい〜!」
「髪の毛をきちんとしろとお母ちゃんに言われてへん」
髪の毛だけでなくて、態度きちんとしなければダメ。そう突っ込む照子です。
「照子お嬢さん、いってらっしゃいませ」
喜美子がそう返すと、ジェスチャーを入れつつ照子はこうです。
「今日もかわいいなぁ〜いうてくれる?」
成長してもこのノリで、ある意味安心。これはいくつになっても変わらんやろ。70になろうがかわいいと言って欲しい、そういう女の一生を送る空気がバッチリでとる♪
「勤務内容入らんで」
喜美子はバッサリだ。そしてこうだ。
「これからはうちのこと見ても、いうてくれるやろな」
「お世辞や」
それに対して、喜美子はお互いお世辞だと言い返します。こういうポンポンとした会話がおもろい。
「あははは!」
「ほなよろしく! よろシクお願いします」
そう挨拶しあう親友同士です。
そんなノリノリの喜美子を、西牟田が案内します。
このころ日本の火鉢のほとんどが信楽製でした。丸熊陶業はその中でも一二を争う会社、大きいんですね。
ここで喜美子は社長からこう言われてしまうのです。
「せっかく来てもろたけどな、この話はなかったことにしてもらいたい。照子の頼みだし、ようしっとるきみちゃんだし、働いてもらいたいと思ってたのは確かや。人がおった方が助かる……」
そう前置きする。それでも、きみちゃんには厳しいだろう――そうなるのです。
厳しくても一生懸命働く!
喜美子はそう粘るのですが。
「男ばかりなのに、十五歳の女の子なんて甘かった。そんなん困りますいう。これはみんなの意見なんや。あらためてお詫びに向かう。学校にも出向いて、他にええ就職口がないか頼むでよ。かんにんや、きみちゃん」
これは辛い。喜美子のせいじゃない。敢えていうのならば、喜美子が女ということがあかん。けれども、そんなことは本人のせいじゃない。
こういうとき、
「嘘つき!」と怒鳴ったところで、根本的な解決にはならない。今の喜美子は、トボトボと帰宅するしかないのです。これからも、彼女はこうした矛盾にいくつもぶつかるのでしょう。
信楽で新しいい就職口が見つかるとは思えない。
直子と百合子は育っていて、ぽっくり(缶ぽっくり・缶下駄)で遊んでいます。
「こうこう! どや、うまいやろ?」
直子がドヤ顔や。相変わらずのドヤ顔やで。妹の百合子が遊びたがってもこれや。
「百合子は無理やろ」
姉にはわがまま、妹には塩対応。これは大物や。喜美子は、妹たちが外で遊んでいるのかと声を掛けます。人が来ているから、外で遊べと言われているそうです。
来客とは?
博之と保という少年がジョーと向き合っていました。
4月から来てもらうとジョー。
「お弁当どないしましょ」
マツは心配しています。少年の横には、白髪頭をした祖母がおります。ちょっとつついただけで倒れそうなご老体です。こういう白髪頭のおばあちゃん。ヘアダイもしていないし、昭和のおばあちゃんです。序盤なのに、加齢描写が圧倒的です。
ここで孫はこうだ。
「僕がやりますんで!」
このお兄さん、働いていた工場が閉鎖されて、次の働き口を必死で探しているところなのだとか。
「うちで雇うで。二人とも」
ジョーは気のいいところを見せています。おやっさんの紹介だし、力仕事だし、男手が多いに越したことはない。これからどんどん商売広げるのだとか。
二人分の給金を払える――そうジョーが強気になる理由には、喜美子の就職もありました。
娘が春から丸熊陶業だと語るのです。
マツは、娘をあてにするようでどうかと思うと言うのですが。
「あてにするわ、もう十五やで」
ジョーは嬉しそう。
「ほな雇ってもらいなさい」
紹介したおやっさんも言います。
おやっさんもいる。ジョーには人望があるんやね。
「ほんまにええんですか! おばあちゃん、もうクズ拾い行かんでええで!」
孫二人、喜ぶ。このご老体がクズ拾いをしていて、孫は辛かったと。
あかん、泣けるわ。こういう敬老精神って、昭和のこのころにはあったはず。
しかし、このギリ人情ワールドに衝撃を受ける人もおるわけでして。
喜美子です。
「クズ拾い……ただいま、あのう……」
「お嬢さんですか!」
「喜美子お嬢さんお帰りなさい、お世話になります!
「お世話になります! おばあちゃん!」
「ありがとうございます!」
孫と祖母が頭を下げていて、絶対に真相は言えない流れに……
その夜。
飲み仲間のオゥちゃんこと忠信から、丸熊なら月給1万出すときいて、ジョーは半信半疑ながらウキウキし始めます。
「あ、そう……?」
「飲んで飲んで飲んで、どんどんもってきて!」
「丸熊陶業様様やぁ〜!」
「あ〜めでたい酒はうまい!」
「あはははははは!」
「なぁ!」
ええノリです。関西のおっさんノリも、ええ味を出しております。
家では、マツが喜美子に丸熊就職を祝い始めます。ちゃんと照子にもお礼を言おうって。
「お母ちゃん、それやけどな……」
「こんばんは〜!」
「美子が話そうとすると、お母さんたちがドヤドヤと襲来します。
あかん、これは嫌な予感しかない。
そして喜美子に布を当て始める。
「これは?」
「これもええねんなあ!」
「これでええんちゃう?」
「こんなええ布!」
ええ、連呼です。関西のお母ちゃんや〜。
「ええけど、なんで?」
「就職祝いに決まっとるやろ。就職おめでとう!」
「おめでとう!」
就職祝いの服の算段を、生地を持って始める。
ブラウスとスカート、担当して手分けして作る。地獄や……。
喜美子がなんでと思わず尋ねると、こうや。
「なんでて! きみちゃんの就職祝いに決まっとるやろ」
中学校を出て、そのまま就職おめでとう、偉い。そうすっかり盛り上がってます。
地獄や〜〜😱
喜美子は、たまらず泣き出すのです。それにマツはこうだ。
「そんな、そんなうれしいのん?」
どうするの、これ……。
そのころ、ジョーは。飲み屋で聞かされてしまいます。
「ああそうですか、就職話のうなりましたか」
「ほんまに申し訳ありません」
「あんな小娘やしね、話なくなるんちゃうかと、さっき言いとったことです。そうですか……」
とりあえずジョーは真実を悟ったと。
そしてここでナレーションが。
この日から、父はしばらく帰ってきませんでした。
って、おい、ジョーぅぅ!
そして川原家にも、丸熊からお断りの挨拶が来ております。
「どうも、ご丁寧に」
「こちらこそお役に立てずに」
見送る母子。マツが無言で励まそうとすると、喜美子は笑います。
「洗濯もんしてくるわ」
喜美子が洗濯物を干しておりますと、照子が顔を出します。
「こんな下着はいとんのけ?」
照子は即座に否定されて、おばあちゃんの下着を洗っているのかと悟ります。
そんな照子に喜美子は尋ねます。
「もう謝りに来んでいいの?」
「ちょっと待てるか聞きにきた。時間かけて説得する」
「うちが働けるように?」
「みんなを説得してあげてもええよ〜。ま、いつになるかわからへんさかい」
おおっ、照子ちゃん。大島優子さんが、がっつりと子役時代からあの人物を継いでいてよいですね。
「お父ちゃんいいひんやけ、なんとも言えへん」
「ほかにええ就職先、信楽にはないで」
「わかっとる」
「ほな待っとき!」
信じていいのかな、照子ちゃん💧
それから数日後。喜美子が縫い物をしておりますと。
「喜美子、お父ちゃんが」
ジョーが帰宅やで。野良猫みたいな。
「詰めが甘かったな」
丸熊のことだと悟って、喜美子は謝ります。
「就職、なくなってしもてすみません」
「口約束ではあかんちゅうこっちゃ。今度のところは一筆書いてきてもろた」
と、ジョーは書面を出します。
これもジョーらしいと言えばそう。理由はいろいろすっとばし、話の交渉算段、やり口の良し悪しを考えるのです。
「荒木商事いう」
「ようそんな会社に……大阪?」
「そや、大阪で働け。春からお前は大阪や」
働き口が見つかったのはええ。
けど、大阪で?
照子や信作、信楽と離れてしまうのん?
第3週へ向けて、ズバーっと大きく出てきた。ところで‥次回に続く。