◆スカーレット【第5話あらすじ】◆『はじめまして信楽(しがらき)』 昭和22年滋賀・信楽。9歳の川原喜美子(川島夕空)は得意な絵描きで、給食費を稼ごうと考える。お金がなくて見られなかった紙芝居を自ら作るつもりだ。絵を描き始めると、居候の草間(佐藤隆太)に絵をほめられ、喜美子は喜ぶ。没頭するあまり、学校へ行くのを忘れてしまうほど。出会ったタヌキ、きらめく琵琶湖、大切な家族。喜美子が絵を描き終えると、家族と草間の前で披露する。ところが思わぬ家族の言葉で、予期せぬ事件が (Yahoo!テレビ]より引用) |
昭和22年(1947年)—-読み書き苦手なきみちゃんの特技とは?
夜明けの光の中、宗一郎が喜美子の絵に見入っています。
「おはよう。ねえ、これは海?」
「湖や。琵琶湖です」
描きかけの女の子の絵もありました。宗一郎は喜美子の絵に驚いています。
「すごいなあ、すごいよ、たいしたもんだ。上手だね」
そう言われて、喜美子は笑顔を浮かべます。
直子は缶で作った竹馬に挑戦中。カポカポ。
ご覧の通り、空き缶と縄だけで作れますので、コストパフォーマンスがよい遊び道具です。
ただ、直子は構って欲しい性格ですので、母のマツにこうきました。
「でけへん!」
「できるよ」
「でけへん!」
「できるできる。喜美子、学校始まるで。そのへんにして学校行きなさい」
「できた!」
「できたやん、よかったね。上手やな。喜美子、もうそのへんにして学校行きなさい」
このやりとりで、マツが二女のあしらい方が身についているとわかります。
お昼は何にしようかとマツが家に戻ると、喜美子の下駄が!
セリフも展開も無駄がないので、時系列がよくわかるように作ってありますね。
なんと喜美子は一心不乱に絵を描いておりました。
その姿を見て、マツは微笑みます。彼女なりに、このいそがしい長女の息抜きだと思ったのでしょう。
場面変わりまして、夜の大野雑貨店です。そこにおるのは、ジョーや。
忠信と飲み、潰れて娘に迎えに来させる。娘が父の酔態を詫びる。水を飲ませる。
喜美子は手慣れたもんです。そんな娘にこれですからね。
「どこのかわいこちゃんや〜」
「自分一人で帰って来い! 隣の家やろ!」
それなのに子供に送迎させるあたりは流石昭和のクソオヤジです
思わず陽子が心配して、こう言ってしまいます。
「きみちゃん今日、学校来なかったんやて」
「学校行かなかった? あァ!」
陽子はハッと後悔してしまう。
そしてジョーが怒り出すものの、これだよ。
「どうでもええわ。女おなごに学問は必要ない。勉強なんかできなくったってかまへん。うちの家訓や」
酔った勢いで喚くオヤジですが、ぐでんぐでんになって歩けません。
「危ない! しっかりしてや」
「歩かれへんけど走れる。人生走るで! 走って走って大儲けや」
「ほら起きて!」
喜美子が起こします。ほんとうに、どうしようもないおっちゃんだ。
今までの朝ドラでも酒好きのダメ親父は結構おりましたし、酒を飲む場面もある。
けれども、こんな汚い酔態は朝ドラでも珍しいのでは? この先、どうなるんでしょうね。
そのころ、草間宗一郎は部屋でじっと一枚の写真を見つめていました。
結婚式のものです。
学校では、リボンの照子がハキハキと教科書を読んでいます。
じゃがいもとさつまいも。理科ですね。ここで望月先生は気づきます。
「川原さん、何やってるんですか。川原さん!」
喜美子はお絵かきに夢中。教科書で隠して、狸の焼き物を熱心に描いているのです。
教科書すら広げない。そんなことだからいつまでたっても読み書きができない。
望月先生はそう嘆く。彼女は、喜美子が読み書きができないことに衝撃を受け、心配しているのです。別にできないからとイジメているわけやないんやで。悪い先生じゃないと思います。
「必要ない言われてます」
ここで喜美子は開き直って、ジョーの持論【女に学問は不要家訓】を披露してしまうのでした。
「川原家の家訓です!」
おいっ、きみちゃん、おいっ!それは言うたらあかんやつや😱
「あのアホンだら、何いうとんねん!」
案の定、慌てて走るジョーカスダッシュが映ります。
いいなぁ。これは北村一輝さんが大阪弁を流暢に話せるからこその場面ではありませんか。全力で走りつつ、関西弁だもの。関西弁で酔態を示すジョーも素晴らしかった。♪
そのころ、川原家では喜美子がこう宣言しております。
「夢と希望の、紙芝居!」
きみちゃんの紙芝居です。観客はマツ、宗一郎、直子、それに赤ん坊の百合子ちゃん。
きみちゃんはそこはしっかりしておりますので、10銭だと言います。
大人は戸惑うふりをしますが、直子は通じない。
反発します。喜美子はこう返します。
「タダより高いもんないで!」
うーん、どこで覚えたんや。ま、ジョーやろな。ここで直子はめげない。頑固やね。
「タダや! タダや!」
喜美子は子供はタダとして、大人は後でもらうと言います。 直子はやっぱりここでも強引です。このまま大人になったらどうなることやら……。
「早う!」
「きみちゃんの紙芝居の、はじまり、はじまり〜! 狸ですぅ。直子ですぅ。日本一の湖、琵琶湖ですぅ!」
きみちゃん、紙芝居を理解できていない……。
しゃあない、見たことないもんね。
でも、この選択もなかなかおもしろいと思います。
信楽の狸。その土を作った琵琶湖。そして妹の直子。
ちゃんと姉妹愛がある。
「うまいなあ、あ〜、かいらしなぁ」
「もう終わったん? 今のが紙芝居?」
「よかったやん」
マツはニコニコしているのに、直子は突っ込む。この子、来年の3月までめんどくさいこと言い続けていそう。期待しとるで!
宗一郎は、喜美子の絵の才能に感心しています。琵琶湖の絵について、光の当たっているところが難しかったと工夫を語る喜美子に、じっと耳を傾けています。
そこへ、ジョーが走って帰ってきました。
「お帰んなさい。どないしたん?」
ジョーにしては早い。彼は仕事中に丸熊社長と照子の会話を聞いてしまったのです。
社長は、照子の口から、川原家の家訓を聞かされておりました。
今時、女に学問は必要ないなんて、ない。しかも大阪から来はったのに?
と、驚いているのです。
「そんなこと言うわけないやん」
「ほんまに言うてたんよ! だから勉強にやる気ない。読み書きもできんのよ」
もう。これは気まずいで。ジョーは酔っ払っていた。だからこその本音でしょう。失言を酒のせいにすることは今でもよくあります。せやかて、そんなん何の言い訳にもならしまへん。
「もう勉強せい。読み書きくらいできるように身につけえ! 何の取り柄もない」
ジョーがそう言いますと、横から宗一郎が反論しました。
「何の取り柄もないなんて!」
彼は喜美子に、ジョーに琵琶湖の絵を見せるように促します。
いくつも重ね塗りをして、反射が出るようにしている。大人顔負けのとても上手な絵。そう宗一郎が説明しても。
「ああ……」
ジョーには通じてへん。
「僕は驚きました!」
「こんなんただの落書きや。何の腹の足しにもならへん」
あー辛い。ジョーは絵の話を打ち切り、照子が勉強を教えるから行って来いと促します。
「何をうつむいとんねん! いつまでうつむいとんねん」
「わかった。ほな行ってくる。ご飯までに戻るわ。行ってきまーす」
喜美子は絵を投げ出し、走り出します。マツはどこかちょっと辛そうに絵を拾います。
総一郎も、苦さを噛み締めるような顔です。
はい、場面は丸熊家へ。
立派な家です。庭には石灯籠もある。奥行きがあって、気合を感じる美麗な家なのです。
その立派な家に喜美子がいて、なぜか信作もいるわけです。信作は無言ながら、自分がいる理由が理解できていない感が伝わってきて、いい味を出しております。
「さあうちと信作とで、厳しく教えたげるわ」
照子が気取った口調で部屋に入ってきます。この高慢さの犠牲になっている、そんな信作の哀れさよ……。
そんなわけで、お嬢様の勉強が始まるでえ〜。
「まず理科の教科書から」
「じゃがいもを……」
「作るや」
「作るや」
「【や】はいらん!」
はい、この内容がじゃがいもとさつまいもの育て方であったことが、よかったようでして。
喜美子はすっかりハイテンションになっています。
「間引き? 間引きするとジャガイモ増えるん? うちジャガイモ育てるで! 時々肥やしをやったり、土を寄せたりしなさい。はーい!」
大根、じゃがいも、さつまいも!
きみちゃん、すっかり目がキラキラしております。
そのまま家に帰ると、空いた庭で野菜栽培しないか、とマツに語り出す喜美子。よかったねぇ。
コメディぽくしているけれども、教育が何かということではあると思います。喜美子の喜びは、食べ物を得られることだけではなくて、知識欲を刺激されたからかもしれない。そう思うのです。
「お水足らん」
マツがそう言うので、喜美子は汲んでくると言います。ここでマツはこう告げるのです。
「出て行ったで、草間さん」
宗一郎は、喜美子が戻る前に出て行きました。
「川原さんに声をかけてもらえなかったら、今頃まだ大阪の街をあてどなくさまよっていたと思います。本当にありがとうございました」
そう頭を下げて、去ってしまったのです。
しかもお金まで残しました。きみちゃんの紙芝居へのお礼とのこと。
マツは手紙を差し出して来ます。
「こんなん渡してくれはったけど。まだ読まれへんもんな」
「読める! 水、汲んでくる」
喜美子はそう言い、水を汲むために外に行くわけですが。
【心に栄養をいただいた】とお礼を告げる、そんな宗一郎の手紙を読むことはできないのです。
喜美子は悔し涙を流すのでした。
教育の重要性を噛み締めなが・・・次回に続く。