【第151話あらすじ】「なつよ、千遥よ、咲太郎よ(151)」◆最終週◆

小学校に入学する優(増田光桜)のため富士子(松嶋菜々子)が上京してきた。なつ(広瀬すず)が優の入学の準備をしていると、富士子が最近、泰樹(草刈正雄)が元気がないとぽつりと話す。一方、「大草原の少女ソラ」は放送から半年が経ち徐々に人気番組になっていた。マコプロでは、皆寝不足と疲労と闘いながら必死にアニメ製作をしている。なつと坂場(中川大志)の机の上も仕事が山積みで…。

Yahoo!テレビより引用)

昭和50年(1975年)――3月、なつのために上京した富士子。彼女は、父・泰樹のことを語ります。

なつは、優の上履きに名前を書いているところです。

さんすうセット……ウッ!出た、親泣かせの名前書きだ。

なつは、「そういえば剛男もl泰樹が穏やかになったと語っていた」と、そんな寂しさを感じております。彼ももう90過ぎです。医者にいくように勧めてもうまくいきません。亡妻の病死もあってか、医者嫌いなのだとか。頑固だからのぉ。

「もう充分だって」

富士子も寂しそうにそう語るものの、あのじいちゃんのことだから中々しぶとそうだと言うのでした。

でも、残り時間はどうしたってあるのです。

 

4月、坂場優の小学校入学式です。この記念撮影も、面白いんですよね。

富士子は和服。この時代ならば、それはそうでしょう。

十勝から送ったのか、運んできたのか。着付けも、自分でできる世代です。

イッキュウさんは、彼にしては珍しいスーツ。なつは普段着。

そして優ですが、口を開けてしまうし、ポーズがおすましでもないのです。

のびのびとした性格なのでしょう。千夏と比較すると、わかりやすいですよ。

なつはどうして普段着なのか?

休めないのです。入学式から慌ただしく戻った、坂場家の皆さん。ここで富士子が、イッキュウさんの親が送ってきた百科事典はどうするのかと聞いてきます。

イッキュウさんは、そのままでいいと答えます。入学式の写真と手紙を名古屋のおじいちゃんとおばあちゃんに送ろうね。そうなつがフォローしているのですが。

何か引っかかりませんか?

「なんでそんな忙しい我が子と孫に、よりにもよって百科事典を贈るのさ?」

これはあの、一度出てきただけで濃厚だった、祖父・一直のセンスでしょう。

さて、百科事典はさておき。なつもイッキュウさんも、慌ただしくマコプロにまで戻ります。

外注まで、もう徹夜ばかり。それでも自信があればこそ、持ちこたえている。

「イッキュウさん、絵コンテ今日中に!」

そう飛ぶセリフからも、緊迫感が伝わってきます。

彼らの奮闘もあって、『大草原の少女ソラ』は人気番組になっておりました。

番組はついに佳境を迎えていて、皆、必死で作業を続けています。

 

「上手! もうひとつ!」

富士子は、優の書き取りを見ています。こういう勉強を見ることも、実は夕見子相手にはできなかったかもしれません。

ここで、ブザーが鳴ります。

千遥でした。

「姉からお見えになっていると聞いたので」

そう語る千遥は、すっかり柔らかい表情になっています。再登場時の険しさは消えましたね。

ここで千夏を見て、富士子はこうで

「あーれー、本当に、昔のなつにそっくりだわー!」

千夏はちょこんと頭を下げます。

千遥は、柴田牧場訪問のことと、ワンピースのお礼を伝えるのでした。

「なんもさ。そんな水臭いこと、言わなくていいの」

今朝も出た、「なんもさ」。 「なんも」のバリエーションをきっちりカバーしてくるなぁ!

千遥は、重箱を持ってきました。

入学式祝いなのだとか。

「うれしーわー! なつもイッキュウさんも喜ぶわー」

そう富士子は喜んでいます。

「柴田さんも、いつかお店に来てください」

千遥はそう告げます。千遥は言葉遣いが丁寧で、仕草も美しい。元芸者かつ女将という人生が出ています。

「千遥ちゃん、ほんとうによかった。じいちゃんも喜んでたわ」

仕草から、言葉から、富士子の感慨が伝わってきます。

なつとイッキュウさんが取り組んでいるのはハイライトシーンです。

レイがお父さんに、夢を語るシーン。 空の丘で星を見ながらだと、イッキュウさんが説明します。

なつはこう返します。

「それは何時頃? 寝る前? 朝の搾乳前?」

イッキュウさんは、考え始めます。 確かに時間帯によって、光がまるでちがう。

いつからか、ソラとレイはほんとうの家族のようになっていったのです。そんなレイは、馬の死をきっかけに、獣医になる夢を見つけます。そのためには、遠い町へと行かねばならない。その決意を、レイがお父さんに語るのです。

十勝で庭を見つめる泰樹。

考え込むなつの姿。

ソラなのか?

レイなのか?

現実とアニメがつながるように交錯します。

夜か?

夜明けか?

彼らの出した結論は、夜明けでした。

話し終えた二人の前に、太陽が登ってくる――そんな希望に満ちた別れにする。

なつは思い出しています。かつて、自分も夜明けに励まされたことを。

このことを、背後で聴いている神っちもすごい。脚を偉そうにパカっと開いて、興奮を伝えてきます。

そして今日もドヤ顔で、割り込んで来る。

彼だけでなくて、下山も描きつつマグカップを置く仕草があります。

「開拓者を励ます朝日か!」

「風と朝日で、においを感じさせる」

イッキュウさんは、本作が得意とする五感表現論法を繰り出します。

「ちょっと! 変えるならすぐに動いてよ!」

ここで、マコが突っ込む。この指揮官がいないと、現場が崩壊するからね。本当にマコさんは優秀だなぁルンルン

レイは馬の死をきっかけに夢を見出す。

陽平も、なつも、天陽を知る人は彼のことを感じている。そんな優しさがあります。

モモッチはここでどうするのかと聞きます。

彼女がマコプロで楽しんでいることがわかります。服の配色が高度!

自分の着せ替え人形にして、毎日エンジョイしているのでしょう。

神っちは、ここでドヤ顔アドバイスします。

「影の色を勉強しとくといいよっ!」

「ありがとう、神っち」

「モモッチは才能あるんだから」

神っちは、センスは抜群ですからね。いろいろと問題山積みですが、そこはすごく頼りになるんです。しかし、そう甘くない。神っちは変な奴だし、隣にいたらすごく大変だ。マコさんはいつも疲れた顔じゃないですか💧

「忙しいのに、なんかいい感じね」

茜と下山は、そこに気づきました。お、そう来たか!

モモッチと神っち。納得感はあります。モモッチは寛大です。イッキュウさんが目の前で本を読んでいても、嫌いにならなかったくらいです。

この二人は服装のセンスも結構強烈ですので、それを受け入れ合う相手でなければ、難しいものがあるとは思います。

「世界があっと愕くような映画を作る! そのために独身を貫いて、仕事をやってきたんだ!」

嘘ですよね?自分の濃さについていける相手がいなかったんですよね?

「忙しいのに、これで何枚増えることやら……」

カメラワークも抜群で、演じる貫地谷しほりさんもいいんですよねぇ。ピントがあっていないのに、顔が険しくなっている。セリフで彼女の焦燥がわかる。やっぱカッコいいわ!

 

富士子は帰宅したなつに、千遥の料理を見せます。

これまたおいしそう!本当に食べたくなるから困る。罪作りなドラマだねぇ。

なつは仕事する前に、それを慌ただしく食べるしかありません。そんな娘を心配する母。

「体壊すよー。壊さない方が不思議」

ブラック労働礼賛に突っ込みかねない本作ですが、理由はあるのです。

「じいちゃんにも届けたい。じいちゃんに、少しでも元気になってもらいたいのさ」

「なつ、心配してるんだね……」

「じいちゃんだけでなく、じいちゃんのような、開拓者に恥ずかしくないものを届ける。私にできる恩返しは、それだけだから」

なつはそう語ります。泰樹は永遠に生きられすわけではない。生きているうちに、どうしても見て欲しいものがある。滅びない何かを、残すために。なつは走っているのです。

陽平は星空を描く。開拓者の見た星と空を。神っちは、ロケハンで見た開拓者たちの顔と風景を思い出しながら描く。

マコプロの全員が、開拓者の物語を描いています。

じいちゃんのように、開拓したい。なつがそう訴えたあの夜。泰樹は励ましました。

「それでこそ、わしの孫じゃ! 行ってこい! 東京を耕してこい、行ってこい!」

そんな開拓者に届くのか……。

 

あのシーン放映日です。

坂場家でも。柴田家でも。テレビの前に家族が揃っています。

空の丘、星の下で――。

風が吹いて、父の帽子を飛ばします

レイはお父さんに訴えます。

牛や馬を、命を救いたい。

その勉強をしたいから、遠くの町に行く。

「ごめん、ぼくはどうしても獣医になりたいんだ」

そう訴えるレイに、空を見るよう促すのです。

そこにあるのは、明けの明星。朝の口にいる神と呼ばれているのだと。

あの神に誓ったのだ。そうお父さんは語ります。

「よく言った、それでこそ、この私の息子だ。お前がいなくとも、牧場は守る。お前はお前の、夢を守れ

その場面を、泰樹はじっと見つめています。

目には、涙が滲みます。

レイの中にも、そのお父さんの中にも。なつも、彼自身もいるから。

彼の肉体はもうそう長くはないけれど、魂が物語の中で生きていくのです。そう、永遠に。

『なつよ、どうやら風はここまで届いたようだ――。』

父ナレが、そう語りかけるのです。

次回に続く・・