【第137話あらすじ】「なつよ、天陽くんにさよならを(137)」

十勝へ帰省中のなつ(広瀬すず)は、雪月を訪れ、菓子職人となった雪次郎(山田裕貴)と夕見子(福地桃子)に再会する。娘の優が雪次郎の作った菓子を食べていると、妙子(仙道敦子)やとよ(高畑淳子)も現れ、わいわいと賑(にぎ)やかになり、昔の雪月の雰囲気が戻ってくる。そこへ雪之助(安田顕)が現れ、天陽(吉沢亮)が描いたというあるモノを見せる。天陽がそれに込めた想(おも)いを、雪之助は静かに語り出すのだった…

Yahoo!テレビより引用)

昭和48年(1973年)――なつは、東京で待つイッキュウさんに電話しています。

「あの企画、まだ動いてない?」

企画書もまだ作っていない。そう確かめて、なつは言い切ります。

「それ、私がやりたい」

「えっ!」

「私にやらせてほしいの」

「うん、わかった」

「今すぐは無理だけど」

「わかってる、あわてなくていい。あとは帰ってから話そう。大丈夫そうだな」

「うん、じゃあね、いってらっしゃい」

夫婦の通話はここで終了。新しい物語が、動き始めました。

 

富士子はそんな会話を聞いていました。

「なつ……」

「母さん、やっぱり仕事続けるわ」

「答え出たんだね」

「うん、また天陽くんに答えを教えてもらった」

なつが出した答え。そして作品の中には、天陽が生きています。

 

そして、柴田家は土曜日を迎えます。子供が帰ってくるとうれしいと、剛男はニコニコ。

夕見子は帰り、代わって帰省したのは明美でした。明美ちゃん、待ってました!

その明美は、月曜に東京へ戻るなつに、もっといればいいと惜しんでいます。

と言いつつ、本人も明日には札幌へ。しかも明美は、月曜にも仕事があるそうで。

それでも、やっと夏休みを取れたなつのことを心配しています。元気だな〜!

対して優はこうきた。

「ママは忙しい。優はわかっているから」

すごいな・・・これまで朝ドラヒロインの子供たちは、母親が働くことにどれだけ文句をつけていたか。

タイマーでも仕掛けているのかと思うくらい見事に、時代も生活環境も無視して、ブーブー言っていた。それって、子供の気持ちというよりも、作り手がマザコンだけでは?というね。

そんな優は、きっと光子の教育のおかげだろうとなつは感謝しています。

優の周囲には、強い女がいる。

柴田家の女も強いと。

まぁ、確かに全員強い。ここで剛男が、男側が弱いふりをして立てていると言うところが、本作最高のボケでしたね。

明美は実際に強かった。女子大卒業後、信哉のあとを追って放送局へ入り、後輩になりました。

 信哉は、なつの運命の人と見せかけて外されて、しかも北海道へ移っておりましたが、明美のロールモデルになったんですね。

その明美が、こう競った。

「戦場におるとようわかるわ。男どもは猿よ……」

強烈なセリフきおったわー!

それに対して、富士子はこうだ。

「いい人いないのかねー」

あーっ、お母さん、それは禁句です。さんざん夕見子にぶちのめされてきたじゃ無いですか😱

「つまんない。母さんがそんなにつまんない人だと思わなかった!」

「女は結婚のために生きていないッ!」

そんな妹を見て、兄・照男はしみじみと言います。

「夕見子に似てきたな……」

ほんとうに、あの煽り顔が脳裏に浮かぶから困る。

「お姉ちゃんは、所詮、中途半端でだった……」

とドヤ顔の明美。こいつも策士だが、なつはたしなめます。

「夕見は、自分の人生を生きているんだよ」

明美の言わんとすることはわかります。リアル夕見子を何人も知っている。結婚して三角巾をかぶっている姉に、もどかしさを感じる気持ちもわかります。

私も、夕見子は研究者にでもなるのかとうっすら思っていました。

でも、これも彼女の生き方なんですよね。

明美には、まだわからない。挫折して、結婚に逃げたと思えてしまうかも。

でも、彼女らも戦っている。北大を出たからって一流企業に勤めるばかりが人生ではなく、農協を経て雪月を大きくする。自分の力をフルに発揮できて、これ以上ない幸せな職場じゃないですか♪

泰樹は、なつが気になっています。仕事を続けるのかと聞いてきます。

「やめようかと思ったけど。天陽くんと話して、またやりたくなった。やるってもう決めた」

明美は、これはどういうことかと気になって仕方ない。

「いつ? どこで?」

「いつでも、どこででも」

「ん? どーゆーこと?」

明美ちゃーん、空気読めな〜い。天陽の死をふまえると、結構ズケズケと無神経に思えるんですよね。富士子も呆れています。

「それでテレビ局つとまるの……」

富士子は常識人なのでしょう。

テレビ局は感動を売りにしてナンボのもんよ。そういう空気を読まない。【情】を無視する明美に引いていると。

ここで砂良が話題を変えようと言います。

「なっちゃんは続けるべきだと思う。なっちゃんを千遥も見ているから」

千遥はどこかで姉の名を見て、元気だと思っている。安心している。その意見に富士子も同意します。このやりとりを、地平がお腹にいた時だったと振り返られます。そうそう、地平の成長が歳月をあらわしていますね。

なつは作品を通して、千遥に呼びかけてきた。

私はここにいるからって。

また会いに来てねって。

それをやめるわけにはいかない。

「優には、頼もしい女連合軍が付いているから、大丈夫さ!」

そう締めくくられます。

 

一方でイッキュウは、熱心に企画書を書きます。

そしてマコに提出しました。

マコは悟っています。

「それってもしかして……」

そう、それは奥原なつがその気になった。

 奥原なつ、出馬です!

「それはつまり、うちに来るってこと?」

「おそらく辞めます!」

おい、イッキュウさん、独断専行型と言いますか、何をするにしても暴走傾向はありますよね。それで離職していますし。

「自分からやりたいと言いだした!」

「イッキュウさんのためでない?」

「自分のためッ!」

「なら大歓迎よッ!!」

このイッキュウさんとマコの会話も、重要だと思います。

で、その背後では神っちもいる。

もう転職済みかーい。

「東洋は泣くわよ……」

と、マコはニヤリ。

「泣かされてきたのはこっちじゃないかーーー!」

と、神っち。怖いです、この2人ガーン

こいつら、繰り返しますが邪悪極まりないっちゃそうですよ。

東洋動画は、割と話が通じる職場だった。 締め切りと予算を守れと社会人の基礎を言っただけで、絶望して謀反をめざす側がおかしいんだ

もうこいつらはある意味規格外です。モデルだの、労組だの、言うだけ無駄ァアア! という気がしてきました。こいつらを敵に回したくないっしょ……

常識人の下山は、辞めると決まったわけではないと言います。彼なりに、東洋への同情はあると思います。実際に、東洋動画の人たち。根っからの悪人はいませんよね。

私だって好きな人が多いもんなぁ。仲は聖人だし。佐藤部長あたりまで好きだわ。

ここで、イッキュウさんは大興奮だ。

「北海道で決めた! だから間違いないッ!」

うん。それはそうだ。そこを本人確認取れればもっといいんだけどな。

マコは企画書を見ています。

「原作でなく、原案?」

イッキュウさんは解説します。

世界観を生かしつつ、翻案してゆく、北海道を舞台にして、生きてゆく物語。

これから生み出される、新たな物語なのです。

新しい物語が始まる

 

なつと優は帰宅しました。

「ただいま〜」

「パパいない」

「いなくても、パパにただいまって言いたいでしょ」

この短いやりとりも、重要ではある。

朝ドラは、子供が「ただいま」と母親に言えないことを断罪しまくってきましたからね。父親不在でもそれは同じでしょうよ。

イッキュウさんが帰宅して、天陽の包装紙を見ています。

「この少女は……」

「描いてみたくなった。そのあとの物語を、描きたくなった。それで、どうしても、描いてみたくなった」

イッキュウさんは、天陽からなつを託されたことを思い出しています。

「なっちゃんと生きられるのは、イッキュウさんだけだと」

イッキュウさんと天陽。

なつを間に挟んで、不義だのああだこうだ言いたいのは想像つきますけど。

結婚は束縛でも、所有権の問題でもありません。

それとは別の、精神的な絆があるってことでしょう。

「パパ、おかえり〜!」

ここで、優があいさつをしています。

抱き上げられて、本物の馬を見てきたと言い切るのです。

それは天陽の絵。遺作でした。

それを見て本物だと思ったって。

「優、それが本物だって、よくわかったな。偉いぞ! そうか、お馬さんがいたか」

イッキュウさんは、なつに企画書を見せます。

そこには、北海道が舞台と書かれていました。

北海道を舞台にして、その物語を作るって。

『なつよ、また新しい物語が、始まりそうだな――』

父ナレがそう語ります。

次回に続く・・・