【第133話あらすじ】「なつよ、天陽くんにさよならを(133)」

なつ(広瀬すず)の手がけたテレビ漫画「魔界の番長」が放送される。しかし、娘の優は怖がって見ようとしない。坂場(中川大志)に、子供は多感だからと言われるも、子供が怖がるアニメを作ることに思い悩むなつ。そんなある日、神地(染谷将太)はなつを呼び出し、麻子(貫地谷しほり)からマコプロに誘われていると告げ、神地の抱く夢を語るのだった。一方、十勝では体調を崩した天陽(吉沢亮)が…。

Yahoo!テレビより引用)

昭和48年(1973年)――夏。ついに『魔界の番長』の放映開始!

「ウアアアアアア!! 悪を持って悪を制す、魔界の番長、ここに見参!」

声優さんも熱演しているし、作画もいいし、これは結構本気で見たくなるんですよね😊

『半分、青い。』の、鈴愛が描いた設定漫画も面白かったんだよなぁ(爆  笑

 

が、しかし……。

「優、どうしたの? 見ないの?」

「怖い。見たくない!」

優はダメでした。『魔界の番長』を娘が見てくれない。

だからといって、我が子を叱るわけにはいかない。

子供の意思を尊重するからこそ、気が重たいなつです。

でも、なつはまだ優だからいいんでないかい。

父と祖父の搾った牛乳を全否定していた、夕見子もいたじゃないですか。結局、本人も牛乳販売をしているから、もうあいつは諦めろって話ではあるんですが。

 

会社に行くと、神っちに声をかけられました。そして二人は、中庭の噴水に。

「昨日の放送、見た?」

「日本のテレビ漫画はどんどん酷い方向に行くな!」

慰める気が全くねぇ!!

むしろダメ出し――。まぁ、モデルがあの人だもんな。言うことがいちいちキツイもんな。

アニメ界のレジェンドって、言動が割ときつくて、最近のアニメに物申す方が多いんですけど。その辺の態度に反発もありますけど。

なつもさすがに引く。

それでも神っちは、こうだ。

「作画室で言わないだけ大人になったんだよ」

うん、まぁ、うん……。新年会で、社長に対してイッキュウさんともどもキレかけてたもんね。

「ヒットするとは思う。作品としてはよくできてた」

おざなりなフォローをする神っち。

なつは、娘には受けていないとこぼします。もう見てくれないって。

「なっちゃん、俺も辞めるよ」

「無理して見なくていいよ……」

「ここを辞める」

このままでは映画はダメだと危機感を語り出す神っち。

映画は当たっているとなつは言うのですが、それはあくまで『東映漫画カーニバル』の広報戦略だと返答します。

おおおう!

モデル企業を思い切りダメ出しとは……。

◆東映まんがまつり◆

広い世代が、楽しみにしていた。今も人気のあれですよ。

ワクワクしながら、親戚や友達と見に行った、そんな思い出ですね!

「子供は漫画映画の映画版を求めているだけなんだ」

あー、そういう構造ですよね。

あのいつも見ているアニメの映画版が見られるんだ〜っていうノリ。

そういうモデルを真顔で殴りに行く本作ってなんなんだ!

手塚プロに喧嘩売っていた時点でも、ビックリしたんですけど。

神っちの懸念は、売れっ子として、その腕前をテレビ漫画に回されること。

「どうせやるなら、下山さん、イッキュウさんとやる!」

なんなんだよこいつは!しつこいですけど、まぁ、モデルが彼だもんね。

神っちは、そこまで出番も台詞も多くはありませんが、出てくるたびにギラギラしていて、圧倒的な存在感です。

「世界があっと愕くような映画を作る! そのために独身を貫いて、仕事をやってきたんだ!」

神っちのこの一点だけでも、あのレジェンド以上の変人かもしれない。彼の妻は、結婚後引退したアニメーターだもんね。

なつも、その濃さにちょっとついていけてない。

「神っちなら、きっといい人、現れるわよ」

「そこを慰めてどうすんだよ!」

神っちは、思わずそう言い返します。自分が圧倒的な変人であることに気づいてないのね苦笑_(´Д`ll)ハハッ

帰宅し、なつが神っちのことを話していますと。イッキュウさんはこう来ました。

「魔王に魂を売れば?」

おいっ!

それから、彼らの考えているアニメのことを話し始めます。

それは『大草原の小さな家』。

◆大草原の小さな家◆

開拓魂を持つなつにはピッタリの題材と言えます。

だからこそかもしれない。

イッキュウさんは、そのためにはなつの力が必要だとも思っているって。

「マコプロ、一緒にやってみないか?」

ズキューーン!

なつはドキドキしますが、そう単純なことでもない。誰もがみんな神っちにはなれません。

仲さんを裏切ることはできない。なつはそう言います。

労働組合云々が言われていますけれども、本作の場合、仲となつの関係も非常に重要でして。

なつがイッキュウさんや神っち並のムーブで、仲を蹴り飛ばして移籍したら、どんだけバッシングされるか、ってなもんですよ。

辞めても叩かれるし、辞めなくても叩かれる。メディアコントロールするほど暇じゃないし。

「辞めるとしたら、アニメーター。少しでも、優の側にいてあげたい……」

なつはそう言います。

「そんなにやる気を失っているのか……本、置いとくから。暇あれば読んで」

イッキュウさん・・・そいでいいのか・・・なつをそんなに甘やかしてタラー

 

一方、十勝では――。

8月、天陽はまたも体調を崩し、帯広で入院していました。

こうなると、根本的な何かがある。でも、それがわからない。

兄・陽平が弟を見舞っています。明日には東京に戻るって。

東洋動画の陽平が見舞いに来て、帰るところ。

同じ職場のなつは、どうなのでしょう?

陽平は、天陽の馬の絵もいいけど、風景も好きだと褒めます。

どうやら信用金庫のカレンダー用に描いているんですね。

カレンダーや絵葉書によさそう。ペンションや旅館の部屋に飾ってもよさそうではある。

「つまらない風景画だよ」

天そうかもしれない。彼は、部屋にマッチする無難なものではなくて、もっと魂をえぐるようなものを目指しているのかも。

兄からすれば、アニメの背景を担当している自分への侮辱にも取られかねません。

兄だからこそ、そこを軽くたしなめる程度で終わりますが。

でも、弟に悪意はないんですよね。むしろアニメの背景画はいいって。

「アニメなら、なっちゃんを歩かせたりして、面白いだろうなって……」

幼いなつが、天陽の家まで来るために歩いていたあの頃。

そんな日々を思い出しています。

「なっちゃんは会いたがっている」

「会えなくても、絵を描いていればそれでいい。十分なのさ」

天陽は言います。絵の中でしか会えない関係。もう、天陽はどこかへ飛び去ろうとしています。

なつは、優と約束した夏休みを取れていません。

北海道と東京の距離感が、あまりに残酷です。

もしも天陽の様子をもっとしっかりと認識できていれば、すっ飛んで行っていてもよいところなのですが。

天陽は、森の中をよろめきつつ、自転車で家へと向かいます。

自宅へ戻ると、山田家は驚いています。

 天陽は、来週が退院だからいてもたってもいられず病院を抜け出してきたと言いだすのですが……

喜んでいるのは、子供の道夫と彩子だけ。

その顔色の悪さを気遣い、叱り飛ばし、さっさと病院へ戻れと両親は言います。

「もうちょっとの辛抱だ」

我が子にそう語りかける天陽。

「辛抱できないのは。むしろ陽ちゃんでしょうや」

そう妻の靖枝は言い切ります。

先週、夕見子は彼女の苦労を語っておりました。理由は、わかってきます。

イケメンの画家と結婚できたら、私はセレブ妻だから幸せ〜 そんな単純な話じゃない。

「まったくしょうがないんだから。無理しないで」

朝になったら戻るように釘を刺して、靖枝は天陽をキャンバスに向かわせます。

天陽は感謝しています。

「靖枝のおかげで、わがままができる」

「わがまま過ぎるわ」

「畑も牛も、頼ってばかりだ。靖枝と結婚して、ほんとよかったわ。俺が俺でいられる」

「したら本当にほどほどにしてよ。大事な体なんだから」

そう告げる靖枝の腕をつかみ、天陽はこう言います。

「ここにいろよ」

「ちょっと、ちょっと、陽ちゃん! 絵の具ついちゃう。早く治してよー」

筆を持ったまま、妻を抱きしめる天陽。

「ありがとう」

ものすごくロマンチックなようで、不器用で、痛々しくて、天陽がどんどんこの世界から消えていっているようで。子供かえりしていて。妻というより母に甘える子供みたいで。

もう、無茶苦茶、怖いです。

翌朝、靖枝はアトリエの隅っこで寝ています。

朝まで天陽は絵に向かっていました。

そして、馬の絵ができあがっているのです。

いい絵。ほんとうにいい、そんな絵。

カレンダーには向いていないかもしれないけれど、素敵です。

天陽は顔をぬぐっています。集中ゆえの汗なのか。それとも、別の要因なのか。

「靖枝、起きれ。もう朝だ」

「絵はできたの?」

「できた」

ここで父ナレが語りかけます。

『なつよ、もうすぐ夏が終わるぞ――。』

秋まで、彼は生きていられるのでしょうか。

次回に続く・・・