【第131話あらすじ】「なつよ、優しいわが子よ(131)

なつ(広瀬すず)が、茜(渡辺麻友)の家に預けている優を迎えに行く。すると茜の娘の明子の誕生日を一緒に祝いたいから家に帰りたくないと言われる。さらに、茜と一緒がいいと言われ、言葉を失うなつ。帰宅した坂場(中川大志)に、ずっと優を茜に預けてきたことの不安を口にするなつ。その夜、優のいない布団の中で眠れずにいたなつだったが、そこへ突然、電話が鳴り響き…。

Yahoo!テレビより引用)

昭和47年(1972年)――イッキュウさんが帰宅すると、なつは食卓に座り込んで考え込んでいます。

「何もなくて。今、ラーメンでも作るから」

なつは慌ててそう言います。

イッキュウさんは、事情を知ると優を迎えに行こうと言い出します。下山も帰宅が早かったって。

そうそう、下山も今はマコプロですね。マコプロは勤務体系もフレキシブルであるのでしょう。

「それだけ優は、茜さんのことが好きなんだよ」

子供は、一緒にいてくれた人を好きになる。生まれてから、母である自分よりも側にいたのは茜だった。そうなつは思ってしまうのでしょう。

戦災孤児であったなつの言葉です。柴田家とのことを思い出すと、何とも言えません。千遥のように、いじめられた悲劇とは違います。

優は、茜に預けられなくなると聞いてしまった。それまで、できるだけ茜と長くいたいんだ。そう思ってしまう。

「わかるのよ、私には。子供には、一緒にいてくれる人が一番だから。一番好きなのよ」

なつは悲しげにそう言うしかできないのです。

 

このあと、夫妻はラーメンを啜ります。食べながら、メンマをなつのどんぶりに入れるイッキュウさんの演技が絶品だと思いましたルンルン

これぞイッキュウさんだ。壁ドンはできない。ハグも不器用。唐突な愛情表現をしてしまう。

中川大志さんは、一体どれだけ役の特性をつかんでいるのか。

ただただ、驚かされます😲

親には忘れられない子の思い出がある

その夜――夫妻が寝ていると、茜から電話があったようです。

「ああ、すみません、すぐ迎えに行きます、はい!」

二人は茜の家に駆けつけます。優は泣き止まなかったそうです。

下山は朝になってから電話しようかとも思ったそうですが、結局、夜中に呼び出したと。

「優ちゃん、ママに会えてよかったね」

茜がそう言います。

さぁ、帰ろう。なつは優を背負い、家に戻るのでした。

父ナレが語ります。

『なつはこの夜を忘れない。優のぬくもりを、なつは一生忘れることはないでしょう――。』

この父のナレーションが、親子愛を感じさせます。彼にもそんな日があったことを彷彿とさせます。

 

なつは山川社長と佐藤部長に呼び出され、新作の作画監督を依頼されます。

困惑するなつ。原画担当のアニメーターに戻りたい。そう訴えます。保育園にも、6時には迎えに行きたい、と。

「今更そんなことを言われても……」

がっつりとあてにされていて、佐藤部長は、熱心に語り出します。

「原作のイメージを崩さずに、原画をさらによくできる。いいアニメーターなんだ!」

佐藤部長は出番が少ないとはいえ、漫画とアニメが好きでたまらない、よい意味でのオタクオーラが出ていて素晴らしいですよね。

原作があるとここで判明。それはなんと『魔界番長』でした。(だからネーミングが🤣)

※モデルはこれですね『デビルマン』だ

 

 

『魔界番長』あらすじ

ある番長に、魔物が取り憑いてしまう。

番長は恋愛に関しては硬派というかウブで、好きな女の子がいた。

しかし魔物が、その子を好きになってしまうのだ!

人類の敵なのに、人類を愛してしまった魔物番長。

彼は魔界を裏切って戦う!

「君にぴったりだろ!」

佐藤はそうプッシュします。

「やってくれたら昇給も約束する!」

おっ、いいですね。

やっぱり精神的なアプローチだけでなくて、ニンジンがあってこそ労働者はがんばれるんだ。やりがい搾取はないんだよ。

とはいえ、なつは複雑な顔ではあります。

 

このあと、なつはモモッチと休憩室で話しております。

モモッチの伊原六花さんは言うまでもなくお若い。

けれども、服装やメイクは変化しています。アップになるとわかるのですが、肌の色がちょっとくすんできました。ご本人のせいではなく、メイクによるものとみた。こういうところで、加齢表現をしていると。

モモッチは、なつの悩みを聞きつつ、客観視しています。

「あれだけ『キックジャガー』を成功させたんだから」

会社の判断にそう理解を示します。

それでも保育園の迎えのためには、6時に帰りたい、となつは語ります。

さらには暴力的なものは好きになれないとも加えます。

『ヘンゼルとグレーテル』では、原作のグレーテルが魔女を焼き殺すプロットに反対しました。

『百獣の王子サム』でも、暴力シーンを見せたくはなかった。

それなのに『魔界番長』はどうか。これは辛いなぁ。

「会社の都合を聞いていたら、やめられない……」

モモッチはそう言い出します。そうそう、話題はモモッチのことだったとなつは言い出します。

聞けば、会社を辞めると彼女は言い出すのです!

トレースという仕事に、自信を持って取り組んでいたモモッチ。

けれども、仕事は減るばかり。

「機械がやるからね」

これも悩ましいことではあります。トレースマシンが導入されていたのです。

漫画映画を描くには、それだけの枚数が必要になります。そしてその線が、うまく重なるようで微妙にずれていることで、動いているように見える。

そういう世界は終わった。今は効率なんだ。東洋動画でもいち早く投入しているのです。

機械を使うことで、失われることはあるんです。それが実は、東洋動画にとってのモモッチなんだ!

用済みと愚痴るモモッチ、慰めるなつ。しかし、モモッチは不敵な笑みを浮かべこう言います。

「私にとっても、会社は用済みってこと……」

合理化のせいで用済みになったモモッチは、マコに相談しました。

マコは、モモッチに彩色に興味はないか? と持ちかけます。

東洋動画での仕上げは、美術の色指定に沿って塗ってゆくシステム。

背景は仕方ないにせよ、動画の色指定は仕上げがやることにしたい。マコはそう持ちかけるのです。

「モモッチなら、そういうことに興味あると思って」

さすが、マコさん、有能だ!その目で、モモッチの色彩センスを評価していたのでしょう。見る目あるから、マコさんは。グッ

「それが決め手ッ!」

モモッチはそう言い切ります。塗りながら、これはちょっと違う色がいいのにな〜と思っていたのです。

「そういう才能あるかも。好きかもしれない! それでいく!」

このモモッチの歓喜よ。自分の秘めていた才能を見出され、ウキウキルン音符

『半分、青い。』で、鈴愛が秋風塾に誘われた時を思い出しました。

あれは五平餅がらみで揉めたけどさ。

なつは戸惑うしかない。同期のモモッチまで、マコプロですもの。取り残された気分にはなります。

そういう今後の動きへの伏線がお見事です。

このあと仲がなつを廊下で呼び止めます。

「なっちゃん!」

誠実な仲は、山川と佐藤に説得してくれと泣きつかれたと言い切ります。作画監督をどうしてもなつに任せたいようでして、昇給もあるとまた繰り返します。ちゃんと給与を言い切る本作って良い

なつの浮かない顔を見て、仲は子供の時間が欲しいのかと気遣います。

「やっぱり無理か……」

「すみません。それもありますけど、実は作品に乗れないんです」

「なるほど、そうか。そうだとしたら、僕が言えることは何もないな……ここからは、なっちゃんが自分で決めるしかない」

モチベーションが上がらないと言われて、仲は理解を示します。

イッキュウさんから妙な誤解を受けていた仲ですが、あれは完全にイッキュウさんのやらかしですね。理解がある人なんです。

「アニメーターとしてどこを目指すか、誰も教えてくれない。僕は、なっちゃんが決めた通りでいい。何をするにせよ、アニメーターとしての奥原なつの意思を、尊重したいと思います」

魂の名言レベルじゃないですか!

仲は、これまた誤解による、咲太郎噴水突き落としをされたこともありましたが。

あのときのセリフでもあったように、なつの才能を見出してアニメーターの道を開いたからには、責任を感じているのです。

男性が女性の人生に責任を持つということは、夫婦間だけではなくて。上司と部下でも、そういうものでしょう。仲はその点、理想の上司感が出ています。

 

さて、最高の上司に認められ、なつはどうするのか。

優を迎えに行きます。

「ママありがとう、今日は来てくれてありがとう!」

「優、今日は公園で遊んで帰ろっか」

夜は遊んで帰らなかった。けれど今日はそれができる。

ここで父ナレが語ります。

『結局、作画監督は引き受けたのです。なつよ、ともかく前を向いて歩こう――。』

次回に続く・・・