【第112話あらすじ】「なつよ、開拓者の郷へ(112)」 農協の工場建設問題は無事解決する。なつ(広瀬すず)の育った環境を知った坂場(中川大志)は、なつが多くの人からの愛情を受けて育ったことを実感し、絵を生み出す力の源を知る。そして坂場はある思いをなつに打ち明ける。組合長の田辺(宇梶剛士)に呼ばれたなつは、入院している病院を訪れる。すると田辺からあるお願いされる。一方、その頃、雪月では、雪次郎(山田裕貴)が何やら企てており…。 (Yahoo!テレビより引用) |
昭和41年(1966)年――北海道・十勝。田辺の悲願である十勝酪農王国建設が、今、進もうとしていた。そして今日からは、建国後の内政パートになります。
よっしゃあぁー!ヤタ───ヽ(〃∀〃)ノ───♪
なつと坂場は、信哉と再会しました。
「なっちゃん、おめでとう!」
「式はまだ先だけど」
なつは、坂場家から許可をもらっていないと、ちょっと不安そうではあります。
坂場は大丈夫だと念押し。彼なりの確信があるのでしょう。そのあたりの説明をすっ飛ばしているだけで😅
「なっちゃんをどうかよろしくお願いします! 本当に辛い思いをしてきた人なんで……」
そう誠実に語る信哉。
彼の場合、目線にちょっと惜しむような光もありますし、倉田と比較すると、地に足がついた常識人だとわかります。
信哉は自分が見てきたなつの過去を元にして、不安を抱いているのです。
避難所の学校に駆けつけたものの、そこも火の海。危機的な状況の中、なつの手をつかみ、プールに飛び込ませてくれた・・・それが信哉でした。
実はそんな信哉も、昨年結婚済みでした。札幌で、二人だけの式をあげたのです。
妻の気遣いでした。誰も親族がいない、戦災孤児である信哉のためにそうしたのです。
これも美しいですね。
信哉の妻とその家族を重ねて、坂場とその家族のことを暗示しているようにも思えるのです。
「おめでとう、ノブさん!」
「なっちゃんもこれから、新しい家族を作っていくんだな」
「うん、ノブさんもね」
新しい家族を作ること。 戦災孤児である彼らのやりとりだとふまえると、胸が詰まります。
8月に放送することにも、意義がありますね。直接的に描かなくても、こうして戦争を描くことはできるのです。
十勝の空の下で、坂場はしみじみとこう言います。
「きみはすごいな、こんなにいろんな人から、恵みを受けて生きてきたんだな。その恵みを、ちゃんと返してる」
「そうだったらいいけど……」
これはまさに私も思っておりました。前半部、なつは周囲から受け入れられて生きてきた。
それが、坂場との出逢いをきっかけに、変わったのです。
いろいろ特殊すぎて社会からはじきだされる、そんな坂場をなんとかなじませようと、恵みを返すようになってきているのです。
「きみの絵を動かすのは、何だろう? そのことを、ずっと考えてた。僕にもし、そういう力があるんだとしたら、才能があるかないかにも関わらず、またやってみたい。漫画映画……またその道を探りたい。他の就職先は考えられない!きみには苦労をかけるかもしれないけれど……それでもいいなら」
「いいに決まってるしょ」
なつがそうしみじみと言うと、二人は感極まったように抱きつきます。
感情の昂りと、仕草が自然に溶け合っている。
背後の景色に対してもそう。
「こうすれば、生きる力も、二倍になる……」
ほら、大丈夫だって。
「やるぞー! 空ー!」
「よーし、空ー!」
なんだか大自然でハイテンションになって絶叫する、ちょっとなんだかわからない二人にも思えるのですが……。
セリフと演技、演出が全部綺麗にかっちりと噛み合っているから、これはもう、ひとつの世界ですね。
すごく美しいけれど、その美しさと残酷さは表裏一体でもある。
不器用なんだ。
二人には、この道しかないフレーッ!(o゚∀゚o)尸 フレーッ!
その夜、柴田家では――ニュースとして放映される、十勝酪農王国建設の一報。
それを、あの場にいた柴田軍諸将が見ております。
ナレーションは信哉です。
明美は、これを見て戦意の刺激を受けています。彼女もあの姉を見てきましたからね💧
「たったこれだけ?」
皆がそう思うほど、ニュースは短かったようです。
次は、お天気お姉さんに切り替わります。北海道はもう初冠雪も確認だってさ。夏のように思えても、冬は早く来るべな。そんでもって、なんと、このお天気アナウンサーが信哉の結婚相手だって😳
言われるまで気がつかなかったと、皆驚いています。確かに名字は佐々岡になってましたね。
「めんこい子だな……」
ここで、泰樹ジジイがボソリ。
「そりゃテレビに出ているんだもの」
「めんこくない子も出てる……」
げえっ、ジジイ!
ここで照男がこう言います。
「じいちゃんも、そういう目で見ているんだ……」
そんなジジイを喜ばせるようなことを、明美が言い出します。
「信哉さんのような、世を切り取り仕事をしたい。アナウンサーでなく、女でもできるのであれば……」
坂場がここで、こう来ました。
「できます。男女差がなくなっていきますから」
これも、結構面白いんですよね。
ここで富士子が、ちょっと戸惑っていますね。
明美まで晩婚化するのではないかと、心配になっているのでしょう。富士子と照男は、その世界を理解はできても、戸惑いがあるのです。
照男は幼い頃、男の仕事である酪農をこなすなつに劣等感がありました。
富士子の堅実性を、夕見子は「大志を理解できないの!」とぶっとばしていました。
さて、夕見子によると、そんな開拓者魂の持ち主である田辺は、なつに頼みがあるのだそうです。
工場建設で急ピッチ。
しかも入院中。そんな多忙な田辺が呼ぶとなれば、よほどのことのはず。
病室で、田辺はなつを出迎えます。
肉体的には疲れていても、精神的にバリバリ元気なんでしょう。こういうとき、無茶をしがちですからのう。剛男と夕見子が休ませたのは、正解です。
田辺の計画は、こうでした。
「十勝協同乳業」旗揚げじゃ!
↓
かといって「十勝共同バター」では馴染みにくい
↓
堅苦しくない名前を考えねばならん
↓
剛男「それはたんぽぽバターではどうでしょうか。たんぽぽが咲き、カッコウが鳴き、春が来ます。そんな新しい季節を連想させるタンポポです」
↓
田辺「それ、採用!」
↓
田辺「次は商標か……」
↓
剛男「たんぽぽには思い出があります。十勝にやってきたあの日、なつが食べたんです」
↓
田辺「むむむ……あの、めんこい絵を描くなつ殿の思い出と関係あるとな?」
↓
田辺「ようし、これも天命じゃ! なつ殿に商標(ロゴマーク)を頼むのじゃ」
↓
なつ「なんと! これは光栄でです!」
結果的に、泰樹の策謀であった照男の嫁としてよりも、なつはでかくなって戻ってきた。
感無量じゃ。
と、感動しているところで夕見子がこう来おった。
「フッ……なつの商標案が不十分であれば、採用しなければいいだけ……」
この人たちに、普通の気遣いを期待しないで……。
キツめの冗談が平常運転。これも、散々スパーリングしてきて、対処に慣れたなつだからムッとしません。むしろ奮い立つ。
「よろしくお願いします!」
「こちらこそだわ、なつさん、よろしく頼む!」
かくして、何か大きなことが動き出したわけです。
坂場も何かを感じ取った顔をしています。
そのころ、雪月では――雪次郎が菓子作りに挑んでいました。
「俺のバター。オバタ、小畑雪次郎! ははは! 天才だ!」
なにが「ははは!」だ。
と、突っ込みたいところで、父ナレがこうフォローしてくれます。
『ふざけているいるわけでありません』
つくづく親切なナレーターだな。
どうやら、ここ雪月でも、新しい挑戦が進んでいるのだとか。
雪次郎は、演劇部ゆかりのメンバーを店に呼んでいました。
雪次郎が、彼の魂を持って来ました。
「お待たせしました、できました! これが俺の、新しい魂です」
これが雪次郎発案、記念すべき菓子です。
『なつよ、この雪次郎の魂が、新しいきみを呼ぶことになりそうだ――。』
父ナレがそう締めくくる中、味のお楽しみは明日へ!
なんだかすごいことになってきたな……
朝ドラは15分フォーマットですから、複雑な構造は禁忌であるはず。
『神をつかんだ少年クリフ』の評価は、本作にとって自虐的になりかねません。
本作をわけがわからないと評価する人がいても、特に何とも思いません。心当たりがありすぎるし、好きになれとプレゼンをする気もさらさらありません。
そこは、人それぞれですからね。
これもバカみたいな話ではあるんですが、
「ごろ寝している主婦でもわかるように」
という、セオリーもあったわけでして😱
まぁ、気遣えばって言い換えれば、
「朝、出勤前、家事の空き時間で見ていてもわかるように」
というあたりに落ち着くんでしょうね。
『半分、青い。』では、このセオリーをボコボコに殴り、踏み抜きました。
それゆえか、アンチの勢いが「侵掠しんりゃくすること火の如し!」ってなもんでした。
本作は、意図的に進化系で来た気がします…多分
今日だって、半端ない伏線の繋がり方をしつつある。
謎の疾走感と爽快感と大志を、本作から感じます。
だから、どういう朝ドラなんだってば……。
普通じゃない。
北海道開拓者の苦労と歴史と産業、アニメを組み合わせる時点で、超絶技巧が必要かつめんどくさい。
これに挑んだ時点で、本作は標より挑戦的なんだとおもう。