【第105話あらすじ】「なつよ、どうするプロポーズ(105)」 長編映画を任されることになった下山(川島明)の誘いにより漫画映画の演出をすることになった坂場(中川大志)。再び映画に携われるとなつ(広瀬すず)に報告し、なつへの想(おも)いも伝える。そしていよいよ、下山を中心に長編漫画映画の制作が始まるが、演出の坂場のこだわりが強く、一向に脚本が進まない。見かねた仲(井浦新)は、坂場と神地(染谷将太)に声をかけるが、仲に心を開かないふたりは聞く耳をまったく持たず… (Yahoo!テレビより引用) |
昭和40年(1965)年――激動のプロポーズ、そして水曜日。
何が起こるのか?
冒頭、昨日の続きから振り返ります。
「僕の気持ち、ずっと前からわかっていたでしょう!」
は?
「いや、全然、わかりませんでした……」
と、これにはなつも困惑です。
きたよ。
こういう坂場の言動には、お約束のこれがふさわしい。
全くわからん!オロオロ((ヽ(;ω;)ノ))オロオロ
ここから先も、坂場のプロポーズが意味不明です。
「長編映画ができたら言おうと思っていたところなんです!」
「え、えぇ……」
「あなたの気持ちはどうですかッ!」
「はい、わかりました」
「えっ!」
「結婚します! あなたと結婚します!」
「えっ、結婚ですよ?」
「何を疑っているんですかッ!」
「映画が成功したらですよ!」
「それ……いる?」
こいつはなんなんだ!∑(゚Д゚;)エーッ
とりあえず、プロポーズが【表裏比興】の極みすぎて意味不明なので、ゆっくり考えていきましょう。
モモッチに相談して整理しないと😅
とりあえず、なつは喫茶店でモモッチに経過報告します。
彼女に話して大丈夫?
と、懸念はさておきまして。
「なにそれ! いきなり言ってくるなんて!」
「びっくりするでしょ」
「つきあってたからでしょ」
いや、そうでないんだわ。
なつはそこは否定しつつ、諦めというか、納得しています。
「そういうものかな、やっぱりそうなるのかな、って……」
「なにそれ?」
モモッチもわかっていませんが、なつも無意識的なもので、なんだかわかっていない状況かもしれません。
なつは、押されて結婚するほど甘い性格ではない。照男との結婚を画策した泰樹ジジイを一騎打ちで負かしたわけですし。
一般的にフィクションでは、ロマンチックに演出するもの。
『半分、青い。』の鈴愛と律は、同じ日に生まれたことがそういう演出ではあったのですが。
本作はある意味それを深化させてきたので、わからない人には「全くわからん!」のドツボに突っ込むことでしょう。 度胸あるわぁ~凄ッ∑(o゚д゚oノ)ノ
困惑するなつに対して、坂場は自ら【長編成功】という条件を持ち出すわけです。
これも意味不明になりかねないところです・・・
どさくさに紛れてか、モモッチも、実は同じ職場内の助監督とつきあっていると明かしてきました。
知り合いの紹介だそうです。モモッチの恋愛エピソードは、なつと坂場の特異性と比較できるという意味でも、便利ではあるのです。
彼は「監督になるまでは結婚しない」そうでして。
なつはそういうものか、と納得したような、していないような。
「結婚と成功、関係ないのに……」
口止めしたのに、仕上課どころか作画課でもバラしちゃいそうなモモッチも気になりますが。はてさて、どうなることやらトホホ(;´д`)=3
結婚話はさておき、長編映画はなつ自身の目標でもあり、フル回転で進んでいきます。
坂場が会議で映画の概要を語り始めます。
『神をつかんだ少年クリフ』仮タイトル
村の少年・クリフは、誰も抜くことのできない剣を引き抜きました。 しかし、その剣は砕けてしまいます。 死神、戦の神が砕いたのです。 死神は、人類に戦争をさせて滅ぼし、新世界を創造するつもりでした。 そしてクリフの元へ、死神の娘・キアラが降りてくるのです。 キアラとクリフは恋に落ちます。 |
戦争という運命の中、人々が善と悪を見出す――。
そんな物語が繰り広げられそいで、なんだか面白そう。
けれども悪化というか深化というか進化というか、話がデカぁぁい!。
はい、映画作りがフル回転しそうなところですが、ここで停止してしまいます😱。
また夏が来ました。
ストップした理由は、言うまでもなく坂場です。
キアラのキャラクターデザインが、決まらない。
なつがいくら出しても、通じないのです。坂場は容赦なくダメ出し。
見るからにあくどいデザインは違うのだ。
そう言われて、なつは困り果てます。じゃあ、かよわい外見なのか?といったらそれもダメ。
神地が横で、したり顔でこう言ってきます。
「強いのに、かよわく見えるなんて、ありきたりすぎる」
陳腐で全然面白くねえ。そういうダメ出し。
でもこれって、結構、現在のジャパニメーションに突き刺さることのような気もします。
胸のサイズ。髪の色。頰のあからめ方。
ゼリーのように若い少女はぷるんぷるんとしている。
つり目のツインテールはツンデレ。
ハンコを押したような小さな鼻と、キラキラして大きな目。
戦国武将モチーフだろうが、ホストじみた髪型の男たちばかりで、そのキャラの年齢はよ?というと、さぁ、知りません。
おきまりの声優が、いつものパターンで息を吸って吐いて、同じようなセリフを言う。
そして壁ドン!
そういうお約束を、坂場や神地が見たらどう思うのか?
パターン化の方が楽っちゃ楽でしょうし、安心感もある。
でも、それでいいのか?と、そこまで本作は踏み込んできました。
それに「強い女性に、魅力が欲しい……」ってのも、指示が曖昧だぁ~っ!
倉田先生への天陽あたりからが始まりだった、指示ざっくり問題。
一番重大深刻な形で炸裂しおったぁッ!
ここで助けに入るのが仲です。
「なっちゃん、大丈夫?」
「いえ、大丈夫です」
仲はなつを励ましつつ、不安を見せます。
内容があまりに複雑すぎる、これで観客である子供たちが理解できるのかと。
「わかりやすくすれば大丈夫でもない……」
坂場は塩対応ときた。
なつはフォローに入ろうとします。
「他に何か? 好きにやらせてください。責任取りますので」
ドヤ顏坂場……本当にこいつは、どうしようもないな……。
当然、なつは焦ります。
「仲さんにそんなっ! 失礼でしょ」
そうたしなめますが、坂場と神地はこう来ました。
「仲さんといたら、永久に新しいものはできなくなる……」
どす黒い。こいつら、どす黒過ぎます。朝ドラでこのどす黒さは一体何なのでしょうかヒェー(゚ロ゚ノ)ノ。
なつは、キアラのデザインをずっと考え続けます。
気分転換でしょうか。合間に中庭へ向かい、噴水に佇む仲に話しかけます。
なつは坂場たちの態度を謝りました。
仲はいつものように優しく、進行の遅れを気遣ってくれます。
同時に、
キャラクターがないと、脚本ができない――そういう普通と逆のやり方のせいだと、分析しております。
坂場は自分で絵も描けないのに、どうしてもそうしたい。
彼の思考プロセスの問題でしょう。いきなり書くのではなくて、頭の中でキャラクターを動かして、それを書いていく。そういうタイプ。
無理矢理それを直そうとすると、全く書けなくなるかもしれない。
なつが、そんな坂場は間違っていると思うか?と質問すると、仲は苦しそうにこう答えるのです。
「わからない・・・正しいのか、そうでないのか。新しいのか、古いのか。判断できない。悔しい。自分の限界を突きつけられて、悔しい・・」
絞り出されるような、苦悩に満ちた言葉。 井浦新さんが仲で、しみじみ適切だったと思える――そんな哀切な演技です。
さて、その坂場ですが。プロポーズで、素晴らしいところが発揮されるかと思ったら、むしろ結婚相手としては嫌な要素が出てきました😨
「違うんです、キアラは、こうじゃない! 神の怒りを説明できる、わかりやすいキャラじゃない!」
バンバンと壁まで叩く。こいつはもパワハラに突っ込みかけている。
なつも限界に達しつつあります。
「あなたの頭の中に向かうのは、無理です」
映画を作らなければ、元も子もない。結婚もない。もう、それどころじゃない。
「一人で映画を作っているわけじゃない」
「わかってます! 絵が描けないけれど、理想じゃないキアラで妥協したくない! 私は私を超える、皆さんも皆さんを超えて、答えを出してください! あなたのキアラを見つけてください!」
もうダメだ。万事休す。そう言いたくなります。
なつもどんよりして、会議室から出てくるのです。
「なっちゃん!」
そこで、救いの神がやってきます。仲です。
「なっちゃん、頼みがある」
ここで父ナレが告げます。
『なつよ、それはきっと仲さんの魂だーー。』
月曜日から気になっていましたが、ストレス所以なのか、出世して自由度があがったせいか。
坂場のメンタル状態がややこしいことになっています。カチンコを失敗する程度の頃は、無邪気なものでした。しかし今はコイキングがギャラドスになっちゃった感。強くなって可愛らしさが減った感があります。
今作は、クリエイターと並んで歩く、リアルで生々しい地獄が出てきました。
モデルの方も、いろいろなことがありました。やさしい作品を作った人が、やさしいわけでもない。
本作は、そういう難しさや厄介さに踏み込んできます。
好きな人が好きと言い、考えさせ、作り手が満足してこそ。
そんなやっかいな哲学が、本作にはある・・・かな
そんな濃厚で不穏、時折どす黒いドラマです。