【半分、青い。】-再上京編②-

そして、お互い40歳近くになった今、再び2人の“共同制作”、あるいは“共同発明”とも言うべくプロジェクトが着々と進行しつつある。そよ風の扇風機である。もちろんこれまでにも、例えば、“岐阜犬”(しゃべる仕掛けが施されたぬいぐるみ)の制作にあたっては2人で意見を交わしたわけであるが、今回の扇風機はどうやらとても大掛かりな計画となりそうです。

ただ、ひょっとすると鈴愛から晴にはすでに、1つの大きな“プレゼント”が手渡されているように思われる場面があった。それは“世界の見え方”である。再び晴のもとを訪れた鈴愛。その時、鈴愛が子供の頃に傘を差しながら、「あっ、お母ちゃん! 面白い! 半分だけ、雨降っとる! 右だけ、雨降っとる!」と言っていたときの回想シーンが流れた。片耳が聞こえなくても、半分は晴れている世界が広がっていると思える。これを鈴愛は、「半分、青い。」と言った。目の前の風景は解釈の仕方でいかようにも見えるということ。きっと、晴にとってそれは鈴愛から得た大きな考え方なのだろう。このシーンで、晴はこうつぶやいた。「健康な方がええに決まっとる。当たり前や。ほやけど、今まで見えんかった景色が見えてくる。『半分、青い。』って言ったあんたみたいに。これが私の人生や。ほう思うと、どんな大変なことがあっても、愛しいな」、と。

物語も大詰めに近づいてくるこの作品。鈴愛と律が立ち上げた会社“SPARROWRHYTHM”をやっていくにあたって、大きなハイタッチをしたその姿は、なんだか大きな成功を感じました。子供の頃のゾートロープのように、2人の上手い役割分担とアイデアが結実することを信じたいと思う。