
研究留学をしているので、少し自分がやっている研究の話を。
動物実験と聞いてどんなイメージをもつでしょうか?
医学の発展のためにはしょうがないこと。
動物虐待ではないのか。
どんな感じなのか全くイメージできない。
などなど、いろいろな意見があると思います。
研究のため海外に渡って、早4年が過ぎてしまいました。こんなにいる予定ではなかったのですが、いろいろあったのか、なかったのか。結論としては急いで日本に戻らないといけない事情がなく、ラボの方からもまだいていいよと言われているので、そのままずるずる研究生活を送っています。
自分がいままで動物実験として用いたのはラット(日本語ではドブネズミと訳されるやや大きめのネズミです)、ブタ、そして羊です。
他にもマウス(ハツカネズミ)、モルモット、うさぎ、猫、犬、ヤギ、チンパンジー、そして牛などが実験動物として使われることがあります。
どうやって使う動物を決定するか分かりますか?
マウスなどは値段が安く、遺伝子組み替えモデルを作りやすいというメリットがあります。飼育するのにも大型動物と比べると場所をとりません。値段が安いのでたくさん実験に使えます。動物の数が多いと、統計をかけたときの数値の信憑性が上がるので、データの信頼性が上がります。
ラットはマウスと同じように安さが魅力です。マウスほど小さくないので、外科的に手術などを行い少し複雑な実験モデルを作ることができます。
ブタ、羊、ヤギなどは心臓の病気の実験にはよく使われる大型動物です。ただ大型動物は購入にお金がかかり、その飼育も大変です。よほど立派な実験施設でないと実験動物として使用するのは難しいと言われています。逆に、それらの動物を使って実験しているということは、その実験施設が立派だということの証明にもなります。
ブタは遺伝子の80%が人間と同じと言われています。心臓の大きさも人間と同じくらいあり、その特徴も同じであるため、手術の練習などにも使われることがあります。人間と遺伝子が近いため、ブタの実験で良いデータがでると、その結果をもとにして臨床試験に申請を出すことが可能になります。
短所としては半年もフォローしているとむちゃくちゃでかくなるということでしょうか。簡単に100kgを超えてきます。そのためミニブタを使う施設もあります。心臓に関することを言えば、不整脈を起こしやすいという短所もあります。一回、不整脈を起こされると、人と違って薬や電気ショックでもなかなか治らないため、高いお金だして買ったブタが実験を始めて数時間で死んでしまうという色々な意味で悲しい事態になることがあります。
羊はブタよりは軽いため、扱い(部屋の移動や体重測定など)がやや楽です。ブタよりも不整脈には強いです。一番の特徴は、若い羊などは石灰化の反応が強いため、新しく開発している人工のパッチや弁を埋め込んで、どれくらい劣化しないかをみる実験には最適と言われています。また、ブタと比べると檻の中で暴れたりしない大人しい性格をしているので、採血などを定期的にしないといけない場合も便利だと思われます。短所は、反芻動物と言われるように胃がいくつかあり、口と胃の中で食べ物を行ったり来たりさせたりする特徴があります。そのため、胃の中に胃液やガスなどが多量に溜まるため、手術中には太いチューブを胃の中に挿入し、液やガスが溜まらないようしないといけません。その影響で、超音波の検査などで心臓の機能をみようとしても、上手く写真がとれないことがあります。
ちなみにこないだ羊を使った実験を行なったんですが、顔が黒い羊のショーンみたいなヤギでとても可愛かったです。触りごごちも絨毯を触っているみたいでGoodでした。長時間の手術を乗り切り今は元気にしています。