心臓の筋肉に栄養を送る冠動脈という血管が、動脈硬化によって細くなったり詰まったりして起こる狭心症心筋梗塞

 
狭心症は、血管が狭くなったことで心臓の筋肉に十分な血液が送れなくなって胸が痛くなります。血管がつまっているわけではないので、安静にしていれば数分で症状が落ち着きます。
 
心筋梗塞になると、血管が詰まったことで起こる心臓の発作のため、症状は30分から1時間以上は続くことが多いです。急いで治療し、詰まった血の塊を溶かしたり、取り除いたりして再び血を流さないと、心臓の筋肉の一部が腐ってしまい、心臓の機能が著しく低下する危険があります。
 
(狭心症や心筋梗塞による胸の痛みは、通常胸の真ん中が押されるような重苦しい感じを訴えることが多いですが、肩の痛みだったり、歯の痛みとして感じること(体性痛)があります。階段を登った時や、運動をしたときに上記症状を感じた時は、狭心症や心筋梗塞を疑ってください。)
 
専門用語では、これら2つをまとめて、血のめぐりが悪くなって起こる心臓の病気なので「虚血性心疾患(きょけつせいしんしっかん)」と呼んだりします。
 
その治療として、飲み薬の次に思い浮かぶのがカテーテル治療かもしれません。
俗に「風船治療」とも呼ばれていた、細い管を手や足の付け根の血管から挿入し、それを心臓の血管の細くなった部位まで進めたのち、カテーテルの先端についた風船で詰まった箇所を膨らませるという治療法です。
 
局所麻酔薬で治療ができる、体の負担が軽いと言われる治療法の1つです。
ただ、全ての治療法には向く患者さん、向かない患者さんがあり、全ての病気に効く万能の治療法もありません。
 
狭心症はあるものの安静時には発作がない、安定狭心症といわれる患者さんにおいては、現在のところ、飲み薬による治療法と、このカテーテル治療を行なった場合、治療後に心筋梗塞を起こす確率、死亡する確率、再治療が必要となる確率などに差がないと言われています。
唯一のはっきりとした違いは、カテーテル治療を行うと、飲み薬だけと比べて、心臓発作により胸が痛くなる確率を減らせることです*。
 
もちろん、カテーテル治療の道具も発達しています。
最初は風船治療だけでしたが、そのうち、ステントといわれる金属でできた補強材を一緒に使えるようになりました。それでも再狭窄してしまうことが多かったので、薬をステントに塗り込んで(完全ではありませんが)それを予防できるようになりました。現在では、風船そのものに薬を塗り込んだり、体に吸収されて消えてしまうステントなども開発されています。また、完全に詰まって固くなってしまった血管を小さなローラーでこじ開けていくカテーテルもあります。
 
今後のさらなる医療機器の発展を期待したいところですね。
 
*参考資料