こないだ、調べ物をするためにインターネットを検索していたときに、ヤフー知恵袋の記事に目がとまった。
24歳の女性で結婚をひかえている人だった。
人工弁置換術を受けてワーファリン内服中、主治医より子供は産めないとの説明を受けていた。
代理出産も含めて何かいい方法はないかとの質問。
人工弁置換術を受けてワーファリン内服中、主治医より子供は産めないとの説明を受けていた。
代理出産も含めて何かいい方法はないかとの質問。
同様の問題で困っている女性は多くはないと思うが、種々の理由でワーファリンを内服している妊娠希望の女性にとっては切実な問題。
自分もこの間、妊娠初期に深部静脈血栓症を発症した患者さんを外来で診る機会があった。
妊娠の喜びのあとにつきつけられる厳しい現実。
ただ、医療従事者としてできることは妊娠・出産による危険性をきちんと伝えること。
妊娠の喜びのあとにつきつけられる厳しい現実。
ただ、医療従事者としてできることは妊娠・出産による危険性をきちんと伝えること。
「危険なので妊娠・出産はできません」だけでは残酷です。
現在の人工弁置換術後患者さんの妊娠についての一般的見解は下記の通り。
*深部静脈血栓症でワーファリン内服中の方もだいたい同じような管理が必要となります。
*深部静脈血栓症でワーファリン内服中の方もだいたい同じような管理が必要となります。
1.妊娠・出産を許可しないのが原則
2.危険を知った上で、なお強く希望する場合は、下記の妊娠許可条件に適合する症例のみを対象とし、管理指針に添って妊娠・出産を行う。
2.危険を知った上で、なお強く希望する場合は、下記の妊娠許可条件に適合する症例のみを対象とし、管理指針に添って妊娠・出産を行う。
<人工弁置換術後患者の妊娠許可条件>
◎原則的には禁忌
◎妊娠・出産を強く希望する場合
①血栓症の既往のないこと
②同調律であること
③心不全徴候のないこと
④単弁置換例
◎原則的には禁忌
◎妊娠・出産を強く希望する場合
①血栓症の既往のないこと
②同調律であること
③心不全徴候のないこと
④単弁置換例
<人工弁置換術後患者の妊娠出産管理>
1.妊娠初期(妊娠13週まで):可能なら入院管理
妊娠前から計画的にワーファリンを胎盤通過性のないヘパリンの皮下注射に変更する。
*ワーファリンは胎盤を通過し催奇形性あり
*ヘパリン皮下注療法
1日量10000~15000単位を1日2~3回皮下注
2.妊娠中期(妊娠14週~32週まで)
ワーファリン療法
トロンボテスト10~25%(APTTの正常値1.5倍)にコントロール
3.妊娠33週以降(入院管理)
ワーファリン漸減しヘパリン点滴管理(胎児頭蓋内出血予防のため)
4.妊娠34週以降
胎児成熟後早期に娩出
なるべく早期にヘパリン点滴静注再開
(妊娠末期の凝固亢進による母体血栓防止のため)
1.妊娠初期(妊娠13週まで):可能なら入院管理
妊娠前から計画的にワーファリンを胎盤通過性のないヘパリンの皮下注射に変更する。
*ワーファリンは胎盤を通過し催奇形性あり
*ヘパリン皮下注療法
1日量10000~15000単位を1日2~3回皮下注
2.妊娠中期(妊娠14週~32週まで)
ワーファリン療法
トロンボテスト10~25%(APTTの正常値1.5倍)にコントロール
3.妊娠33週以降(入院管理)
ワーファリン漸減しヘパリン点滴管理(胎児頭蓋内出血予防のため)
4.妊娠34週以降
胎児成熟後早期に娩出
なるべく早期にヘパリン点滴静注再開
(妊娠末期の凝固亢進による母体血栓防止のため)
文献によっては5mg以下のワーファリンでは奇形になる可能性は少ないとの報告もあるようです。
参考までに、日本循環器学会より「心疾患患者の妊娠・出産の適応、管理に関するガイドライン」というのがインターネットで公開しています。1294ページからが抗凝固・血小板療法についての記載があります。
詳細を知りたい方はご参照ください↓
http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2005_nakazawa_h.pdf
詳細を知りたい方はご参照ください↓
http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2005_nakazawa_h.pdf