今日、背中に激痛を訴えた若い女性が救急部にやってきました。

この方はMarfan(マルファン)症候群という特殊な病気。
生まれつき血管が弱く、膨らんだり裂けたりしやすいのが特徴。
そんなわけで、心臓血管外科とは縁が深い病気です。

今年の8月にお腹の動脈瘤(腹部大動脈瘤)に対して手術をした人でした。
20代の女性です。
今日の朝、シャワーを浴びていたら突然、背中に激痛が走ったそうです。

Marfan症候群の人、背中の激痛・・・。
まず疑うのは急性大動脈解離。
つまり血管が裂けてしまう病気。

来院して、採血、心電図など簡単な検査をした後に、急いでCTの検査をしました。
予想通り、遠位弓部から下行大動脈にかけて血管が裂けてました。
診断は、急性大動脈開離、StanfordBというタイプ。
簡単にいうと手術をしなくてもいいタイプ。
でも、治療って結構つらいんですよね。
裂けた血管が元通りになるのをまったり、裂けてはいるけどそれ以上広がらないけど確認したり、と長い入院生活が必要となります。
最初は絶対安静でトイレに行くこともできません。

自分の意思とは関係なく、生まれつきもってしまったこの病気。
誰が悪いわけでもない。
受け入れるしかない。
元気で生きていくために、病気のことをよく知るしかない。

「生まれつき」ってつらいですよね。