
今週、自分が島にいる間に1人のおばぁちゃんが大学病院で亡くなったそうだ。
80代のおばぁちゃん。
80代のおばぁちゃん。
僧帽弁閉鎖不全症(心臓の弁の一つが壊れていて、心臓内の血液がスムームに流れない病気)
腹部大動脈瘤(おなかの大きな血管がはれて大きなこぶになる病気)
慢性閉塞性動脈硬化症(足の動脈硬化が進んで、足の血流が悪くなる病気)
腹部大動脈瘤(おなかの大きな血管がはれて大きなこぶになる病気)
慢性閉塞性動脈硬化症(足の動脈硬化が進んで、足の血流が悪くなる病気)
そういった病気をもったおばぁちゃん。
そんなおばぁちゃんが大学に来たのは11月14日の月曜日。
隣の市に住んでいて、家の近くの病院がかかりつけ。
日曜の夜から足が痛くなって、血色も悪いとのことで、かかりつけの病院を受診した。
足の脈の触れが悪いとのことで、主治医の先生は、下肢動脈閉塞(足の血管が急につまる病気)を疑った。
外科的な処置が必要かどうか、意見を聞きたいとのことで大学に電話があった。
日曜の夜から足が痛くなって、血色も悪いとのことで、かかりつけの病院を受診した。
足の脈の触れが悪いとのことで、主治医の先生は、下肢動脈閉塞(足の血管が急につまる病気)を疑った。
外科的な処置が必要かどうか、意見を聞きたいとのことで大学に電話があった。
人手が足りないこともあり、自分が診察することに。
大学病院に着いた頃には足の症状は良くなっていた。
痛くてたまらなかったらしい症状も、あまり気にならないくらいの痛みになった様子。
足の色は真っ白ではあるけど、チアノーゼ(酸素不足で紫色になるやつ)にはなっていない。
痛くてたまらなかったらしい症状も、あまり気にならないくらいの痛みになった様子。
足の色は真っ白ではあるけど、チアノーゼ(酸素不足で紫色になるやつ)にはなっていない。
膝下まで脈は触れるけど、足先の脈は両足ともに触れない。
自分の診断は、慢性動脈閉塞の急性増悪。
もともと足の血流が悪いところに、なんらかの原因で突然足の血流が途絶え症状が悪化した。
そう考えた。
もともと足の血流が悪いところに、なんらかの原因で突然足の血流が途絶え症状が悪化した。
そう考えた。
ここ1週間、心不全による両足のむくみがあり、その治療のため利尿剤が増やされたそうだ。
最近、おしっこにもよく行くようになり足のむくみもすっかり減ったらしい。
そんな話を聞くと、やっぱ脱水気味になって血流不足になったんじゃないかな?
最近、おしっこにもよく行くようになり足のむくみもすっかり減ったらしい。
そんな話を聞くと、やっぱ脱水気味になって血流不足になったんじゃないかな?
そうなると膝から下の細い血管が病気の主体となるため、外科的治療は難しくなる。
おなかのこぶ(腹部大動脈瘤)は、本人の体力がもたないだろうって話で手術はしないことになっている。
以前、破れかけたこともあり破裂の危険はかなり高い人。
積極的な治療をすることでこぶが破裂してしまう危険性もある(いろんな刺激で血圧が変動するから)。
以前、破れかけたこともあり破裂の危険はかなり高い人。
積極的な治療をすることでこぶが破裂してしまう危険性もある(いろんな刺激で血圧が変動するから)。
きちんとした治療方針を立てるためには、ちゃんとした検査をしないといけない。
造影CT、下肢MRA、血管造影。
どれも多少の苦痛を伴うし、造影剤を使うため腎臓にも負担をかける。
造影CT、下肢MRA、血管造影。
どれも多少の苦痛を伴うし、造影剤を使うため腎臓にも負担をかける。
どの検査をして確定診断をつけたとしても、外科的治療をしないのであれば検査をする意味はどれくらいあるのだろう?
結局、内服薬をだして様子をみる。
結論が一緒であれば、少しでも早くうちへ帰すのがいいのじゃないか。
(理想をいえば、家の近くのかかりつけの病院に数日でも入院して欲しかったが、病院が満床で入院できないらしい)
結局、内服薬をだして様子をみる。
結論が一緒であれば、少しでも早くうちへ帰すのがいいのじゃないか。
(理想をいえば、家の近くのかかりつけの病院に数日でも入院して欲しかったが、病院が満床で入院できないらしい)
そんな訳で、ご家族、かかりつけの先生と相談し自宅へ帰ることになった。
それから4日後。
再び足の調子が悪くなったとのことで大学病院再受診。
ちょうど自分は院外に出ていて診察することができなかった。
再び足の調子が悪くなったとのことで大学病院再受診。
ちょうど自分は院外に出ていて診察することができなかった。
戻ってくると、血管造影検査がされており、血栓除去・カテーテル治療が始まっていた。
先輩の話だとほっといたら腐ってしまうような状況だったとか。
検査の結果は、膝下の血管が完全につまっていたらしい。
先輩の話だとほっといたら腐ってしまうような状況だったとか。
検査の結果は、膝下の血管が完全につまっていたらしい。
術後、おしっこが全然でなくなり、そのためか呼吸も荒くなった。
血圧も低い。
いろいろな状況に対応できるように中心静脈ライン(肩口からとる太い点滴)をとることになった。
先輩が処置をしているときに急に呼吸が浅くなり意識を失った。
すぐさま挿管。
状況を把握するために、採血、レントゲン、心電図、心エコーを行った。
状況が落ち着いた時点で中心静脈を取り直し。
血圧が分かるように観血的動脈圧ライン(A-line)も確保。
この頃には意識も回復した。
血圧も低い。
いろいろな状況に対応できるように中心静脈ライン(肩口からとる太い点滴)をとることになった。
先輩が処置をしているときに急に呼吸が浅くなり意識を失った。
すぐさま挿管。
状況を把握するために、採血、レントゲン、心電図、心エコーを行った。
状況が落ち着いた時点で中心静脈を取り直し。
血圧が分かるように観血的動脈圧ライン(A-line)も確保。
この頃には意識も回復した。
透析(CHDF)も必要になるだろうってこともありICUへ。
この翌日、自分は当直のため島に出発した。
死因は腹部大動脈瘤の破裂だったそうだ。
高齢者の人はちょっとしたことで状態が急変する。
元気になる人もいるけど、処置をしたことで寿命が縮まることもある。
元気になる人もいるけど、処置をしたことで寿命が縮まることもある。
この人の場合はどうだったんだろう?
処置をしたことは正しかったんだろうか?
処置をしたことは正しかったんだろうか?
処置をしたことで状態が悪くなり、肩から太い点滴をいれられ、口には管をいれられる。
しなかったらどうなってたんだろう?
つい考えてしまう。
しなかったらどうなってたんだろう?
つい考えてしまう。
あえて検査をしないで自然の形で寿命を終えるほうが幸せってこともあるんだろうなぁ。
本人はどう思ったんだろう?
家族はどう思ったんだろう?
本人はどう思ったんだろう?
家族はどう思ったんだろう?