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前回の大動脈瘤に引き続き、動脈瘤講座。
自分たち、心臓血管外科としては夜中の緊急オペの大半をしめるのがこれ。
「大動脈解離(解離性大動脈瘤)」

これも、いろんな分類がついている。
発症した時期について分類したのが「急性」と「慢性」
裂けた場所によって分類したのが「DeBakey分類」と「Stanford分類」

ちなみに、「DeBakey」は「ドゥベーキー」って発音します。
「Stanford」は普通に「スタンフォード」。
ドゥベーキー先生はまだ現役のアメリカの心臓血管外科医らしくおんとし97歳!!
いつだったか、NASAと共同で人工心臓の研究をしてるってTVをみた。
ほんとかな・・・?

話がちょいそれました。

解離の初期裂孔部位(血管のどこに穴があいてるか)とその進展範囲(どこまで裂けてるか)によって分類してて、病変の広がりを把握しやすくしてんのが「DeBakeyの分類」
上行大動脈解離(心臓をでてすぐの大動脈が裂けているか)を含むか否かで2型に分類。臨床的な治療方針の選択、予後の予測にすぐれるのが「Stanfordの分類」

自分たちがよく利用してるのは「Stanfordの分類」
上行大動脈が裂けているのを「A型」、裂けてないのを「B型」と分類しています(イラストがA型の解離になります)。

なんで、これを利用しているかというとA型の大動脈解離は緊急手術の適応になるから。
シンプルにいうとすぐ手術をしないといけない状態なのがStanfordのA型。

B型だったら、通常は絶対安静でベッドに貼り付け状態にして管理します。
これも下手したら手術よりきつい治療かもしれないけど・・・。
だって、しばらくはトイレにもいけないし、体を起こすこともできない。
だいたい、精神的にまいっちゃうんだよね。

そんなこんなで、心臓血管外科医は「解離が来る」って連絡があると、必ず「A型?B型?」と騒ぎます。

恐い話ですが、この病気は大変死亡率が高い!!
一般的には、放置すると24時間以内に25%、
              1週間以内に50%、
              1ヶ月以内に75%、
              1年以内に90%
が死亡するといわれる。

う~ん、恐い病気だ。
普段から血圧高い人、生まれつき血管がもろい人(マルファンの人とか)は要注意!!

だいたいの人は、「生まれて初めて経験する激痛が背中を走る」って言います。
尋常じゃない痛みを背中に感じた人は、ぜったい救急車で病院来てください。
そして、さえない当直医のときは、大動脈解離の可能性もあるから必ず「造影CT」までとってもらって下さいね。
(*腎臓が弱い方、造影剤にアレルギーがある方は気をつけないといけませんが。)

過去の事例で、背部の激痛の人を何もないと家に帰して、動脈瘤破裂で突然死した人がいます。
医師にも得意分野・苦手分野があることをご了承下さい。