いつからでしょうか。滑舌が悪い滑舌が悪いと、ボイストレーニングの初心者が言うのです。
そんな言葉、二十年前は一般的でなかったものです。こんな言葉が一般に使われること自体が、素人の時代の象徴であるわけです。だって、プロは滑舌のよしあしについて、一般社会に於いては口外しなかった筈ですから。
それはそれとして。
ボイストレーニングを受けに来る人のうち、滑舌が悪いと自称する人の半分くらいは、それほどでもない、というのが私の印象です。
自分の発語について、滑舌の悪さ、を認識させられる場面は、他人に自分の発言を聞き返された時、にほぼ限定されると思われます。
そして、そのほとんどのケースが、慌てて早口になっていたか、自信のない内容について発語していたか、になるようです。共通点は、一音一語をはっきりと発音できていない、になります。具体的には、口が開いていないに決まっています。
そうなると、とても簡単な解決の道筋が見えて来るのです。これはもう単なる、論理的解決と言っていいでしょう。
口開けて発語できるようになれ。
に尽きます。
そうしたら、早口も困難ではない筈ですから。