先週の米国レポレートが急上昇は、起こるべくして起こったとしか思えない。金融危機を受けて銀行は多くの資金を手元に置いておかなければならないようになったが、QEによってそれは一部支えられてきた。FEDのバランスシート削減が進む中、短期資金の出し手がいなくなることは容易に想像ができたことである。もっとも10%を超えるような水準までのレポレートの上昇を予想していた者は少なかったと思うが。
金融危機後のレバレッジ比率規制、やLCR(Liquidity Coverage Ratio)などの規制強化に応じて四半期末にレポレートが上昇する動きは、このブログでも何度も紹介した通りであるが、レポレートが短期的にSpikeするのは特に珍しいことではない。
2018年からプライマリーディーラーが保有する米国債は3倍近くに膨らんでおり、FRA/OISスプレッドは7月上旬から既に急上昇していた。国債発行や法人税納付の時期が重なったとも言われているが、それより構造的な問題の方が大きく、もはや量的緩和の再開をしない限りこうした動きは簡単には止まらないと思う。
FRB高官が、銀行が何故準備預金から資金を流さないかというを疑問視する発言をしていたが、本末転倒である。現状の規制の下で、レポ取引等をい増やしたらSLRやLCR等の規制を満たせず、資本コストが上昇するので、短期の資金供給を行うのは完全に経済合理性に反している。
更にもう一つ大問題なのはLIBOR改革だ。金利操作ができるということで実取引に基づくSOFRへの移行を進めているが、このSOFRはある程度レポレートに連動する。昨今の規制環境下では、レポレートは金利水準を示すものというよりは、単に短期の流動性を示す指標といった方が良いと思うので、こうした脆弱なレートをもとにあらゆる経済活動を行うのはナンセンスとも思えてしまう。当然ながらこの間LIBORはレポレートのような変動は見せておらず、安定して推移している。また、SOFRはデリバティブ取引の割引率にも使われるので、世界中の取引の価格変動も激しくなり、企業の財務諸表が実態を表さなくなってしまうのではないだろうか。
業界にいるものにとっては明らかなことなのだが、銀行の言う事だけを聞いていると非難も受けるだろうし、金融機関批判を続けた方が政治的には支持率も上昇する。やはり金融行政というのはつくづく難しいものだと思う。