昨年のHovnanianのクレジットイベントを受けて策定されたISDA NTCE(Narrowly Tailored Credit Event)プロトコルの批准期限(10/14)まで一週間となった。これはCDSマーケットの発展のために必須のプロトコルであり、是非日本でもすべての市場参加者に批准してもらいたいものである。
詳細は省くが、CDSのトリガーとなるCredit Eventを参照企業の信用力悪化に伴う支払不履行に限定するというものである。これがないと、会社には全く問題がないのに、少額の債権に対して支払不履行を起こすだけでCDSのクレジットイベントに該当し、CDSの買い手として簡単に利益を上げる事ができる。明らかに不正であり、こんなことがまかり通りそうになるのも不思議な気がするが、実際にこんなことが起きてしまうのは金融市場に関わるものとしては恥ずかしい限りである。ほかにもDeep Discount(95円未満)で発行された債券の場合は元本のDiscountされるというFallback条件もあり、これも不正を防ぐためのものである。
先週トーマスクックの事例を紹介したが、会社の再生時には、債権の支払不履行を起こして資金供与を受けて事業再生を図ることもできるし、不履行を起こさずに再生することもできる。つまり、関係者にとってある程度自由に操作ができてしまうため、CDSを取引している市場参加者いとっては様々な動機が発生する。これに社債の交換や株式転換等の様々な手法を加えると、CDSのクレジットイベントを操作するのは訳ないことである。ただ、そんなことをする参加者が出てくるとは正直思っていなかったが、このようなプロトコルを策定しなければならないほど、色々な参加者がいたということなのだろう。
このプロトコルに批准しないということはそんなマネーゲームに加担していると疑われても仕方がないので、是非すべての参加者に批准してもらいたいものである。