ICEがCCPへの直接参加者である銀行を参照するCDSのクリアリングの取り扱いを明日から始める。LCHのCDSClearでは2015年6月から可能だったが、米国FCMの扱えるものとしては初の試みだ。所謂誤方向リスクの観点から、参加者を参照するCDSのクリアリングは敬遠されてきたが、リスク誌によると、当初証拠金の計算を工夫することにより、課題をクリアしたようだ。
もしもデフォルト寸前にあることを自覚している銀行が、自分のCDSを大量に売れば、プレミアムが稼げる。そしてその後にデフォルトしたとしても、売ったCDSに対する履行もデフォルトしているため当然できない。ただし、こればモラルハザードにつながるため、通常自分の会社のCDSを売りたいと思っても買い手は現れない。しかし、CCPの参加者のCDSを売買することが可能になれば、自分と似たような会社のCDSを売ることができる。今回はこの相関を考慮して証拠金を引き上げているようだ。
また、破綻した参加者のポジションをオークションで落札した場合に、自分を参照するCDSを引き受けてしまわないように、それらを別扱いにする仕組みも導入されているようだ。また、参加者デフォルト時にポジションを強制的に割り当てる仕組みがないのでこうしたことが可能になっている。
銀行CDSが占める割合が全体の6-7%である点、証拠金規制導入後CDSの清算が急増している現状を考えると、市場へのインパクトには無視できないものがあるかもしれない。