最近、「パリテ」という言葉をしばしば目にするようになり、どういう意味なのか調べてみますと、どうやら「同等」を意味するフランス語(parité)のようです。それなら現代物理学でいう「CP対称性」のPであるパリティparity(空間反転)と同類の単語で、理系に人間にとっては後者のほうが馴染み深いかもしれません。
それはともかく、パリテとは選挙で候補者を男女同数にする政策の意味で用いられており、女性が社会進出しやすくするための手段のひとつといえるでしょう。
今回の参院選における候補者は女性の割合が過去最高といわれていますが、各党別に女性候補者の割合を見てみますと、自民党が相変わらず男性優位(女性14.6%)で低調なのに対し、立憲民主党では女性がほぼ半数(女性45.2%)に達しているのが目を引きます。
立憲民主党は女性候補者の割合が高いのみならず、とても活きが良く、古臭い政治家体質から隔絶した今風かつ一般社会人風のセンスを持ったクオリティの高い新人たちが続々と登場していることも注目されます。新しい感覚を頑迷固陋なオールド永田町に持ち込もうとしているそのような新人たちを、私はニューウェーブ候補者と呼びたいと思います。
まあ私はそれほど毎日選挙にかかりっきりというワケではなく、比例区を含めた全国各地の参院選候補者を熱心にチェックしているワケでもありませんが、ただ何となくぼーっと生きていても否応なく耳目に飛び込んでくる魅力あふれる候補者たちが少なからずおりまして、前に書いた「れいわ新選組」を除くと、それはやはり立憲民主党に多いようです。
選挙区が違うために直接投票行動に出るわけにはいかず、街宣を直に聴く機会もないけれど、私が日々密かに応援電波を送っている候補者は何人もおりまして、中でもとりわけ推し度の高い二人を今回は取り上げてみたいと思います。
亀石倫子(かめいしみちこ)
立憲民主党 大阪選挙区
亀石さんは北海道小樽市に生まれ、東京女子大卒業後札幌の情報通信会社に入社。その後結婚に伴い、2000年に同社を退社し、大阪に拠点を移しました。
2005年に大阪市立大学法科大学院に入学し、2008年に司法試験に合格。法律事務所に所属して弁護士活動を開始しました。これまでに担当した刑事事件は200件以上にのぼりますが、なかでも有名なのは2017年の奈良県警GPS捜査憲法違反事件(主任弁護士として最高裁大法廷で違憲判決)、クラブ風営法違反事件(最高裁で無罪確定)、タトゥー彫り師医師法違反事件(大阪高裁で逆転無罪判決)などです。
表現・職業・プライバシーなど、憲法が保障する国民の権利や自由を守るために、彼女は刑事弁護士として国家権力と対峙してきましたが、多様化するライフスタイルのなかで複雑化する社会に対して、数多くの法律がすでに適合しなくなっていることを弁護士活動を通じて痛感してきたため、人々の暮らしを守り、ひとりひとりが自由に生きるために法を整備し直すべく、立憲民主党より今回の参議院議員選挙に出馬しています。
これまでに亀石さんが担当した事件としては、奈良県警が容疑者捜査のためにGPS装置を違法に使用した件で、最高裁大法廷で違憲判決を勝ち取った裁判が最も有名で、「刑事弁護人」という著書にもなっています。
しかし、私にとってより印象的だったのは、平成24年に大阪の老舗クラブ「NOON」が風営法違反で摘発された事件で弁護人を勤めたことです。風営法は、「設備を設け客にダンスをさせ、かつ飲食させる営業」を「風俗営業」とし、事前に公安委員会の許可を得なければ営業できないとされていますが、大阪府警は平成22年頃よりこの規定を盾に、公安委員会の許可を得ずに営業している「クラブ」を次々と摘発し始めました。
戦後の混乱期に制定された時代遅れの法律を現在の「クラブ」に恣意的に適用して無意味な取締の強化を図る警察に対し、無罪を主張する被告の弁護団に彼女は加わり、最高裁まで争って最終的に無罪判決を勝ち取っています。また、タトゥー彫師に医師免許が必要だとする、明らかに馬鹿げた一審判決に対する控訴にも彼女は関わり、大阪高裁で無罪判決を得ています。
これらの事件を見ても分かるとおり、彼女は市井に暮らす一般の人々の中でも、やや周縁に属する人々に強いシンパシーを抱いているようです。選挙公約を見ても、選択的夫婦別姓導入はもちろんのこと、同性婚賛成、養子縁組・里親制度の拡充、ナイトカルチャー支援など、通常の政治的視点から見逃されがちなマイノリティの人々に対する心配りが感じられます。選挙スローガン「自由に生きちゃダメですか」にはそんな彼女の姿勢が表れているようです。
亀石さん本人は、背はやや高めで顔が小さく、見た目にはとても華奢でチャーミングです。声はソフトでやや低めですがとても聞き取りやすく、講演や演説を聴いていると詩の朗読を聴いているような心地よさを覚えます。それでいながら彼女が語る言葉の中には、何者にも怖じず臆せずに自らの主張を貫き通す芯の強さも感じられます。
法律とは、私たちの自由な活動を縛るものというイメージがあり、また実際にそのような面もあるのですが、本来は私たちを強者や権力者らによる不当な圧迫から守ってくれるものであると私は考えます。なぜなら、どの法律も憲法の下にあるからです。しかし、権力者は時代とズレてしまった法律のスキを突いて私たちに圧力をかけてくることがあります。ですから、亀石さんのように現代社会の実情を知り、社会のマイノリティまで視野に入れる立法者が国会にはぜひとも必要だと考える次第です。
石垣のりこ(いしがきのりこ)
立憲民主党(野党統一候補) 宮城選挙区
石垣さんは宮城県仙台市に生まれ、宮城教育大学卒業後、1998年にエフエム仙台に入社。以後、ラジオアナウンサーとして人気を集めますが、2019年に宮城県選挙区より参院選の野党統一候補として出馬しています。
地域放送局のアナウンサーだった彼女は、これまで県外の人々にはほとんど無名の存在でしたが、今年5月に正式に出馬表明をすると、ツイッターなどのSNSを駆使した選挙戦術を展開し始め、瞬く間に全国にその名を知らしめました。
党の方針とは独自に消費税の廃止を主張し、対立候補に直接討論を挑んでは鋭い舌鋒でベテラン議員を圧倒するなど、その果敢で一歩も後には引かない戦いぶりが評判を呼び、選挙区内のみならず、他県からも熱烈な支持者を得て今回の参院選の注目の的となっています。
小柄でスリムながら、気合の入った顔つきで選挙区内を駆け回り、アナウンサー出身らしい滑舌の良い早口で小気味よく政策をまくしたてる彼女の姿は、同じ選挙区の先輩である鎌田さゆりさんが撮影した動画で毎日、というか日に何度もツイッターを通して全国に配信されており、すでに日本中に多くのファンを獲得しているようです。
彼女は優秀なスタッフに恵まれているようで、選挙活動のはしばしに人々の心を掴むための細心の工夫がなされているのが目に付きます。凛々しい表情で正面を見据えた上の写真からして、内に秘めた沸き立つ闘志を感じさせ、つややかなショートヘアがまるでヘルメットのように見えてくるではないですか。
頭の回転の速さと度胸の強さも相当なもので、公開討論会においてベテラン与党議員に対して引けを取らないどころか、政策面でも議論においても明らかに優位に立ち続けたほどの逸材ぶりでした。
純白のスーツに身を包み、宮城の街や村を元気いっぱいに走り回り、地元の人々と交流する彼女の身体から発散されるポジティブなエネルギーは私たちにも活力と勇気を毎日分け与えてくれます。選挙が終わり、その姿がネット上で見られなくなるのが残念に思えるほどですが、彼女はきっと国会に活動の場を移して、溌剌と活躍する姿を見せてくれるに違いありません。
このフライヤーがとてもカッコイイ!
この他にも立憲民主党には、東日本大震災における福島原発事故後に誰よりも精力的に東京電力の姿勢を問い続けているおしどりマコさん(比例区)、「筆談ホステス」として有名な聴力障碍者の斉藤里恵さん(比例区)、LGBT当事者として活動を続ける増原裕子さん(京都、野党統一)、元朝日新聞記者でメディアの堕落を糾弾する山岸一生さん(東京)など、魅力あふれる候補者が数多くおります。
また、他党では共産党のたつみコータローさん(大阪)やベテランの仁比そうへいさん(比例)、それに忘れちゃならない小池晃さん(比例)らも見事に当選を果たすことを切に願っております。















