私は普段ウイスキーを飲まない。だがこの日は何か新しい自分に出会える気配がなぜかしていた。その日、朝起きたと思った次の瞬間、気付けば近所の酒屋に来ていた。そこには酒に弱く普段全くと言っていいほど酒を飲まない私の知ることのないお酒の世界が広がっていた。私はなぜか一目散にウイスキーのコーナーへ向かった。だが、そこにあるのはもちろん知らない銘柄ばかりだった。そこに一際輝くウイスキーを見つけた。それはバランタイン10年だった。洗練されたデザインに惹かれたというよりも私の第六感がそれを欲していた。私はバランタイン10年を手に取り、レジで会計をすませた。そして店から出た途端、それをラッパ飲みした。味はとても美味しいとは言えなかったが、何かこの世のしがらみから解放されたような妙な浮遊感を覚えた。そして私はアルコールの強い刺激にやられてその場に倒れた。そして最後に一言こう呟いた。

「よろしくバランタイン10年」