高校の時、好きだった人がいる。
二年半くらいは片思いをしていた。
みのることはなかったけど。
偶々同じ大学に進んでいたけれど学部も違ったし会って話すようなことは全然なかったし、多分今あっても別段話すことなんて何もない。
彼の経験した大学生活なり学んだ勉強なりに全く興味はないし、彼も私が経験した大学生活なり学んだ勉強なりに絶対興味はない。
今更好きでもなければ別に嫌いでもないし、完全に無関心で、自分の中で「どうでもいい人」になった。
それなのに、時々夢に出てくる。
そして夢の中の自分は決まって恋心を抱いたままの自分だ。
もうほぼ、感情ごと忘れた二年半の記憶だけど、時々夢に出るくらいには強い想いを持ってたんだなぁと思う。
あの頃も今も、その人が自分に向ける想いなんか1ミリだってないのに、今の自分がその人に向ける気持ちなんか1ミリもないのに
過去の自分が向けた気持ちが行く当てもないくせに時々顔を出すのがすごく憎らしい。
顔を出される度に惨めな思いに苛まれる。
あっちは自分のこと何も思ってないのに、一人だけ盛り上がってるような温度差を、勝手に突きつけられるような忌まわしさは、少女漫画や失恋ソングに抱く嫌悪感に似てる。
泣いて喚いて傷ついた自分に酔いしれて、自分が世界の主役だとでも言うよう。その世界観での主役であることをわかっているあざとさ。
派手に悲しんでるけど、相手が考えてるのなんてその日の晩ご飯のことくらいだよ。
そんなイタい女になりたくなんかない、付き合った人もいる、好きな人がいる、貴方と同じように私も明日の朝ご飯のことでも考えてる。
だから不思議。もう4年以上も経つのになんで今更、今でも、勝手に思い出してるんだろうか。
深層心理が何を思うか知らないけどこんな悔しいことはない。
好きよりも嫌いよりも冷たくて残酷などうでもいいという分類に、過去が水をさしてくる。
さらに不思議なのは、後にも先にも好きだった人、好きになった人はいるし片思いした時間はいつだって同じくらいには長いのに、いつまでも登場してくるのはその人だけってこと。
この逃れられない記憶の暴力こそ初めての恋だったと証明しているのかもしれない。この先、最後の恋だったと証明するのかもしれない。
ひどい話だ。