シリウス号は南の海を進んでいた。
まみ「日差しがポカポカ暖かいですねぇ」
トワ「海風が柔らかくなりましたよね。南の海ってことを考えても、風が優しい」
シン「このあたりの海域は季節によっては冷たい風も吹く。春が近づいているってことだな」
まみ「春は気分が明るくなりますよね。私、春大好きなんです」
ソウシ「春はまみちゃんに似合うね。まみちゃんの笑顔って春の日差しみたいだもの」
まみ「ソウシさん・・・そ、そんなこと言われたら、照れちゃいます」
シン「まったく、ドクターは天然の女殺しだな」
ハヤテ「春って眠くなるよなぁ。ふわーあ」
ナギ「ハヤテ、お前、朝メシ食って二度寝したばっかりだろ」
ハヤテ「それでも眠いもんは眠いんだよ・・・仕方ねえ、身体でも動かして眠気を飛ばすか!」
ハヤテさんが一本の剣を私に投げた。
まみ「ハヤテさん?この剣は・・・?」
ハヤテ「お前の特訓をしてやるよ。剣の扱い覚えたいって言ってたろ?」
まみ「あ、はい!」
私が剣を構えようとすると、シンさんがその剣を取り上げた。
まみ「シンさん?」
シン「お前は剣の扱いなんか覚えなくていい。危なっかしくて見ていられないからな」
ハヤテ「なっ・・・シン!せっかくまみがやる気になってるんだから、余計なことするなよな!」
シン「それより、お前は舵のとり方を覚えろ。こういう穏やかな海は舵とりの練習に向いている」
シンさんに手をつかまれて操舵輪の方に行くと、ナギさんがこっちに歩いてくる。
ナギ「まみ、次に晴れたら干物を作る手伝いをする約束だっただろう?」
まみ「あ!そういえば・・・」
シン「干物?そんなもんナギ一人で干してろ」
まみ「それが・・・私がナギさんの焼きたてクッキーを勝手に味見しちゃって・・・」
ナギ「クッキー代として、干物作りを手伝うことになってんだよ」
ソウシ「そうなの?それは困ったな・・・」
私たちが話していると、ソウシさんが腕を組んでやってくる。
ソウシ「今日はまみちゃんに薬草作りを手伝ってもらいたかったんだけど・・・」
トワ「こんなに暖かくて気持ちのいい日なんですから、皆さんでお昼寝しましょうよ!」
ナギ「トワ、お前は気が抜けすぎだ」
トワ「ううっ・・・風も気持ちいいし、日差しも最高だと思うんだけどなあ」
(トワくんの言う通り、甲板でお昼寝したら気持ち良さそうだなぁ)
シン「すでに半分眠ったような顔してんじゃねーよ」
まみ「いたっ」
シンさんがペシッと私のおでこをたたく。
ハヤテ「それで、まみはどーすんだよ?」
まみ「え、えーと」
(ど、どうしようっ)
答えに困っていると、船室のドアが開いてリュウガ船長が甲板に姿を見せた。
船長「何だ?何だ?真っ昼間から騒がしい・・・お前ら、またまみを取り合ってるのか?」
ハヤテ「べ、別に取り合ってるわけじゃ・・・」
シン「こいつの余ってる体力を有効に活用してやろうと思っただけです」
リュウガ船長が私の隣に立つと、肩を抱き寄せる。
(う・・・船長、今日もお酒くさい・・・)
船長「まみにはオレの酒の相手をさせる!これで万事解決だろ?」
ハヤテ「あとから出てきて、ズルイですよ。船長~」
船長「ああ?細かいこと気にすんじゃねーよ。行くぞ、まみ」
まみ「え・・・あの・・・」
リュウガ船長に手を引っ張られ、後ろを振り向いた時・・・向こうから一隻の船が近づいてくるのが見えた。
(あれは・・・)
まみ「リカー号が近づいてきます!」
シン「何!?」
ハヤテ「まーた、ロイの野郎か・・・」
リカー号は速度を速めるとシリウス号と並んだ。
ロイ「ハーハッハ!相変わらずの間抜け面だな!シリウス号の諸君!へっくしゅん!」
ロイ船長がくしゃみをしながら、シリウス号に飛び移ってくる。
トワ「・・・なんか・・・もの凄い鼻声じゃありません?」
船長「ロイ!お前、風邪なら大人しく寝てろ!オレにうつったらどうすんだよ!」
ハヤテ「鼻水まで垂らして・・・お前ガキか?」
ロイ「な、なに!?鼻水!?いかんいかん・・・チーン!」
鼻を思いっきりかんだロイ船長は、なぜか得意気な顔で私たちを見ていた。
ロイ「これは風邪ではない。デリケートな人間だけがかかる病気・・・カフン症なのだ!」
まみ「カフン症?カフン症ってなんですか?ソウシさん」
ソウシ「カフン症っていうのは、木や花の花粉に反応して起こるアレルギー症状の一つだよ」
ロイ「ハッハッハ!図太いシリウス海賊団の諸君には関係のない病だな!」
ナギ「そんなみっともねぇ病気にかかりたくねーよ。お前、鼻真っ赤じゃねーか」
トワ「赤鼻のトナカイみたいですね」
ロイ「な、何だと!?むむっ・・・鼻をかみすぎてしまったか!」
ロイ船長が手鏡を取り出す。
ロイ「!ほ、本当に真っ赤だ!こ、こんな格好でまみの前に出ていたなんて、恥ずかしい!」
まみ「ロイ船長・・・あの・・・」
ロイ「すまないまみ!カッコイイロイ様!素敵なロイ様!のイメージに合わん姿を見せてしまって!」
ロイ船長が涙を拭い、同時に鼻を大きくすすった。
まみ「いえ・・・最初から、全然そんなふうに思ってませんけど・・・。あ、でも・・・」
ロイ「ん?なんだ?」
まみ「鼻声のロイ船長の声って・・・ちょっと色っぽいかも・・・」
ロイ「な、なにぃ!?そ、そうか?ゲフン、ゲフン。はは・・・そうかい?まみ?」
ロイ船長が声色を整えて近づいてくると、真っ赤にすり切れた鼻が目にはいる。
まみ「でも・・・本当に赤鼻のトナカイかピエロみたい・・・」
思わず吹き出してしまった私にロイ船長が涙を浮かべた。
ロイ「まみまで・・・!ひ、ひどい!鼻水が出てこんなに辛いのに!」
まみ「ごめんなさいっ!つい・・・」
ロイ「くっ・・・まみにいつまでもこんな姿をさらすわけにはいかねぇ。一刻も早く、『妖精の粉』を手に入れてこなければ!」
シン「『妖精の粉』?なんだ、ソレは」
ロイ「カフン症の特効薬だ!この先のフェアリータウンにあるはず・・・お前らと遊んでいる暇はない!」
ハヤテ「絡んできたのはお前の方じゃねーか!」
ロイ「さらばだ、シリウス海賊団の諸君!まみ!また会おう!へーくっちょんっ」
ロイ船長は鼻水を垂らしながら、リカー号に戻っていった。
船長「相変わらず、唐突でわけのわかんねー野郎だなあ」
まみ「フェアリータウンとか言ってましたよね。この先にそんな街があるんですか?」
シンさんが地図を広げた。
シン「ここから南西に行くと、フェアリータウンの港に着く」
トワ「フェアリータウンって言ったら、『妖精の国』への入り口があると言われてる街ですよ!」
ハヤテ「トワ・・・お前はまーた、そういう話を信じてるのか?」
トワ「フェアリータウンの妖精の話は世界でも有名なんですよ?『心がキレイな者』だけが妖精の国を見つけられるそうです」
ハヤテ「心がキレイな者ねえ。ま、俺は余裕で見えるだろうけど、性格最悪のシンはまずダメだな!ははっ!」
シン「誰が性格最悪だと・・・バカと心がキレイというのは違うんだぞ。お前こそ勘違いするなよ」
ハヤテ「んだと!?」
ソウシ「フフ、まみちゃんとトワなら行けるかもしれないね」
まみ「ソウシさんも行けると思いますよ?」
ソウシ「そんな・・・私は多分、無理」
まみ「え・・・」
(ど、どうして笑顔で言い切るの?)
トワ「ナギさんも行けるかもしれませんね!」
ナギ「お前・・・海賊の心がキレイでどうすんだよ。褒め言葉になってねぇよ」
トワ「あ、そうか・・・。す、すみません」
船長「『妖精の国』に『妖精の粉』ねえ・・・」
リュウガ船長が考えるようにアゴヒゲをなでる。
船長「よし!オレたちもフェアリータウンに向かうぞ!」
ハヤテ「マジですか!?」
トワ「わあ・・・楽しみだなあ」
船長「妖精の国だの何だのっつー逸話があるところには、お宝がある可能性が高い!ロイが探してる『妖精の粉』とかっつーのもお宝かもしれねぇしな」
ソウシ「私もカフン症が治る粉っていうのには興味があるな」
船長「シン!行き先が決まった!フェアリータウンに舵をとれ!」
シン「了解です」
シリウス号はリカー号に続くように・・・フェアリータウンを目指した。
゚・*:.。..。.:*・゚゚・*:.。..。.:*・゚ ゚・*:.。..。.:*・゚゚・*:.。..。.:*・゚
フェアリータウンの港に着くと、花の香りが街全体を覆っていた。
まみ「すごくいい香り・・・」
トワ「街の方から賑やかな音楽が聞こえてきますね」
ハヤテ「小さな島だけど、人口は多いみてぇだな」
ソウシ「港や家の造りを見ると・・・豊かな街みたいだね」
船長「良質の酒の匂いがするぜ・・・。さっそく酒場に!じゃなかった・・・街に行って様子を見るぞ!」
全員「アイアイサー!」
フェアリータウンの街は色とりどりの花で飾られ、お祭りが催されているようだった。
まみ「春の女神を奉るお祭りなんですね。お店や道にお花がいっぱい飾ってあってキレイ・・・」
トワ「パレードが向こうからやってきますよ!」
軽快な音楽が聞こえてきたかと思うと、妖精の格好をした人たちが花びらやチラシをまきながら歩いてくる。
まみ「きれい・・・」
シン「チラシをまいて宣伝か?」
ハヤテ「お、ここにも一枚落ちてるぜ。なになに・・・可愛い妖精が素敵に貴方をおもてなし・・・?」
船長「見せてみろ!お!妖精の酒場・・・可愛い姉ちゃんが妖精の格好で接客だと!?」
ハヤテ「船長の表情が変わった・・・」
ソウシ「これは・・・この街に滞在決定かな?」
ナギ「だろうな」
船長「よーし!お前ら!しばらくフェアリータウンに滞在するぞ!お前らは『妖精の粉』とやらを調べてこい!」
トワ「フェアリータウンに泊まれるなんて嬉しいです!」
ソウシ「春のお祭りもしばらくやってるみたいだし・・・たまにはこういう明るい街もいいね」
ナギ「食べ物は豊富そうな土地だな」
ハヤテ「オレは花があちこちにある街なんて、落ち着かねぇけどなあ」
シン「花はすでにお前の頭で満開だからな」
ハヤテ「おいコラァ!!」
シン「お宝があるなら、オレはどんな街でも構わねーよ」
船長「まみ!お前もたまにはオレと一緒に酒場で飲むか?」
まみ「い、いえ!私は春のお祭りを見てみたいので・・・遠慮します・・・」
船長「そうかぁ?残念だな。なら、迷子にならねーように誰かと一緒にいろよ!」
まみ「はい!」
(誰と一緒にフェアリータウンを回ろう・・・?)
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