愛をこめて花束を





シリウス号は北の海を進んでいた。


まみ「寒くなってきましたねぇ。雲が厚くて太陽の光も届かないし・・・」


ハヤテ「すっかり冬になったからなぁ。はぁ・・・吐く息も白いなー」


(ヤマトはそろそろクリスマスの季節だよね。シリウス号ではクリスマスなんて・・・関係なしかなぁ)


ハヤテ「どうした?まみ。ぼさっと海を見つめて」


まみ「本当に冷えるなぁって思って。耳が痛くなってきちゃいました」


ハヤテ「このくらいの寒さで凍えてんのか?情けねーヤツ」


まみ「ハヤテさんは・・・あんまり寒くなさそうですね?」


ハヤテ「んー?寒いことは寒いけど・・・これくらいなら、まだ平気だな」


(ハヤテさんって寒さに強いんだ・・・)


ハヤテ「そんなに寒いのか?ちょっと手、かしてみろ」


まみ「え・・・」


ハヤテ「わっ・・・本当に冷たいな。大丈夫か?仕方ねぇ・・・オレがしばらく握っててやるよっ」


(ハヤテさんの手・・・あったかいな・・・)


まみ「ありがとうございます。ハヤテさん」


ハヤテ「あったかくなるまで・・・こうしててやる」


シン「手だけで、この寒さがしのげるか」


後ろからきたシンさんがドンッとハヤテさんを突き飛ばした。


ハヤテ「いって・・・シン!テメェっ!」


シン「フン・・・。バカは寒さを感じないと言うからな。ほら、まみ、こっちにこい」


まみ「わっ・・・シンさん?」


コート姿のシンさんが抱き寄せるようにコートの中に入れてくれる。


まみ「あ、あの・・・」


シン「コイツと手なんか繋いでると、アホが移るぞ」


ハヤテ「あ、アホって言ったな!お前は・・・えーと・・・」


シン「言葉は思いついてから、口にするんだな」


ハヤテ「まみ!シンの傍にいると性格が悪くなるぞ!」


シン「ほう・・・それはオレの性格が悪いと言いたいワケか?」


ハヤテ「そんなことわざわざ言うまでもねーだろ。血も涙もない悪魔の航海士って手配書見たぞ」


シン「それなら、お前は脳天気バカ剣士か?」


まみ「あ、あの!お二人とも、落ち着いて・・・」


(ハヤテさんとシンさんの間で火花が・・・!)


ソウシ「まったく・・・女の子をこんな寒空の中に立たせっぱなしで、何をやってるの」


シン「ドクター・・・」


ハヤテ「げっ、ソウシさん!」


ソウシさんがシンさんとハヤテさんの間に割ってはいる。


ソウシ「はい、まみちゃん。毛布持ってきたよ。羽織って」


まみ「ありがとうございます。あったかい・・・」


(ソウシさんがきてくれてよかった・・・)


ソウシ「まみちゃんが風邪をひいたら、私も悲しいからね」


ソウシさんが頭を優しく撫でてくれる。


ハヤテ「ソウシさんはそうやってすぐにまみの頭を撫でるんだから・・・」


シン「甘やかし過ぎなんですよ」


ソウシ「そうかな・・・。ハヤテとシンだって十分甘いと思うけど・・・」


ハヤテ「お、オレはべつに暇だったから・・・」


シン「オレだって退屈しのぎです」


ソウシ「やれやれ。二人とも素直じゃないね」


ソウシさんが軽くため息をついていると、どこからか甘い匂いが漂ってきた。


(すごくいい匂い・・・。これって・・・)


ナギ「飲め」


ナギさんが大きなカップを持って立っていた。


まみ「ナギさん・・・。これ・・・ココアですか?」


ナギ「お前が好きだって言ってたろ。前の港で仕入れておいてやった」


まみ「ありがとうございます!わぁ・・・すごくおいしい・・・」


ナギ「風邪ひいて、ドクターに迷惑かけるわけにはいかねーだろ」


まみ「あの・・・おかわりとかは・・・ありませんよね?」


ナギ「・・・・・・あるよ」


ハヤテ「ナギ兄はすぐ食べ物で釣ろうとするんだからなぁ」


シン「まみ、お前もイヌみたいにシッポ振るな」


まみ「そんなつもりは・・・でも、ココアおいしいですよ?」


トワ「みなさーん!」


トワくんが船首の方から走ってくる。


シン「どうした?」


トワ「島です!島が見えます!」


シン「何だと?この辺りに島なんて存在しないはずだぞ」


トワ「でも、見てくださいよ!あそこ!島ですよ!」


まみ「本当だ・・・!」


ソウシ「まだ地図に記録されてない島なのかな」


船長「ちょうどいい時にいいモンが見つかったじゃねーか」


ハヤテ「船長!」


船長「食料も少なくなってきたところだった。それと酒とか・・・酒だな」


まみ「船長・・・すごくお酒くさいです・・・」


船長「ハッハッハ!そうか?こう寒くっちゃ度数の高い酒でも飲まねーとやってられねぇからなあ。まみ、お前もどうだ?」


まみ「け、結構です」


船長「んー?そうか?残念だな。シン!ひとまず上陸するぞ」


シン「はい」


トワ「地図にも載ってない島って、どんな島なんでしょう」


ハヤテ「幻の巨大モンスターとかが潜んでるかもな!」


船長「モンスターでもなんでもいい!酒さえあれば問題なしだ!」


まみ「せ、船長!だから、お酒くさい・・・」


船長「つれないことを言うなよ、まみ。ほら、ちょっとコッチにこいって」


ソウシ「船長、あまりまみちゃんをからかわないでくださいよ」


シン「もうすぐ港に着くぞ!」


まみ「わぁ・・・なんだか賑やかでキレイな街・・・」


(クリスマスのヤマトみたい・・・!)


シリウス号から見える島は・・・雪が降り注ぎ、街の灯りが温かに輝いていた。






港の看板には”メリー島”と書かれていた。


シン「大きな島ではないが・・・そこそこ栄えた街があるようだな」


トワ「島の中心に雪山がありますね」


まみ「街全体が飾りつけられてるみたいですけど・・・」


街人「おや?見ない顔だね。旅人さんかい?」


ソウシ「ええ。食料や雑貨の補給に立ち寄らせてもらっています」


街人「そうかい、そうかい。いい時期にきたねぇ。サンタクロースの住む島、メリー島へようこそ!」


まみ「サンタクロースの住む島?」


トワ「さ、サンタさんがいるんですか!?ここに!?ほんとですか!?」


街人「もちろんだとも。いい子にしていれば、きっと君のところにもきてくれるよ」


トワ「うわぁ~!本当にサンタさんに会えたらどうしようっ」


ハヤテ「トワ~、海賊がサンタを楽しみにしててどうすんだよっ」


ハヤテさんがペシッとトワくんの頭をたたく。


ナギ「なるほどな。この賑わいはクリスマスのせいか・・・」


シン「そういえば、もうそんな時期なのか」


ソウシ「船に乗っていると、そんなことも忘れがちになってしまうね」


ハヤテ「あれだよな?クリスマスっていったら・・・赤い服に白ヒゲの男が悪い子はいねーかー!って襲ってくる・・・」


トワ「な、なんですか!その怖いイベントは!クリスマスはですね・・・」


シン「全員が死者の仮装をして、街をうろつくんだよな」


トワ「そうそう・・・って!違います!クリスマスは・・・」


ナギ「世界一の菓子職人を決めるイベントだろ?」


トワ「そうなんです。おいしーい、ケーキを・・・ん?そ、それも違いますよ!」


(みんな、笑いをこらえてるみたいだけど・・・トワくんをからかってる・・・?)


トワ「いいですか!僕が正しいクリスマスを教えてあげます。クリスマスはサンタさんがいい子にプレゼントをくれる日で・・・家族で仲良く過ごす日なんですよ」


ソウシ「フフ・・・トワはクリスマスが大好きなんだね」


トワ「もちろんです!でも、注意してくださいよ」


まみ「な、なに?トワくん・・・」


トワ「悪い子リストに登録されている子には・・・石炭が配られるそうです!」


ハヤテ「悪い子リスト?そんなんあるのか?」


トワ「サンタさんは僕たちが寝てる時も起きてる時も、僕らの行動をチェックしているんです!」


シン「のぞき魔か監視好きの変態みたいだな」


トワ「そ、そんなこと言っちゃダメです!プレゼントがもらえませんよ!」


船長「ハッハッハ!じゃあ今年はオレのところには、どっさりと石炭が置いていかれるかもなぁ!」


シン「燃料として使えるから便利ですね」


トワ「もうー!そんなこと言って、本当に悪い子リストに登録されても知りませんからね!」


船長「まあ・・・せっかくのクリスマスだ。今年はまみもいることだし・・・オレらも楽しむとするか!」


ナギ「じゃあ、この街に滞在するってことですね」


船長「ああ。サンタクロースが住む島なんだろ?なかなか楽しそうだ」


トワ「サンタさん、どこに住んでるんでしょう・・・。やっぱりあの雪山の上かな・・・」


ハヤテ「クリスマスねぇ。ま、オレはナギ兄のご馳走が食べられるなら歓迎だけど」


ナギ「この街にとっては特別な日だからな・・・なにか面白い食材があるかもしれねぇ」


ソウシ「まみちゃんも息抜きできそうだね」


まみ「はい!歩いてるだけで楽しそうな街ですね」


シン「そんな特別な島なら、特別なお宝でも眠ってるかもな・・・」


船長「よし!ここで補給と休憩だ。オレは酒場に・・・じゃなかった、情報収集をしてくるからな!お前らは適当になんかしてろ!」


まみ「酒場に行くんですね・・・」


トワ「ですね・・・」


船長「ん?情報収集だと言っただろ?まあ、アレだ・・・。可愛~い、サンタの格好をした姉ちゃんから情報を集めるっていう方法もあるっていうだけでな・・・うん・・・」


ソウシ「これ以上は聞いちゃダメだよ。まみちゃん」


まみ「ソウシさん・・・」


船長「まみ!お前は誰かにくっついて行けよ。知らない街での女の一人歩きは危険だからな」


まみ「あ・・・はい・・・」


(どうしよう・・・誰と一緒に行こうかな・・・)




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