愛をこめて花束を






シリウス号は穏やかな航海を続けていた。


ハヤテ「はあ~。ずーっと同じ海ばっかで飽きた・・・」


まみ「波も穏やかだし、最近は港街に寄ってませんからね」


トワ「この海域を抜けるまでは街がないってシンさんが言ってましたよ」


ハヤテ「シン!いつになったら、その海域とやらを抜けるんだよ?」


シン「うるさい。もうすぐ新しい街に着くから大人しくしていろ」


ハヤテ「そのセリフは昨日も聞いたっつの。トワ!お前、そこのドアの前に立て」


トワ「どうしてですか?」


ハヤテ「ナイフ投げの的にする」


トワ「ええっ!」


ハヤテさんがナイフを数本取り出すと、手の中でクルクルと遊ばせている。


トワ「そんなのイヤですよ!」


ハヤテ「オレの腕を信用してないのかよ」


トワ「そういう問題じゃありません。わっ!危なっ!」


トワくんの頬ぎりぎりにハヤテさんのナイフが飛んでくる。


ハヤテ「下手に動くと、ケガするぜ?」


トワ「や、やめてくださいよ~!まみさんっ、助けてくださいー!」


まみ「あ、あの、ハヤテさん。ナイフ投げは危ないですよ」


ハヤテ「じゃあ、お前がオレの修行に付き合え!」


まみ「私がですか!?」


ハヤテ「お前もシリウス海賊団の一員なら、剣の扱いくらい覚えろよ」


まみ「でも・・・」


(私に剣なんて持てるのかな・・・)


ハヤテ「ほら、行くぞ!」


シン「待て」


まみ「シンさん!」


シンさんがカチャリと銃口をハヤテさんに向けている。


シン「まみ、オレのチェスの相手になって盛大に負けろ」


まみ「え!負けること前提なんですか!?」


ハヤテ「オレが先にまみを誘ったんだぞ!」


シン「順番は関係ない。お前はトワと遊んでろ」


ハヤテ「ったく。トワ!シンからのご命令だ。オレの的になれ」


トワ「どーして、そういう話になるんですかー!」


トワくんの悲痛な叫びを甲板に残して、私はシンさんに手をひかれて船内に入る。


シンさんの部屋に向かっていると、ナギさんと擦れ違った。


ナギ「まみ、ちょうどいい。夕食の仕込みの手伝いをしろ」


シン「残念だったな。まみはオレとチェスの勝負をするから使用不可だ」


ナギ「どうせお前が一方的に攻めてからかうだけだろう?そんなお遊びより、夕食の方が大事だ」


シン「・・・お遊びとは、聞き捨てならないな」


ナギ「毎日メシが食えるのは誰のお陰だ?まみ、手伝え」


まみ「え、えっと・・・」


シン「そんなことオレが知るか。こいつの行動はオレが決める」


ナギ「相変わらず勝手な奴だな・・・」


まみ「あ、あの・・・」


ナギ「まみ、どうするんだ?」


シン「オレと行くんだろう?」


まみ「え!?えっと私は・・・」


(ど、どうしよう・・・)


その時、パンパンっと手を叩く音が聞こえた。


ソウシ「二人ともワガママ言わないの。まみちゃんが困ってるでしょ」


まみ「ソウシ先生!」


ハヤテ「まみ!やっぱりトワじゃ、つまんねー!お前が相手になれ」


トワ「まみさん、聞いてください!ハヤテさんってばヒドイんですよ!」


甲板からハヤテさんとトワくんが駆け下りてくる。


まみ「あ、あの・・・」


ソウシ「ハヤテもトワもそこに立ちなさい」


ハヤテ「げ!しまった・・・ソウシさんがいたのか・・・」


ソウシ「何が”しまった”なの?ハヤテ。みんな自分勝手なことばっかり言って、まみちゃんを困らせて・・・」


シン「ドクターこそ、まみが取られそうだから、そんな風に言ってるんじゃないですか?」


ソウシ「・・・・・・そうやってつっかかってくるのは疲れているせいだね。また足ツボマッサージしてあげようか」


シン「!!それは遠慮します。・・・っと、どうやら、そろそろ港に着きそうですよ。潮の流れが変わった」


(シンさんが話題を変えて避けるなんて・・・ソウシさんの足ツボマッサージってそんなにスゴイのかな・・・)


みんなで甲板に出ると、大きな港町がシリウス号の先に見えていた。




゚・*:.。..。.:*・゚゚・*:.。..。.:*・゚ ゚・*:.。..。.:*・゚゚・*:.。..。.:*・゚



港には多くの船が集まっていた。


まみ「めずらしいですね。こんなに船がいるなんて・・・」


ソウシ「規模の大きい港町だけど、たしかにこの数は多いかな」


トワ「あれ見てください。ビラがいっぱいバラまかれてますよ!」


シン「なんだ?手配書か?」


ヒラヒラと舞ってきたビラを私は手にする。


まみ「特製カジノ船で一攫千金の夢の世界へ・・・って書いてありますけど・・・」


船長「なに!カジノ船だと!?」


一番最後に船から下りてきたリュウガ船長が、そのビラに目を輝かせた。


船長「そうか。カジノ船はここに来てたのか!」


まみ「カジノ船って何ですか?」


船長「港町を回っては、数日停泊して船乗りや町の人間を楽しませる娯楽船だ。カジノ船に会えたのは幸運だったな!」


ソウシ「だから、これだけの船が集まってたんですね」


ハヤテ「カジノか!ぱーっと遊ぶのにちょうどいいな!」


トワ「僕、カジノなんて初めてですよ!」


まみ「私も・・・。どんなところなんだろう・・・!」


船長「シン!カジノ船の近くに船を泊めろ。今日はとことん遊ぶぞ!!」


シン「了解です」


ナギ「カジノか・・・久しぶりだな・・・」


カジノ行きが決定したシリウス海賊団は、カジノ船の隣に船をつけた。






まみ「近くで見ると、すごく大きな船なんですね」


トワ「装飾も豪華ですねえ」


ハヤテ「いかにもって感じだな。でもあの看板とかってどうやって光ってるんだ?」


ソウシ「どこか異国の技術が使われてるのかもね」


(いろんな人たちが次から次へと船に入っていってる・・・。こんな賑やかな船、初めて見るな・・・)


まみ「あれ・・・?」


ナギ「どうした?まみ」


まみ「あの船って・・・リカー号じゃないですか?」


ハヤテ「・・・・・・まあ、似ているな」


シン「見なかったことにしろ」


ナギ「アイツが出てくると、面倒ばかりだからな」


シン「いいか?まみ。オレたちはリカー号に似た船を見ただけだ。忘れろ」


まみ「は、はい・・・」


(みんなそんなにロイ船長に会いたくないんだ・・・。気持ちは何となくわかるけど・・・)


リカー号にとてもよく似た船を横目に、私たちはカジノ船に入った。






目の前には船の中とは思えない、豪華な装飾が施されたロビーが広がっていた。


まみ「こ・・・こんなところに私たちが入れるんですか?」


ソウシ「心配ないよ。船長の顔パスだから」


まみ「あ・・・本当だ・・・」


ソウシ先生の言う通り、ロビーのボーイさんたちはリュウガ船長の顔を見ると、一斉に頭を下げた。


(これが海賊王の力なのかな・・・?)


船長「ようし!今夜はとことんやるぞ!」


リュウガ船長がコイン購入カウンターの前に立つ。


(奥がコイン換金所なんだ。その隣にはコインと交換できるお宝リストが張り出されてる)


シン「まみ!ぼさっとするな!」


グイッ!


まみ「えっ?」


シンさんに腕をひかれると、全身入れ墨だらけの人が私とぶつかりそうになっていた。


まみ「す、すみません・・・ありがとうございます、シンさん」


(すごく怖そうな人・・・。あの人も海賊なのかな・・・?)


シン「ちょっと目を離すと、すぐこれだからな」


ソウシ「大丈夫?まみちゃん」


まみ「は、はい!あの・・・ここって海賊が集まるカジノなんですか?」


船長「そういうワケじゃねえよ。周りをよく見てみろ」


周囲を見回すと、いかにもガラの悪そうな人から、きらびやかな貴族らしき人まで入り乱れている。


船長「ここは金さえ持ってれば、どんな悪人でも入れる場所だ。人生を賭けてくる奴もいれば、至高の娯楽を求めてくる奴らもいる。だから、面白い」


ハヤテ「まみみたいなお子様にはカジノは早かったか?」


まみ「ちょっと緊張しますけど・・・ドキドキしてきました!」


船長「はっはっはっ!まみも少しは海賊らしくなったか?」


リュウガ船長が豪快に笑いながら、コイン購入カウンターにドンッと袋を置いた。


船長「この金貨を全部コインに換えてくれ」


まみ「そんなことして大丈夫なんですか!?」


(あれだけ大きな袋に入ってる金貨って・・・すごい金額だよね?)


船長「こういうところでケチッてどうする!海賊ならドンといけ!」


ボーイ「ありがとうございます。こちらがコインとなります」


ケースに山盛りになったコインをリュウガ船長が受け取った。


船長「お前ら、コレを元手にやれるだけコインを増やせ!遊び倒して、宝と交換してこい!」


ハヤテ「やった!これだけあれば、すげー遊べるぜ!」


シン「さすが船長。気前がいいな」


船長「こういう場面で男の度量が問われるもんなんだよ。1番いい宝を手に入れた奴が勝ちだ!」


トワ「勝ちって・・・なにか賞品とかあるんですか?」


船長「あー・・・。それは、お前、アレだ。そうだ!1番いい宝を持ってきた奴はシリウスのNo.2にしてやろう!」


ハヤテ「ほ、本当ですか!!?よっしゃ!気合入ってきたっ」


シン「ま、結果は見えているがな」


ナギ「・・・No.2か・・・悪くはない」


ソウシ「そういうことなら、私も参加しないわけにはいかないね」

トワ「も、もしかしたら、僕が・・・。いえ!今は言いませんっ」

まみ「あの・・・私は・・・」

(カジノなんて初めてだから、見学かな・・・)


船長「これがお前の分だ!」

ずしっと重いコインの袋をリュウガ船長は私の手にのせる。


まみ「私も遊んでいいんですか?」

船長「当然だ。まみだってシリウス海賊団の一員だからな。ただ・・・」

まみ「ただ?」

船長「一人で遊ばせるのは、ちょっとばかり危ねえ。お前は誰かと一緒に遊んだ方がいい。誰か一人選べ!」

まみ「はい」

(その方が私も安心だな。誰と一緒に行こうかな・・・)


私が迷っていると、リュウガ船長が早くもフロアに向かおうとしている。


まみ「船長は最初に何で遊ぶんですか?」

船長「オレはちっと、別の遊びを優先しなくちゃいけねぇんだ」

まみ「別の遊び?」

リュウガ船長の視線を追うと、その先では金髪美女のバニーガール軍団が船長に手を振っていた。


船長「ま、そういうことだ。まみ、お前もしっかり遊んでこい!」

まみ「はあ・・・」

船長は手を振りながらバニーガール軍団の方に行ってしまう。


(リュウガ船長の女好きは相変わらずなんだから・・・)


ソウシ「船長のことは置いといて・・・まみちゃんは誰と一緒に行動する?」

まみ「えーと・・・」



A:ハヤテ


B:シン


C:ソウシ


D:ナギ


E:トワ




~各ルートへ~




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