Lupoが製造中止になった後、数年間のブランクを経てup!が登場。


いつものディーラーから内見会の案内が届いたので、カタログでも貰ってくるかと行ってみました。


ひょっとしたら次女に買ってやる(かもしれない)コンパクトカーの候補に、サイズ的にも価格的にも入ってくるかもしれないと思ったからです。


ディーラーに着くなり、「乗ってみます?」と担当セールス。


じゃお言葉に甘えて、と乗り込むと、「私も助手席に」と担当も乗ってきた。


いつも「じゃ好きなだけ乗ってきてください」と放置状態なのに珍しいなと思ったのですが、理由は後でわかりました。



さてネット等でも注目度の高いこのニューカマーですが、VWらしいカチッとした男性的な印象はやや薄まり、日本のコンパクトカーにも通じる柔らかさを感じます。


サイズ的にも軽自動車よりやや大きく、マーチ級でしょうか。


インテリア、特にダッシュボードはシンプルなデザインですが最近の家電に通じるオシャレなものです。


ふとシフトレバーに目をやると、ジョイスティックのようにゲートが十字に切ってある。


初めに違和感を感じたのがここですが、その印象通り、実際に操作しても違和感が残りました。


トランスミッションはDSGでおなじみの機械制御式マニュアル・トランスミッションですが、
(自動的にシフトアップ・ダウンをするのにATとどう違うのか?と尋ねられると説明が非常に難しい)
クラッチが2つあるDSGとは異なり、クラッチが1つでASGという名前が付けられています。


この「クラッチが1つ」というところが、実際の走行性に想像以上の差をもたらしています。


どう違うかというと、シフトチェンジの際にクラッチが切れて(つまり駆動力伝達が一時的にカットされて)いる間は、加速度が下がるために体が前に倒れてしまうのです。文章にすると伝えにくいのですが、早い話がフツーのマニュアル車を運転しているのと同じだということです。


といってもこのブログを読んでくださっている方も、マニュアル車なんて一度も運転したことないという人の方が多いかもしれない。


自分でクラッチを切るという動作をしないために、一瞬スピードが落ちる(空走する)という挙動が余計目立つのかもしれません。


マニュアル車に乗っているのだ思えば、確かにこんな風になるわなと納得。


しかしあらためてDSGのスムーズさ、凄さを実感する結果になりました。


ただ、それ以上にマニュアル・トランスミッションなんだと思わせてくれるところがある。


それはPポジションがない点です。


シフトゲートが十字に切ってあると先ほど書きましたが、右に倒して前方がN、手前に倒すとRで、左に倒すとDです。


Dポジションでもう一度左に倒すとマニュアルモードとなり、その状態で前方がアップ、手前がダウン。もう一度左に倒すとマニュアルモードが解除されます。


パーキングモードがないため、駐車する際は道路の傾斜を考えてDかRに入れておかなければならないんだそーで。これもマニュアルならでは。


しかし初めて運転する人は、説明してもらわないと発進すらままなりません。


ちなみにエンジン始動もシフトがNでブレーキを踏んでいないとかかりません。


VWに乗りなれている人でもまったく流儀が異なるため、担当セールスが同乗してきたわけです。



シフトにPポジションが無いのはコストのためかどうかはわかりませんが、コストダウンがありとあらゆる所に見られます。


例えば、2ドア・4ドアともにリアウィンドウは巻上げ式ではなく後端が少し開くだけ。


ドアミラーは電動で角度調整できますが格納はなし。


前ドアのウィンドウは電動で開閉しますがスイッチは各ドア1つ。したがって運転席から助手席の窓を開けることはできません。


こだわりのドイツ人に、「無くても何とかなる」点を全て省略させるとこうなるんだという見本でしょうか?


さて私の結論。


我が家がup!を買うことはありえません。


ハンドリングやシートは、最も安いクルマでもさすがワーゲンというものを感じます。


しかしあのトランスミッションと3気筒1,000㏄75psのエンジンはどうにも使いにくい。


これを初心者の娘に乗れというのはムリがある。


最も上のグレード(183万円)を買うならアクアにします。


担当セールスも、私が「売れるか?」と尋ねたら、


「正直言うと、難しいと思います」ガーン