ミイちゃん2
おっさんは高校生になった。部活もやってたので、朝早く、帰りは遅くなった。
中学のときのように「ミイちゃん」と遊ぶ時間が少なくなったが、お休みの日などは一緒にゴロゴロしていた。
毎朝、家の裏口から出て竹林を抜けて100メートルくらい歩いたら駅があって、そこから電車に乗って高校へ通った。
「ミイちゃん」はいつも竹林まで着いて来た。おっさんが歩く横を一緒に歩いてついてくるのだ。
竹林を抜けると、広い道にでるので「ミイちゃん」はちょこっと座って見送ってくれた。
「行ってくるね」と挨拶して、おっさんは学校に行った。
部活が終わって夜になって帰って来ると、また竹林の入り口で座って待っていた。
「ただいま」というと、腰を上げついてくる。
帰りは、よいしょっとダッコして家まで帰る。
ダッコの仕方はちょっと違って、「みいちゃん」は後ろ向きになるのだ。両前足をおっさんの肩から背中の方に出して、おっさんは「ミイちゃん」のお尻を右腕で抱える感じだ。背中をなぜなぜしてあげると、長い尻尾を左右に振ってくれた。
良く遊んだのが「ミイちゃん」が1人で居るときに、こそっと入り口や部屋の角から、手や指をチラチラ出したり引っ込めたりするのだ。カサカサ音に敏感なだから、すぐに気がつく。
すると「ミイちゃん」野生の血が騒ぐのか、低い姿勢になって静かに寄って来て、ジーッと見つめ、次第に腰を振りながら、腰だけ中腰になったかと思うとダッシュして、おっさんの手に猫パンチを連打した。
今度は、おっさんが捕まえる振りをして一歩出ると、後ろにピッヨーンとジャンプして、キッとおっさんを見るが、いつもやってるので、そこでお終いだ。
「ミイちゃん」は寄って来て、体をスリスリするので、よしよしとブラシをかけてあげたりした。
野生の血が多いような「ミイちゃん」だったが、芸?を1つ憶えた。
芸と言えるのかわからないが、
近くにいるときに、真っ直ぐ向き合って、おっさんが両手を前でつないで腰の辺りで台を作ってあげる。それで、口笛を吹いて「ミイちゃん」と呼ぶと、走って来てジャンプして、おっさんの手の台を足で跳ねて、いつもの肩ダッコの姿勢に着地するのだ。
簡単にいうと、「ミイちゃん」が自分でジャンプして肩にダッコされる。のだ。
いつもは1人で居るときしかやらなかったが、1度家族の前でやったら、「おー、すげー」とビックリされた。
これは、猫のジャンプ力あっての、空中技。「ミイちゃん」さまさまなのだ。
そんな「ミイちゃん」が大好きで、高校時代を過ごしたのでした。
つづく