ミイちゃん1
ミイちゃん、と言ってもピンクレディーのミーちゃんじゃあない。
おっさん宅が、中学から飼っていた猫ちゃんだ。
我が家はおっさん小さいときからずっと家には動物がいた。おじいちゃんおばあちゃんがいる三世代が一緒に住む大家族だったので、誰かが必ず家にいたので、世話ができたのだ。
犬、猫はもちろん、小学生くらいの時は、ヤギ、ウサギ、放し飼いになったニワトリ、チャボがいた。水槽には近くの川で捕ってきた、フナやドジョウを飼っていた。
そんな我が家で、ちょうどしばらく猫が居なくて、中学の同級生が生まれてくる赤ちゃん猫を、貰ってくれる家を探していたので、是非と言ってもらってきた。
「1番可愛い、美人さん猫」ということで、メス猫だ。直ぐにというか、我が家は猫は「ミイ」と決まっていたので、我が家に着いたら、もう、みんなから「ミイちゃん」と呼ばれていた。
まだ小さかったので、おっさんがトイレを教える係りだ。最初はお尻をマッサージしてあげて、おしっこをさせた。
ちょっと大きくなってきたら、外に出て、砂場で前足で砂をかかせて、腰を手で押して、ここでしてと何回か教えたら、自分で外に行きおしっこをするようになった。
我が家は昔からの民家で、いつもオープンだったので、猫の出入りは自由だった。
ご飯は今の様にキャットフードは無かったので、ご飯にオカカ(鰹節)か、味噌汁でダシをとった後のニボシだった。
食べ物の栄養は今の様に良くないが、元々「ミイちゃん」はシャム猫と三毛の雑種だったので、毛並みはツルピカだ。それにスラッとして尻尾が長い三毛猫だ。シャム猫の血か、気が強く、また、野生の血か、良く虫なんかを捕まえてきた。
見せに来るので、褒めてあげると、また捕まえてもってくる。アフリカのサバンナでも生きていけるんじゃないのかってくらいに元気だ。
中学1年のときに、おっさんの家族になった「ミイちゃん」は、いつもは口笛吹いて呼べば、隣りの家にいても走って帰って来ていてのに、いくら呼んでも帰って来ないので、アチコチ探したことがある。
やっと見つけたのが、玄関近くの階段の影だ。
「ミイちゃん」はグッタリ横になっていた。
きっと、活発すぎで、道路に飛び出しクルマに接触したのだろう。
「ミイちゃん」は目を開いて、息はしているが、ダメージが大きいのか横になって動けない状態で、良く見ると、鼻血が出ていた。
飛び出したときに、クルマにビックリして逃げたが顔が少し当たったのかもしれない。
運が良かったとホッとしたけど、横になったまま動かないので、箱にタオルをひいて、部屋に連れて行き、ずっとずっと体をマッサージしてあげた。
「元気になれ」「元気になれ」とマッサージを続けた。
「ミイちゃん」は寝ていたが、時々起きると頭をあげ、こっちを見ては、安心したのかまた目をつむって寝た。
おっさんはずっと、マッサージしてあげた。夜もずっと。
途中うたた寝はしたが、朝までマッサージをしてあげた。
朝、「ミイちゃん」目が合うと、「ミャ-ゴ」と鳴いた。
何日か経ち、「ミイちゃん」は元気になった。奇跡の復活だ。
凄くうれしかったし、ミイちゃんは、おっさんの大の仲良しになった。
庭に柿の木があって、それに駆け上り、そこから1階の屋根に飛び乗って日向ぼっこするのが、「ミイちゃん」のお気に入りだった。
屋根に布団を干すと、「ミイちゃん」も一緒に布団で寝ていた。
そんな「ミイちゃん」に負けまいと、おっさんも屋根で一緒に昼寝をしたりした。
つづく